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名族朝倉家に栄光あれ  作者: マーマリアン
良き結末とその覚悟
21/54

第21話 キノコも鶏肉もあるんだよ

お読み頂きありがとうございます!

誤字、脱字があれば御指摘お願いします。

1544年 1月



「しかし六郎様が造った羽毛布団は暖かいですな。冬は暖かくて子供も安心して眠らせることが出来ますよ」


「うむ。俺も1つしかないから家族皆で寝てるわ。気持ちよさそうに寝てる子供が可愛くてなぁ。真冬の夜にあんな寝顔を見ることが出来るとは思わなんだ」



正月に皆が騒いでる。お酒を飲んで楽しく会話している。俺も前世では酒好きだったが今の体ではあまり欲しいとは思わない。



「私はもっぱら子供達が使ってますね。嫁とはお互いに裸で温めあってますよ」


下ネタかよ。



だが周りはそれに爆笑してる。子供を自慢していた文官筆頭の前波景定は不満そうだ。厳つい顔が不機嫌になると怖い。


「はっはっは!すみませんな前波殿。ささ、もう一杯」



そんな下ネタ全快なのが宗滴殿、景紀殿に次いでの武人の山崎吉家だ。見た目は家中きっての優男で人当たりも良いのだが、中身はそこら辺のオッサンと変わらない。


前波景定は武人の見た目に子煩悩で内政肌。

山崎吉家は優男で下ネタマシーンの武人。

ちゃんちゃらおかしいコンビだが仲が良いらしい。



羽毛布団は養鶏と同時に始めた。石鹸もあるから羽はそこそこキレイになっただろう。それでもサルモネラは幼児感染の死亡率が高いので俺は使ってない。

実際にはサルモネラのリスクと冬の寒さの死亡率はどちらが高いのだろうか?

俺も統計学なんて実践出来ないから調べようがないが。



それと羽毛布団の良い所は他にもあった。

千把扱きによる失職者の代職となった事だ。

元々脱穀は手作業や棒打ち脱穀で行っていたが、根気の必要なチマチマ作業はかなりの時間が掛かっていた。

その作業が千把扱きによって人の手を離れると、それを頼りに生きていた者の生計が立たなくなる。なので、そんな弊害があるだろうと事前に前波景定が養鶏に人員を回していた。

新たな産業の羽毛布団製作は職が無くなった人を中心にやってもらっている。元々は農地を持たなかった人や未亡人が脱穀を行っていたのだ。養鶏所のある地域へ移住するのもスムーズだったそうだ。



他にも養蚕や木綿栽培、ドライフルーツ作成の推奨により各村の人手は寧ろ足り無くなってきているらしく、村の拡大や新規の開拓村を考えなければならない。

主食が増えてる訳ではないが金回りと保存食の売買によって飢える人が減ってきてるらしい。


父上達は難民を使って領地の新規開拓を行うようだ。

難民はいつの時代も国の命題であるが、今は労働力不足なので地元の人との衝突も少ない。村の拡張も考えたが、各惣村が力を手に入れると言うことを聞かなくなる可能性があるので、監視の届く一乗谷周辺の村のみ拡張が許された。


惣村にもメスを入れるように父上達とも話した方がいいな。何だかんだ農民達は強い。自前の武具を持ってる奴も多いからな。秀吉の刀狩りを真似しようか?

でもそうなると戦の度に武具を朝倉で揃えなければならないしなぁ。当分は無理かもしれない。




宴会もこんなに盛り上がってはいるが11月の戦は負けた。領内の各村が活発化するに吊れて、軍役に従おうとする者も少なくなったことが原因で、出兵する人数が少なくなった事も理由の1つである。


ままならないと思った。



だが景紀殿が言うには、敗因の大きな理由は敵の必死さがいつもより違ったらしい。



これまた言葉足らずで、必死さが違うとは良く分からなかったが、出陣した昌祐が言うには信徒らは兵糧ばかりを狙っていたらしい。

それも命を懸けて無謀な突撃ばかりだったそうだ。気になって調べてみた所、一揆勢の兵糧が動員人数と比べて少なかったそうだ。


敵の食糧を(あて)にするほど一向衆は窮しているのかと驚いよ。

その様な攻撃がずっと続いたらしく、思った以上に進めず、本格的な冬が来て進軍することを諦めたらしい。



まるで「大量の猫が獅子(しし)の餌を狙うみたいだ」と言うと皆嬉しそうに笑ってくれた。多少は皆の鬱憤も晴らせれば良いけど。



そんな中で工藤兄弟は俺の願いが届いたのか大活躍だった。

彼等は兵糧を守るに留まらず、一揆を煽る下間家の坊官を2人討ち取っても物足りぬばかりか、円周寺某なる砦持ちを討ち取ったらしい。用兵の巧さも宗滴殿に褒められたとか。

その活躍により、新参者だが今日の一乗谷館の新年の宴に呼ばれている。話の肴になるのか周りとも仲良くしてる処も見られた。

二人とも武骨なタイプだから余りでしゃばらない方だ。それもあって目上からは好まれている様だ。

受け入れられそうで良かったよ。




それと石鹸の材料となる貝殻や藻を集積する場所を提案しなければならない。増産の為には一乗谷に運ぶ前に一度粉砕してから運んだほうが楽になる。他にも今後の南蛮貿易に向けて輸入量が増えることを見込んでのことだ。

一応鷹瑳とも話し合って決めたが候補として今郡の南西部にある松鼻城が望ましいのではないかって事になった。



残念ながら住んでる豪族には出てって貰うが、加増による移封と言う形になるだろう。



それに最近鷹瑳も何やら補給の勉強をしている様だ。

仮に松鼻城ではない何処か別の城を集積城にするにしても、鷹瑳の勉強の為に参加すること許可してもらいたい。



後、今日の宴には鶏肉を出さなかった。朝倉家は宗教勢力と戦っているが、何だかんだ別の宗派の者もいる。そんな彼等に祝いの席で振る舞うのは気が引ける。別に仏教にカチコチの奴がいる訳じゃないが、無理に食べさせて拒否感を植え付けるのは宜しく無いだろう。

少しずつ浸透させていこう。



それとキノコハウスからも収穫が出来た。山から取るよりも収穫量が多くて皆からかなり喜ばれた。キノコハウスも増築するらしい。

父上も「もっとお前を早く産むべきだったな!」と上機嫌だ。


..........それは危ない発言だ。

捉え方によっては兄上を廃嫡すると言ってるようなものだ。

俺が困った顔で黙っているとハッと気づいて

廻りを見渡し「無論冗談だ!!」と今まで一番デカイ声で叫んだ。



父上も珍しく焦っていた。それほどキノコは金になるんだろう。寺からどれ程巻き上げれるか期待が持てるというものだ。


フフフ、美味しいキノコでも坊主にとっては毒茸よ...!

みたいな感じで寺が弱まってくれたら御の字だ。

それに伴って寺が支配する座も弱まるだろう。連鎖してくれればありがたい。




焦る父上の隙を突く様に、杜氏(とうじ)と鍛冶鉄職人の誘致に力を注いで欲しいとお願いした。

酒の単価が下がれば皆も喜ぶし、澄酒製作に使う銭も減るだろう。

それと最近知ったのだがこの時代にはもう澄酒もあるらしい。そして焼酎も。焼酎は琉球で生産されているらしい。泡盛のことだろうか?

その澄酒人や焼酎を造ってる人達もヘッドハンティング出来ればそれが一番だ。

もしスカウト出来なくても各地から集めた杜氏の人達を一纏めにして新たな酒の里でも作ろう。そこで灰と酒を合わせた澄酒と俺が知っている蒸留酒の研究をやればいい。


ただなぁ...前も思ったが濁酒の中に灰を入れるなんて俺もまともじゃないと思うんだけど...杜氏の人達は怒らないよね?


それでも、お酢も大量生産出来るから有難いけどさ。

一応味噌から味噌溜と呼ばれる醤油擬きは確保させてある。味見してみたがあれば醤油じゃない。

醤油擬きで魚を焼かせると美味しいと周りに評判だったから、そこは皆で自主的に研究するそうだ。




鍛冶鉄職人は何度も言うが鉄砲生産の土台だ。鍛冶の職人はどこでも重宝されるが鉄砲が広まればさらに貴重になる。史実では近江に鉄砲村が出来たが先にこちらが造ってしまおう。



さらにこれは出来るかわからんが、明の商人にポルトガルでもスペインでも良いから南蛮人の仲介をお願いして貰おう。先に鉄砲を手に入れてスタートダッシュするのもありだ。

それに南蛮との伝が出来るのも嬉しいし。



それと12月に入る前に、雪解けが始まる頃に越前に向かうと真田から連絡が来た。


5歳になった俺にはとても良いお年玉だった。





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