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名族朝倉家に栄光あれ  作者: マーマリアン
良き結末とその覚悟
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第19話 誰の展望

1543年 10月



工藤兄弟はその後、宗滴殿がいる敦賀に与力として向かい、一族の郎党を二人、代官として領地に向かわせ、残った者達をひとまず一乗谷の与えられた屋敷に向かわせた。

当主とNo.2が不在の中で挨拶周りに屋敷と領地の管理は大変だと思うが頑張ってとしか言いようがない。



越前朝倉家の分国法では、領内の武家当主は一乗谷の城下に住むことが義務付けられている。

これは俺の考えなんだけど悪法なのでは無いかとたまに思う時がある。

まず領地から素早く兵を集めることが出来ないし、そのせいで当主が出陣する事が少なくなり、小さな戦では次に位の高い親族が家の大将を担うことになる。

そのため次男や三男、分家の増長を招くと思う。



実際に史実では義景の引きこもりと、景鏡の権力掌握が起きた。このシステムで義景も内政に精力的になれただろうが、そのせいで軍権を握った景鏡が暴走した。



元々景鏡は父上の弟が謀反を起こし破れて越前を去った。その時に忘れ置き去られたのが景鏡だ。俺達の従兄に当たる。



そんな景鏡を史実の父上と兄上は哀れに思ったのかもしれない。ずっと重宝してきた。景鏡本人も謀反人の子という周囲のプレッシャーをはね除ける為に頑張ったのかもしれない。

景紀殿の息子が切腹する位に周囲との軋轢があったが姉川や一揆討伐でも総大将を務めてきた。


だが、いつしか権力を握って増長していったのかもしれない。そして織田の侵攻を機に裏切った。


これが俺が転生して勉強したことと、前世の知識から合わせて導き出したこと。



そんな彼は今、分国法を無視し父が郡司をしていた大野郡で元服して景鏡の名で過ごしている。今は18歳で日々精進しているらしい。

彼の父、景高は謀反人だが戦に強かった。美濃へ出兵し連戦連勝。さらに権中納言の娘を妾として娶り宗家の兄と轡を並べた。山地に囲まれてるとは言え、越前の3分の1を占める大野郡のトップにもなった。


しかし、その頃に兄の孝景との確執で出奔する。噂で聞いた話だと父上暗殺の計画があったが漏れてしまい、逃げるように越前を出たという。

九州や京に現在も逃走中とか。また逃走中でも加賀の一向一揆と連携を取ろうとしている。実に厄介だ。


さらに厄介なのが景鏡が景高と権中納言の娘の子供なのである。処分しようにも権中納言の孫であり大野郡で大きな影響力を持つ。本家からすると力を持ち過ぎた分家。父上もこれには後悔しているのかもしれない。




石鹸は順調に売れてるらしい。

そして9月には長らく準備していた石転が販売された。高級品の石はなんと象牙だ。明から貿易で手に入れた物である。これなら高級品はそうそう真似されないだろう。石には朝倉家の家紋を入れる予定だったが、朝倉家の木瓜紋3つ書くのが思った以上に時間が掛かるため、「裏」の文字を一文字入れるか全面黒塗りの2パターンになっている。


明との貿易先が限られている為に、象牙の輸入出来る勢力は限られている。また盤は加工した石に合わせて作られており、専用の盤と石を使わないと違和感があるだろう。俺の中に多少残る現代人の感覚が、象牙をバンバン使うという罪悪感によって削られる思いだったが、無理やり朝倉の為と思い続け割り切ることにした。




数絵札も今月の終わりに発売されると言らしい。それと養鶏施設も完成して今月から試験的に養鶏を初めると父上は言っていた。

少しずつ立ち上げていた軌道に乗り始めた。


資金も貯まってきたら、新しい物をつくろうか?

澄み酒、蒸留酒の酒類を試してみるか。

ただ食糧を消費するから余りやりたくないのもある。

そもそも澄み酒は灰を濁酒に入れたら出来るらしいけど、そんなの本当に呑めるのか?菌を殺す為に入れるんだろうけど...本当にやるならリスクが高いな。意見を聞きたいから専門家を早く呼んできて欲しい。


蒸留酒。というか焼酎の類いは蒸留の設備は造れないかもしれん。大まかに製作過程は覚えているが、細かい設備は詳しく知らないんだ。朝のドラマ見てたのになぁ。

ただ沖縄では泡盛があったはずだ。参考になるかもしれないから、これまた呼んできて貰うか?明の商人にお願いしてもらうおう。



それと常備兵や街道整備、来るべき鉄砲のために鍛冶鉄職人の誘致を政策提言も良いかもしれない。



後、11月に加賀を攻めることが決まった。そのために兵糧を買い込んでる。工藤兄弟達は宗滴殿の元で鍛練と調練を繰り返しているらしい。

厚待遇にして雇うには少し反発があったようだ。「我等が役に立たないのか」みたいなことを遠回しに父上や鷹瑳は言われたらしい。それ等には「六郎の力を信じよ」の一点張りで返しているみたいだが...


とりあえず工藤兄弟の経歴を密かに流すようにしておこう。内容は「無能な主君に諫言した父が殺され、彼等は国を飛び出した。そして元主君は家臣にも見放された者だ。結果として彼等は無能者に仕える者ではない」こんな感じかな?

これで批判は多少難しくなるといいが。俺が禄を払えなくなったら大変だな。父上をも傷付けてしまう。数絵札も売れますように。



それにしても確かに譜代からすれば他家の者を信用してない様に見られてるかもしれないな。だけど朝倉の為だ、彼等が将来の朝倉を救ってくれるかもしれない。その為には工藤兄弟には実力を示して欲しい。


工藤兄弟!俺のために歴史通りの力を見せてくれ!




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