第17話 皆が浮かれてる
歴史部門の日間と週間1位と総合評価2000ポイント越えました。
凄く嬉しいです。皆様ありがとうございます!m(__)m 2017年7月10日
1543年 5月
内藤昌豊がいる工藤郎党と接触していた者から連絡が来た。
越前に来るのは8月位になるみたいだ。人数は女子供を合わせて20名も居ないと。多いか少ないか鷹瑳に聞くと圧倒的に少ないみたいだ。...確かに越前朝倉家で考えるなら俺も鷹瑳も孫三郎も景連叔父も皆が朝倉一族になる。あの英雄の宗滴殿もそうだ。
初代様から辿っても帰農した人もいるだろう。そんな人も、証明さえ出来れば朝倉一族なのだ。
はっきり言って俺達も把握仕切れてない。おそらく越前にいる朝倉だけでも1000は軽く越えるんじゃないか?
そう考えると20は少ないか。5年近く逃亡してたんだ。チリジリにもなるか。
鷹瑳から真田の方も進展があったとの報告が来た。
こちらは郎党100人。それを受け入れることが出来るなら向かいたいと。
またまたテンションが上がるわ!
思わず「シャッ!」と出てしまったがしょうがない。勢いのまま直ぐ様OKを出そうとしたが、それは苦笑いの鷹瑳に止められた。
「受け入れることはできます。ただ100人規模なので殿に報告しなければなりません。住居も確保してからです」
とストップを掛けられた。そうだよな。そんなこと当たり前なのに。受け入れる立場の俺が一番に考えないといけないのにな。自分のことだけを考えること、テンションが高くなると直ぐ様行動に移すことを治さないといけないな。
水車造りはかなり難航している。
少し疲れが見える善次郎は設計図と共に、俺の言わんとしていることが伝わった様だが、今まで造っていた物と規模が違う。
捗っていないようだ。
「俺、大工じゃないのに」とか呟いていたが気にしない。機密事項でもあるのに知ってる人を増やす訳がないだろう。
また難航している他の理由として、水車に合わせた専用の石臼を造らないといけないし、粉砕筒の重さに中央棒?が耐えられない可能性もあるので材質選びも重要になってくる。
完成の目処が立っていないので来年まで持ち越しになるのかもしれない。
1543年 6月
長夜叉兄上は8歳の時から富田流剣術を学んでいる。今10歳の兄上だが筋がいいらしい。
体付きも湯タンポ代わりになってたお腹を筆頭に、贅肉が無くってきたみたいだ。何やら最近は凛々しくなってきてる。
それに伴って女性に対して興味も出てきたらしいと、父上がニヤケ顔で報告してきた。
そんなの10に満たない次男にする話じゃないでしょうに。
一乗谷の城下には富田流剣術の大きな道場があり藤吉郎のような下級武士はそこへ、兄上やその側近、上級武士が稽古するときは師範を城内に呼んで行う。いくつから稽古を始める等の規定はないが、俺はまだ体が出来ていないため参加はしていない。
俺より少し上の孫三郎は最近藤吉郎に倣って稽古に参加し始めた。歳が近い二人は幼い少年らしく、稽古を通して仲良くなっていた。孫三郎も一緒に稽古を受けたいからと藤吉郎に合わせて道場の方に行ってる。
今日城内に来た師範は川崎鑰之助と言う変わった名前の二十歳。この時代に生まれてから見た中で一番のイケメンである。
そう、イケメンだ。
俺は彼のことをイケメンだと思っている。そしてそれは城勤めの女性陣もそう思ってるらしい。どうやら顔面の美意識は現代と差ほど変わらない様だ。それなら1度でいいから絶世の美人と言われる織田市や帰蝶とか観てみたい。後は無理かもしれんが陶晴賢とかさ。
そんな彼が師範として来ると城務めの女性達も稽古場として利用している広間を通りすぎる回数が多くなる。この時代に恋愛の駆け引きなんて無いから女性陣も割とダイレクトだ。
黄色い声を出すと流石に怒られるので皆口を両手で防いで熱っぽい視線で彼を見てる。
稽古を立ち見している女性もいるが彼女等は仕事が一段落した女性達だ。そしてそれは怒られない。
父上も表沙汰にお触れを出したわけではないが「色男を見て仕事が進むなら怒らないでやれ」とかなり寛大だった。
何故なのか聞いてみると
「娯楽が無いことがこんなにも辛いとは思わなんだ。公家も絵札を描いてる時は生き生きしておる。儂も石転と数絵札を仕事を終えてからやりたいからな」
と俺の頭をクシャクシャにして言う。
ちなみに数絵札はトランプのことだ。
そんな訳で色男は女性の娯楽となっている。
今までやってきたもの。
俺が考えた訳でも苦労した訳でもないが人の笑顔を作る切欠になったと考えた時。
なにやら誇らしい気持ちになった。




