第1話 勝ち組と負け組。俺は超絶勝ち組!かと思ったら
初めまして、マーマリアンです。処女作です。優しく見守ってくれると嬉しいです。また作者自身も知識に乏しい部分が多々ありますのでそのような間違いがあれば指摘してくれると有難いです
人の勝ち組と負け組とはなんだろうか?
パッと思い付くのは資産の有無や容姿の優劣だろうが、それだけが決め手となるわけでもないだろう。
金持ちのボッチ、無能なイケメン。
人によっては価値要素を多くを持つ者もいるだろうが、他者に誇れるものが一つでもあればそれだけで勝ち組だと言う人もいるだろう。
かくいう俺もこの30年近い人生で、そこまで深くは考えた事は無かったのだが...今に意見を求められたなら「将来性」と答えよう。
とまあ、何故俺がいきなりこんな話題を提示したのかと言うと、今の俺の立場や状況がかなりブっ飛んでいるからだ。
スイーツ(笑)とか言われるのは癪だが、まず言えるのは俺は死んだ。その記憶は鮮明に残ってる。
小学生の頃から愛読しているとある連載漫画。
作者の病気によって長期に渡り休載と連載を繰り返していたその漫画の新刊が発売されたのだ。
本誌派によるネタバレを躱し、SNSやネット閲覧中にその漫画に関連する情報は意図的に避けてきた。
その頑張りのお陰で本屋からの帰りはウキウキだったんだ。
だけどそれがいけなかったんだよなぁ。帰宅を急ぐあまり駅の階段から足を踏み外して後頭部を強打したんだよ。
待ってくれよ!
「私が止める」ってイケメンが言っていた続きが見たいんだ!それに主人公の少年はどうなったんだ!?今の話は彼をそっちのけで進んでいるがせめて動向くらいは...
痛い痛いと感じながらも、言葉にしようとしても喉は動こうともず、徐々に瞼が重くなって眠気に襲われた。
まるで暗闇に沈んでいく様な...感覚がもの凄く怖かったのは覚えてる。
まどろみ中で「あぁ、俺も家族の元に向かうのだろうなぁー」って考えた直後にさ。
いつの間にかオギャアオギャアーって...俺が声を出してたんだよ。自分でも叫んでいると分かっているけど口が閉じれない。
俺ウルセーとか思ってたら回りも「徳!でかした!」「おめでとうございます!殿!」とか「元気に泣いてますね。」
とか声が大きいの大きいの。
まっ!瞬時に理解したね。これは転生したと。
本当にあるんだなぁーとか、神様に会ってないけどチート貰ってないよな?とか、そもそも剣と魔法の世界なのか?
とか順に考えてたら「この子の名はろくろうだ!」とかまた大きな声で男が叫んでいた。
モロに和名だった。
視界がボヤけてるが先程から声の大きい男性が俺の父親なのだろう。
よくある中世様式ではなく、和風な書院造りで少ししょんぼりしたが、聞こえてくる声の数や、言葉使いからするとかなり裕福な家なのだろうと察することができた。
侍女と思われる女性達から「殿」と呼ばれる立場の人の子供という事を考えると、将来性という点で見ればかなりの勝ち組なのではないか?
不思議な力が無くても意識はあるし、思考もできる。
凄ぇラッキー!
なーんて思ってた時期が僕にもありました。
まず、生まれて1年近くでわかったのはこの世界が戦国の世であること。たまに可愛がってくれる男の子がいて、その子が7つ離れた長夜叉という兄貴だということ。
決め手だったのは俺のパピーは御偉いさんにも関わらず基本的に在宅ワーカーなので、家にいながら色んな人の会話が聞こえる時がある。「石山が一揆を煽ってる」「まだ畿内は荒れるだろう」という内容から戦国だと判断した。
まぁ基本動けないからね。こんなもんよ。
魔法なんてないと確信したのもこのくらいの時期だったと思う。回りも使ってないし、俺もそんなパワーを感じ無かったしさ。結構ショックだった。
だけどそれを上回る衝撃は別にあったんだ...
色々不便な赤ちゃん時代も終わりに近付き、一度目の冬が終わった位に乳母が言ったんだ。「六郎様は落ち着きがあっていいですね。長夜叉様もお元気ですし、これで越前朝倉家も安泰ですね」
ってさ。
少しビビったさ。
越前の朝倉家と言えばかの風雲児の踏み台だ。
乳母の話を聞いて不安になり、それを否定するかのように情報を集めた。違って欲しいと。
この頃には不安定ながらも歩ける様になったし、たどたどしいが多少は喋る事が出来た。
それにより活動範囲が広がったから、色んな事についてバンバン聞いて回った。家族も乳母も活発になったことを喜んでいたが俺はそれ処じゃ無かった...
情報を集めれば集めるほど不安が現実になっていったよ。
お隣の近江にある浅井家は当主の名が亮政、そして現在の将軍が12代目ということ。さらに甲斐の国では国主である父親を追放して息子が家督を乗っ取った事件が起きたらしい。その下手人である息子は晴信という名のようで...
ろくろう→六郎です
また1540年生まれになります。