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機械仕掛の異世界英雄伝説  作者: 桃芳亜沙華
始まりの物語
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歯車は

 ヴェギア・サリベルード。

 22歳の若さにして、王国の一つの部隊を任された腕利きのきしである。そして、純正の魔鎧に選ばれた選ばれし者の一人。


 魔鎧とは、人の心が具現化したものだと言われている。その多くは、強い信念を持つ者だけが手にすると言い伝えられているからだ。強い信念、そして強く鍛えられた肉体。その二つが両立した時、その者は魔鎧を目覚めさせる事が出来るのだ。

 その多くは特殊な効果を発揮したり、自身の能力を上げたりする事が殆どである。魔鎧には一つとして同じ物は存在しないはずであった。



 だが、幾年の研究により、人工的な魔鎧が作り出されるようになってしまった。それは、少しの適性があれば、誰にでも運用が可能なのだ。力を欲する者にはさぞ魅力的に映るだろう。

 だが、その存在は広く認知されているわけではない。


 それが存在すると分かれば、欲するものは後を絶たないのは明白だ。だが、知られてないが故にそれを使用して悪事を働く者達が居るのも確かなのだ。

 その人工的な魔鎧を生産している研究者は、未だ捉えられていない。


 それは何故か。


 既に、この国には居ないからだ。

 アギルゼス王国から亡命し、ボスティア草原を抜けた遥か先、ビモグランデ王国へと逃げ延びていたというのが、近年判明した。


 ボスティア草原へと逃げた時、誰もがその研究者は長くないだろうと危険を犯してまで追いはしなかった。その結果がこれなのだ。



 ヴェギアには、それからボスティア草原の哨戒が命じられている。

 いつ、研究者が強力な人工的な魔鎧の開発に成功するかも分からない。もしかしたら、既に完成しているのかもしれない。


 そんな時だ。彼がボスティア草原にて、呆気なく仕留められたザンドレアの亡骸を発見したのは。

 無関係、と言うには不明な点が多すぎる。


 なによりも、ボスティア草原でそれが発見されたのが一番の問題なのだ。

 調査の兵が一人、草原にて未帰還の報告を受け、森の境目付近の調査をしていたところ、ザンドレアの発見があった。

 元より、付近での目撃が続いた為、討伐隊編成の為の最終調査での未帰還だったのだ。

 調査隊はザンドレアの襲撃を受け、一度散り散りに、後に生還した者達からの報告から、未帰還の者はザンドレアの餌食となってしまったのだろう。


 だが、ザンドレアは死んでいた。


 何者かに殺されていた。



 これは、不吉の始まりなのか。


 ヴェギアは奔走する。

 自らが命を懸けた、王国の為に。


 どちらにせよ、まだ情報が足りない。

 ヴェギアは使いを国全体へと走らせた。



 そして、数日後。

 ヴェギアは集められた情報の中に1つ、不明瞭な噂を見つける。

 王国の周辺によりひろまっていると伝えられた、白銀の勇者の噂を。


 全身白い鎧に身を包み、圧倒的な力で人々や村を救っていると言われる謎の存在。

 その姿は、大巨漢のようだったとも、まだ年端のいかぬ少女のようだったとも言われているのだ。


 まったく、わけが分からない。



 だが既に、歯車は動き出している。

 ゆっくりと、誰にも気付かれないまま。

魔鎧【まがい】と読みます。

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