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機械仕掛の異世界英雄伝説  作者: 桃芳亜沙華
始まりの物語
1/65

始まりは突然やってくる

初投稿です。

 目の前には果てしなく広がる大草原。 鮮やかな緑が作り出す大地は、遥か地平線まで続いているようにも見える。

 そよぐ風は私の髪を靡かせ、草原を駆けてゆく。

 ここは地球ではない。

 それどころか、常識も何もかもが、私の知っているものとは違う……らしい。



 ゆっくりと深呼吸をしてみる。


 爽やかな澄んだ空気の、柔らかな草のにおいが大自然の中に立っていることを知らせてくれる。


 体を動かしてみる。


 どこにも問題は無い。 それどころか、以前より格段に自分の体が、軽くなっているようにも感じる。


 ここは異世界。


 そして、私は…………ただの人間、だった。


 この世界に来るまでは。




 ぼんやりと、理解してしまっているのだ。


 今の私が、どうなっているのか。




 ここが異世界だということも、私がただの人間でなくなってしまっている事も。

 地球へ、元の世界へ帰る方法が分からないという事も。


 もう一度周囲を見渡してみる。辺りに広がるのはどの方向を見ても、地平線まで続きそうな草原でしかない。

 どうしろというのだ。

 いや、薄らぼんやりと、誰かと話したような、漠然とした記憶とも呼べない何かが、私の頭の中で存在を主張するように、軽い頭痛と共に現れる。

 私は普通の人間ではなくなってしまった。というのも、普通の人には使えない筈のものが使えるようになっているのだ。まだ、試してはいないが、それが成功するという確信はある。

 一度、試してみるべきだろうか。

 ここで何もせずに立ち尽くすばかりでは、何も進まない。試してみよう。


 ゆっくりと息を吐き、目を閉じ、集中力を高める。ぼんやりと、温かい何かが私の体をゆっくりと包み込む。

 それが私の体を包み込んだのを感じると、私は目を開いた。体が淡く温かな光を放っている。

 やはり、私は普通の人間ではなくなってしまったらしい。少なくとも、私の記憶にある普通の人間は集中したところで体が発光したりなんてしなかった筈だ。


 私はどうなってしまうのだろうか、という不安はある。恐怖もある。本当なら絶望に打ちひしがれて、泣き崩れるのも行動としては間違っていないのだろう。

 なのに、何故だろうか。少し、ワクワクしている自分がいるのだ。何も分からない見知らぬ場所に一人で、このような状況に遭遇しているというのに。まるで、子どもが物語の冒険を夢見るように、私もまた、この状況に確かな期待を感じている。

 現実では感じられなかった興奮が、ここにはあるのかもしれない。

 危険を伴うかもしれない、期待通りのものではないかもしれない。


 だけれど、今は夢を見よう。



 ぼんやりとした空間で、ぼんやりとした記憶の中の、一つだけハッキリと覚えている言葉を。



 「変身!」



 そして、私の体は眩い光に包み込まれた。


次回、書きあがり次第投稿。

投稿不定期。

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