表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世界  作者: 新々
72/84

72

「たぶん、あの娘がみんなに何かいったんだと思うけど、どんなことをいわれたかなんて怖くて訊けなかったし、それにその時はまだその娘のことが好きだったから、信じていたくて、詮索せんさくはしなかったの」

 それでも仲良くしてくれるはいたけど、それも彼氏ができたりするとちゆちゃんと話すこともなくなって、そしてある時、その仲の良かった娘の口から気持ち悪いという言葉が出てくるのを耳にしてしまったらしい。

「教室に忘れもの取りに行こうとしたら、私のことそういってるのを聞いちゃって。立ち聞きするつもりはなかったんだけど」

 でも、でも――とちゆちゃんはまたぽろぽろと泣き始めた。わたしは腕を回してちゆちゃんを抱き寄せて、そっと頭をなでた。

「ちゆちゃんは気持ち悪くなんかないよ」

「……のりちゃん」

 ちゆちゃんはわたしにすべてを預けるように抱きついて、肩に顔を埋めたまま、しばらく子供のように声を上げて泣いた。

 わたしも涙が出そうだった。胸が締めつけられるように痛かったし、ちゆちゃんを傷つけたその友達や、彼女が憎かった。悔しさも感じたし、悲しさもつのった。でもだからこそ泣いてはいけないような気がして、わたしはちゆちゃんの頭をなで続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ