70
それからわたしは入学式の時から今まで、わたしがちゆちゃんのことをどんな風に見てきたか、ちゆちゃんに対してどんなことを思ってきたか、そして、どんなことをしてきたか――すべて洗いざらい話した。
おそろいを買いに走ったことも。
望んでいた世界のことも。
いらいらしたことも。
ソックスのことも。
慰めたことも。
何もかも。
全部。
不思議と恥ずかしさは感じなかった。迷いも躊躇いもなかったし、言葉を選ぶこともしなかった。選べるほど語威力がないのもあるけど、それも含めてすべてがわたしだから。
一週間前も一秒前も今もこの先もそのまた先も。
すべて同じわたしだから。
そんなわたしのすべてを認めたいから、認めて欲しいから、隠さなかった。
「どうかな? わたしの好き、ちゆちゃんと同じかな?」
すべて話し終えた後で、わたしはそう問いかけた。
ちゆちゃんはしばらく黙っていたけど、同じだよ、と小さくそういった。
「本当に? 本当に同じ?」
「本当に、本当に同じだよ」
嬉しい、という言葉と一緒に、ぽたり、と温かい滴が頬に落ちてきた。
ぽたり、とまたひと滴。つーっと頬から耳へ流れていく。またぽたり。




