61/84
61
それから数日後の、終業式の日。
「よう、のりすけ。どうだった?」
成績表をぼんやり眺めていると、さっちゃんが覗き込んできた。
「すげぇ、超ど級がふたつもある」
「何それ」
成績はAからEの五段階評価で、もちろんAが一番いい。何を見て超ど級といったのかはわからないけど、褒められてないことだけはなんとなくわかった。
「そっちはどうなの?」
「あたしはB級」
見ると本当にすべてB級だった。ある意味すごい。
「ちなみに胸も同じ」
と得意気にB級なギャグをいう。
さすが、B級の頭はいうことが違うね。
「お前、今あたしのことバカにしただろ」
「全然してな……ったぁ!」
しゃべっている途中でデコピンされる。
暴力だ、と睨むと、さっちゃんはちょっと真剣な目つきで、あたしにもしてよといった。
「してって? デコピン?」
「そう。思う存分」
ほら、と首を傾ける。
冗談――とも思えない態度だったので、空気を読んで指を弾く。
「これでお相子な」
ちょっとだけ嬉しそうな顔でそういった後、
「あたしは何があっても規子の親友だからな」
といって笑った。




