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新世界  作者: 新々
53/84

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 それは温かい幸せよりも、より強くちゆちゃんを感じられた。

 だからもっとその刺激が欲しかった。もっとちゆちゃんを感じたかった。

 感じて、苦しんで、気持ちよくなって、そうやってちゆちゃんで何もかも満たして、溺れるくらいの快感を得たかった。

 そんなわたしが、ちゆちゃんの私物の置いてある教室にひとりいて、何もしないでいられるわけがなかった。

 きらり、と空が一瞬きらめく。

 その瞬間、わたしの頭の中にも閃光が走った。

 遅れて届いた雷鳴と同じく、時間差で心臓がバクバク鳴る。

 けれども不思議と気持ちは落ち着いていた。

 身体と心がゆっくりと乖離かいりして行く。

 やがて離れていった心に引きずられるようにして、わたしはちゆちゃんの席へと移動した。

 イスに座り、クーラーで冷え切った寒々しい刺激をお尻に感じながら、フックに引っかかっているソックスを手に取る。冷たく、湿り気を含んだその感触に、身体中が燃え上がったように熱くなる。

 わざわざ鼻を近づけなくても、ソックスからはちゆちゃんの匂いがした。


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