表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世界  作者: 新々
51/84

51

 スカートを捲ることも、ちゆちゃんの上に乗ることも、だからわたしだけの特別を求めて、わたしにしかできないことだと、そう思ってやったことだった。でもこの前、ふざけて友達とスカートを捲り合って笑ったり、誰かを膝の上に乗せたり、あるいは乗ったりして楽しそうに話すちゆちゃんを見かけて、わたしは胸に鉄の棒でも突き刺されたような痛みを味わった。

 そしてその痛みを味わった瞬間から、わたしの苦しみは始まった。

 ちゆちゃんを見るたびに痛みが走り、触れ合うたびに卒倒しそうになったりした。

 でも、それよりも一番わたしを痛めつけ、苦しめたのは実のところちゆちゃん自身じゃなくて、ちゆちゃんを取り巻くあらゆるものだった。

 ちゆちゃんに憧れを抱いていた頃のわたしは、片っ端からちゆちゃんの持っているもの、使っているものを買い集めていた。シャーペンにリップ、ソックス、缶バッヂ、あるいはシャンプーなんてものまで。そしてしまいには同じ下着まで買ってしまった。

 それらすべてが、わたしにとってはちゆちゃんを感じられるかけがえのないもので、だから家にひとりいても、学校でちゆちゃんを見かけなくても、同じソックスを履いていれば、下着を身につけていれば、あるいはシャーペンで文字を書いたり、リップを塗るほんのわずかな瞬間があるだけでも、わたしはちゆちゃんと溶け合うことができて、幸せな気持ちに浸れたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ