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スカートを捲ることも、ちゆちゃんの上に乗ることも、だからわたしだけの特別を求めて、わたしにしかできないことだと、そう思ってやったことだった。でもこの前、ふざけて友達とスカートを捲り合って笑ったり、誰かを膝の上に乗せたり、あるいは乗ったりして楽しそうに話すちゆちゃんを見かけて、わたしは胸に鉄の棒でも突き刺されたような痛みを味わった。
そしてその痛みを味わった瞬間から、わたしの苦しみは始まった。
ちゆちゃんを見るたびに痛みが走り、触れ合うたびに卒倒しそうになったりした。
でも、それよりも一番わたしを痛めつけ、苦しめたのは実のところちゆちゃん自身じゃなくて、ちゆちゃんを取り巻くあらゆるものだった。
ちゆちゃんに憧れを抱いていた頃のわたしは、片っ端からちゆちゃんの持っているもの、使っているものを買い集めていた。シャーペンにリップ、ソックス、缶バッヂ、あるいはシャンプーなんてものまで。そしてしまいには同じ下着まで買ってしまった。
それらすべてが、わたしにとってはちゆちゃんを感じられるかけがえのないもので、だから家にひとりいても、学校でちゆちゃんを見かけなくても、同じソックスを履いていれば、下着を身につけていれば、あるいはシャーペンで文字を書いたり、リップを塗るほんのわずかな瞬間があるだけでも、わたしはちゆちゃんと溶け合うことができて、幸せな気持ちに浸れたのだ。




