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さっちゃんのいうように、たしかにわたしは変わったのかもしれない。どうこがどう変わったのかは自分でもよくわからないけど、少なくとも少し前までのわたしにこんな大胆なことはできなかったし、たとえ望んでいても口には出せなかった。
そんな風に変われたのは、さっちゃんのいうように、ちゆちゃんのおかげなのかもしれない。
ちゆちゃんと出逢って、
ちゆちゃんと話して、
ちゆちゃんに触れて、
ちゆちゃんを感じて、
わたしは新しいわたしになった。
だから今のわたしのいくつかは、ちゆちゃんでできている。
それはわたしが望んでいた世界。
でも、本当に望んでいたのは、わたしとちゆちゃんが溶け合う世界であって、わたしひとりだけが溶けてしまうことじゃない。ちゆちゃんの中にわたしがいて初めて、望んだ世界になるのだ。
ちゆちゃんと溶け合いたい。
もっともっと溶け合って、ひとつになりたい。
でも、わたしがそう願えば願うほど、そうはならない世界ばかりがわたしの前にちらついた。
ちゆちゃんがわたし以外の人と話したり。
ちゆちゃんがわたし以外の人に触ったり。
ちゆちゃんがわたし以外の人に笑顔を向けたり――。
それは今まで何十回、何百回と見てきたことで、今さら気にすることでないのかもしれないけど、でも気になったし、気に食わなかった。
何が、といわれてもわからない。
ただ、いらいらした。
そのいらいらは日に日にエスカレートして、ちゆちゃんがわたし以外の人のそばにいるだけで、なぜだか無性に腹が立った。




