表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世界  作者: 新々
30/84

30

 着てる?

 着てるよ。

 そんな会話をなんどもくり返した。その時も、今と同じようなことをいっていたように思う。

 疑ってるわけじゃないんだけど。

 本当のことをいえば、わたしも同じ気持ちだった。だから立風さんがこうしてあまり使われないトイレにわたしを連れてきた理由も理解できたし、そしてこれから何をするかも、だいたい想像がついていた。

 時々大胆な行動に出ることは、喫茶店の一件で諒解済みだから今さら驚かないし、こういうことがわたしの頭の中に一度でも過ぎらなかったわけじゃないから、わたしと一緒だったんだとまた気づいて、むしろ嬉しかった。

 不思議だった。

 下着一枚替えただけで、こんなにも立風さんと同じになれるなんて。

 まだまだ入口だけど、溶け合うことなんてずっとずっと先だけど、ふたりだけの時間、ふりだけの空間で、ふりだけの秘密をたしかめ合えることは、今わたしが手にできるすべてのような気がして、そう思うと、今感じているこの恥じらいもこのドキドキも、強く背中を押す力になるような気がした。

 だからわたしは一歩前に出る勢いで、こういった。

「わたしも、見せて欲しいな」

 立風さんはいつかと同じように、迷うことも躊躇ためらうこともなく、黙って自分のスカートに手を伸ばした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ