3/84
03
とはいえ、たとえ立風さんをみんなが嫌いになっても、わたしだけは好きでい続けると、ない胸にいつもそんな誓いを立てている。ない、はよけいだけど。いや、よけいなものがないから、ないんだけど。
本当にないんだけど。
話が逸れた。
こんな具合にまともな思考ができないほど頭の悪い、立風さんとは何から何まで真逆の要素を持った絶望的にかわいくないわたしは、だからこそわたしにないすべてをもっている立風さんに強く憧れている。惹かれている。思い焦がれている。
その憧れは理想といい換えることもできるけど、わたしの憧れはそういうものとはちょっと違っていて、別に理想を追い求めているわけじゃなく、それはもちろん近づければそれに越したことはないし、わたしも立風さんのようになれたら嬉しいけど、それはもう来世か来々世ぐらいにでもならないとたぶん無理だろうし、なれる保障はないし、そもそもなりたいわけじゃなくて、ただわたしは立風さんと一緒の世界に住んでみたいだけだった。
一緒の世界というのは、ええっと――。