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一緒の下着をつけていることは、わたしたちだけしか知らないこと。
それはふたりだけの秘密――。
秘密という言葉だけで甘美に浸ってしまう。そして気づく。
それはわたしが求めていた世界、そのものなのだと。
立風さんしか知らない世界をわたしだけが知ることができる、そんな世界。共有、共感を越えて同じになれる――わたしが立風さんになるわけでも、立風さんがわたしになるわけでもない、溶け合うみたいにお互いがひとつになれる。
そんな世界。
そんな世界を、わたしはずっとずっと望んでいたのだと。
この下着は――ふたりだけの秘密は、だからその世界の入口で、たとえるなら扉の鍵のようなものだった。
この下着をつけた瞬間、わたしの中で新しい世界への扉が開くことになる。
今日までのことが大げさだったように、今感じている、考えているこのことも、後から振り返ってみれば滑稽に見えるかもしれない。でも、それならそれで構わない。
こんなに嬉しくて、楽しくて、幸せを感じることはないのだから。
翌日、わたしはその下着をつけて、登校した。
不思議とその瞬間、新しい世界への扉が開け放たれる音を耳にしたような気がした。




