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お店で買った瞬間から、わたしはそのことばかり考えていた。でも一緒に着ようだなんて、まさかそんなこと、気軽に口に出せるわけもなかった。
ところがそのまさかで、本当に気軽に、口に出してしまえたのだ。
わたしでなく、立風さんが。
――今日買った下着、明日一緒に着けていこうよ。
おそろいを買えたことがわたしの起こした奇跡なら、願いを叶えたこれは、いったい誰が起こした奇跡なのか。
奇跡なんてそうそう起こせるもんじゃない。
可能なのは神か、あるいはそれに順ずる存在だ。天使のような笑顔をもつ立風さんのことだから、ひょっとしたらこれは立風さんが起こした奇跡なのかもしれない。
ありえないことが起こり過ぎて少し不安になるけど、でも、いたずらに不安がっていてはせっかくの幸せが逃げてしまう。
明日、この下着をつけて学校に行く。
全校生徒の中で同じ下着をつけているのは、たぶんわたしと立風さんだけだろう。いや、他にもいる可能性はある。でも、それは調べてみないとわからない。
そう、わからないのだ。




