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「そうなんだ?」
もちろん知ってるけどね。シャンプーとか、ソックスとか。
「じゃあこの中で欲しいのとかあるの?」
「うーん、これっていうのはないんだけど、でも実際見たら欲しくなっちゃうかも。ひとつ大きいお店知ってるんだけど、私の地元にあるお店の本店でさ、たぶんそこなら売ってると思うんだよね。あ、これかわいいかも」
そういって、立風さんはまた雑誌に集中し始める。その姿を見ながら、わたしは再び廻ってきた千歳一遇のチャンスに震えていた。
立風さんと一緒にお買いもの――。
今までわたしは立風さんがすでに持っているものを後から買いそろえていた。ひとりでお店を回ったり、時にはネットで探したりして、いつもこっそり買っていた。うしろめたい気持ちはなかったけど、ネットは届くまでに時間がかかったし、どこに売っているか調べるだけでも骨を折って、すぐに手に入れられないもどかしさはいつも感じていた。でも、そんなもどかしさはもちろん、陥っている飽和状態をも解決する方法をわたしは今まさに思いついてしまったのだ。




