17
一瞬、間があった後で、立風さんはいたずらっぽく笑った。その表情の変化を見て、わたしは墓穴を掘ったことを悟った。掘ってもその穴に入れないのが辛いところだ。だからせめて恥ずかしくて泣きそうな演技をして、立風さんをちょっと責めてみる。
恥ずかしいのは、演技じゃないけど。
「あ……その、ごめんね。ちょっとからかい過ぎたかも」
演技の効果か、立風さんは急に沈んだ声でそういった。目も少し伏せて、心持ち表情も曇っている。そのしおれた雰囲気の顔もたまらなくかわいかった。でもあまりやり過ぎると気まずくなるからと、顔の筋肉を戻そうとした時だった。
「でも、私も今日は素楠さんと同じような色なんだよ?」
ほら、となんの迷いも躊躇いもなく、立風さんは自分のスカートを捲った。
わたしたちが今座っているのは壁面の一番隅のソファ席で、わたしの後ろはだから壁しかなく、となりとそのとなりの席は空いていたし、ソファには手すりがついていたから、角度的にいって立風さんがそんな大胆なことをしてもわたし以外の人にスカートの下のものを見られる可能性は著しく低かった。
いや、もう可能性とかそういう話じゃなくて。




