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「……大人っぽい趣味なんだね」
「そう、かな」
「だって透けてるよ、これ」
いわれて、ショーツのバックが透けたデザインだということに気づく。よく見れば大人系のあなたに、と書かれていた。本当にこんなのつける人いるのかな。でも、立風さんなら似合いそうだけど――って、そうじゃなくて。
「えっと……色! そう! 色、色がね、好きなの、色が!」
「そんなに色、色、いわなくても」
そういって立風さんは笑った。わたしはなんだかいたたまれなくなって抹茶ラテを思いっきり吸い込んだ。ちょっとむせそうになる。
「あーでも、素楠さんの色っぽいよね」
「わたしの色っぽい?」
「だって今日履いてるのも同じ色でしょ?」
いいながら、すっとわたしの膝あたりに視線を下げる。
わたしと立風さんの間にあるテーブルは膝くらいまでの高さしかなく、ソファも少し後ろのほうへ傾いていた。だから向けられた視線が意味することにはすぐに気づいて、慌てて雑誌でスカートを押えたら、また立風さんが笑った。
「大丈夫、見えてないから」
「え、でも……じ、じゃあなんで知ってるの?」




