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それから一週間くらいが過ぎたある日の放課後、わたしは駅前の本屋にいた。
目的は今日発売のファッション雑誌。急におしゃれに目覚めた――なんてまさかそんなことはなく、これも立風さんと同じものをそろえるためだった。なんでもその雑誌は立風さんのお気に入りで、中学の時から購読しているらしい。もちろん本人の口から直接聞いたわけではなく、たまたまそんな会話を耳にしたのだ。
いや、もう本当にたまたま。
もちろん、その話を耳にした日の放課後はすぐにその雑誌を買いに行った。ファッション誌なんて読んだことなかったから、読んでも正直どこがおもしろいのかさっぱりわからなかったし、全部のページがきらきらしていてすごく眩しかったけど、立風さんが好きというならと、二、三日かけて穴が空くほど目を通した。そのおかでげ内容はほとんど頭に入って、使っているシャンプーの品名だとか、履いているソックスのメーカー名をたまたま――もう一度いうけどたまたま耳にしても、調べる手間が省けてすぐに買いに行けた。というのも全部その雑誌に載っていたのだ。




