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 資料1 自由交易都市トレダの歩み

この話は本編とは直接関係は有りません。読まなくとも本編のストリーは解ります。設定を考えていたら出来てしまいましたのでとりあえず掲載したいと思います。


 自由交易都市トレダは交通のかなめで、三つの国と一つの魔境に接した街だ。

 アナステア大陸の北東部にあるこの街は北にイスパーダ王国、東にクリスト王国、南にイラハジャンナ帝国、そうして西は一番接している面が大きい魔境シャドーウッドの森。

 このトレダの街は複雑な経緯を経て自由交易都市となり繁栄して来た。

 三カ国が唯一交わる所で移動が一番簡単に出来る場所、それがトレダ。

 この場所を掌握すれば交通・交易を支配し出来、イラハジャンナ帝国が握れば二つの国を滅ぼす事も出来る。

 そんな重要な場所は三カ国が放っておく訳が無く、何度と無く三カ国は力で衝突していた。


 始めは街道沿いの小さな町であった。

 イスパーダ王国とクリスト王国をつなぐ街道の小さな宿場町でだった。

 イスパーダ王国とクリスト王国の交易が活発であったため豊かではあったが。

 状況が変わったのは南にあった小国をイラハジャンナ帝国が滅ぼし吸収してイスパーダ王国に国境が交わった時だった。



 北のイスパーダ王国は海に面し平野も多く農業が盛んな豊かな国。


 東のクリスト王国は山間の小国で農業に適した土地はあまり無いが鉱物資源が豊富でその加工製品を輸出し食糧を買い成り立っている国。


 そして南のイラハジャンナ帝国は大陸でも有数の大国で強大な軍事国だ。

 国土は広く人口も他の二カ国より倍以上多い。しかしその国土は内陸で荒廃して人が住むのに適さない場所も多く、海に面した場所が無い。

 イラハジャンナ帝国は豊かな農地と海に面した領土を得るのが悲願で有る事は公の事実であった。


 その悲願ためイラハジャンナ帝国は積極的であった。

 待ち望んだ熟れた果実が目の前にあるのだ。その果実の名はイスパーダ王国。

 イラハジャンナ帝国の欲しい物全てが揃った国。

 そのイスパーダ王国に繋がる街道の要所にトレダはあった。


 狙われたイスパーダ王国は勿論、クリスト王国も物流の経路を押さえられて止められれば戦う事無く干上がって負けてしまう。

 イスパーダ王国とクリスト王国はお互い食料と鉱物製品を依存仕合い、良好な関係でありお互いが必要な国であった。

 ゆえに両国はイラハジャンナ帝国にトレダを支配されるのは絶対に防がなければならなかった。

 また戦術面でもトレダを支配されると各個撃破が容易に成ってしまう要所だった。


 何度も侵攻してくるイラハジャンナ帝国を国力で劣るイスパーダ王国とクリスト王国は元々仲が良く利害も一致しているため、国家の存続をため連合して迎撃し、イラハジャンナ帝国はトレダの町を支配出来ず撤退するという事を繰り返した。


 しかし何度かそんな戦いを繰り返しこのまま睨み合いが続くのかと思われた時期、イラハジャンナ帝国が賭けに出る。今迄の倍以上の兵力、国内の兵士を総動員して侵攻した。イスパーダ王国とクリスト王国も必死に防戦し戦った。死体は山を築き流血は河となった。その大戦を制しイラハジャンナ帝国がトレダを掌握した。イスパーダ王国、クリスト王国は死力を尽くして反抗したためダメージも大きく、二国は抵抗する力も無く滅亡するのも間近と思われた。

 が、その直後大量の魔獣・魔物に襲われた。

 大戦で今迄とは比べ物に為らない程の腐臭を放つ死体の山や流れた濃い血の臭に釣られシャドーウッドの森から強力で大量の魔獣・魔物が現れたのだ。

 イラハジャンナ帝国の遠征・駐留軍も必死に抵抗したがイラハジャンナ帝国も直前の大戦で負った損害も多く抵抗虚しく壊滅した。


 魔物や魔獣たちはイラハジャンナ帝国の遠征・駐留軍を蹂躙し捕食し尽くした後シャドーウッドの森に還っていった。

 それ以降イラハジャンナ帝国も国力に任せた力攻めが出来なくなり三カ国は本当の膠着状況になる。


 トレダの街自体は魔物・魔獣が満足し去った後、交通の要所という事もあり行き交う商人達により町は再建された。


 町が復興されると矢張り三カ国は自分の支配化に置きたく暗躍しだすが両者ともに武力と言う決定打を放つことが出来なく膠着状態になる。


 それを動かしたのはイラハジャンナ帝国の大飢饉だった。死者の数は多すぎて分らず、全滅した農村を多数出す事になった大飢饉の時に商魂逞しいトレダの商人たちはイスパーダ王国から食料を大量に買取、適正な価格でイラハジャンナ帝国に流したのであった。

 イラハジャンナ帝国はそれを拒否する事無く買った。

 その翌年も拒否する事無かった。

 なぜなら飢饉後も多くの死者を出した農村は簡単に復興する訳もなくトレダから流れる来る食料を止める訳にはいかなかった。

 また最後の賭けとして最後の力を振り絞りイスパーダ王国を侵略すと言う事も選択肢には有ったが余りにも歩が悪い賭けだった。

 戦うにしても兵士も餓死して戦力が低下しており、前線を支える食料のが無かった。

 どんな名将を持ってしても無理話だろう。

 前線で徴用しながらと言う手も有るが、始めに激突すのはまず確実トレダの町付近である。

 トレダの町は平原に在り農村もあるが、平原が小さく農作物の収穫量も少ない。

 徴用してもとても大群の腹を満たす事は出来ない。腹が減っては戦ができぬである。

 またトレダを戦場にすると隣のシャドーウッドの森から大量の魔物や魔獣を呼び寄せる恐れがある。そして戦いに勝てなければトレダからの食料の流れは止まってしまう。そうなればイラハジャンナ帝国は飢で国が潰れてしまう。

 とてもではないがその時のイラハジャンナ帝国はそんな歩の悪い賭けは絶対に絶対に出来なかった。赤子でも解る事だった。


 そしてイラハジャンナ帝国はトレダの町から流れてくる食料依存するようになる。

 依存するようになるとイラハジャンナ帝国内部でトレダの商人の力が強くなる。

 トレダの商人達は十分にイラハジャンナ帝国での地位を高めると、イラハジャンナ帝国にトレダの商人達はお願いをした。三カ国で自由に商売をさせて欲しいと。大飢饉になる前はイラハジャンナ帝国ではトレダの商人達は許可が無ければ商売はおろか入国も禁止であった。

 大飢饉の後は実質はトレダの商人達もイラハジャンナ帝国で商売をしていたがそれは特例であった。そのお願いにいやとはイラハジャンナ帝国も言えなかった。

 しかしはいともイラハジャンナ帝国は言えなっかた。それを認めてしまえばトレダは領有を放棄しイスパーダ王国、クリスト王国どちらかのものと認めてたと捉えられないからである。


 現在のトレダは実質はどこの国にも属していなかった。どこか一カ国でも軍を進めて支配しようとすると、それに対応して残りの二カ国も進軍し戦になるからである。今戦争をする余裕は三カ国には無かったのである。三カ国それぞれが領有を主張していたものの、ただイスパーダ王国とクリスト王国がトレダで争う事はおそらく無い。もし争うなら半分で割るか。イスパーダ王国が支配する事になるだろう。だがこれもイラハジャンナ帝国が南方に存在する限り在り得なかった。


 そこで商人たちはイスパーダ王国とクリスト王国にイラハジャンナ帝国と同じ事をお願いをした。ただこちらは元々禁止もされておらず直ぐに認められた。

 だが商人たちは直ぐにこれをイラハジャンナ帝国に伝えず、別の提案をする。

 イスパーダ王国とクリスト王国からもトレドの領有権の主張を公式に言わなくさせるからイラハジャンナ帝国も領有権の主張を公式に言わないようにしてほしいと。


 イラハジャンナ帝国の現状はトレダの町からの流通が止まれば国が国が滅びかねないのが現状である。この復興には如何早く見積もっても十数年、遅れれば数十年掛かるかも知れなかった。トレダを巡って戦争など出来用も無かったが、面子の問題であった。自分だけが始めた争いから引けないと言う。負けだけは認められないとゆう面子である。そしてその様子を三カ国全部から嗅ぎ取ったトレダの商人達はイラハジャンナ帝国に提案した事を残り二カ国にも伝えた。


 イスパーダ王国とクリスト王国は元々はトレダの町の領有をあまり主張していなかった。

 国境の狭間にあり主張して争うよりも曖昧のままで有った方が都合が良かったのだ。

 しかしイラハジャンナ帝国がトレダに攻め入ったため守るために双方領有を強固に主張した経緯がある。

 ゆえに両国は交易の継続の保証とイラハジャンナ帝国が手を出さないと保証されればいいと思っていた。


 そこで三カ国の代表がトレダに集まり会談の場をもった。

 そこで話し合われたことは三カ国ともトレドの領有権を主張を公式の場では発しない事。

 トレダの商人に三カ国での商売を認めること。

 トレダの町の自治を認めると言う事。

 そしてトレダの町から馬車で3日ほどの距離を空白地帯というこことにしここより先にトレダの要請が無ければ軍を進めないと。

 ここに商人達が支配する自由交易都市トレダが誕生したのであった。


 その様な経緯によりトレダは有力商人たちの合議制により管理する事となった。

 その時代の有力商人八人とその八人から選ばれた執政官一人で運営される。


 その後三カ国を自由に商売を出来るようになるとトレダの凄まじい発展を遂げる事になる。


 トレダはその得た富でまず街道を整備した。

 この街道こそがトレダだの命だと言い切っても良い。

 同時に自警騎士団を組織し街道の安全と街の治安に勤めた。


 次に高く頑強な城壁を作り外からの脅威を取り除いた。

 その城壁は高さ約4m50cm、一辺が約2kmの頑強な壁が四方を囲む城壁を。

 その規模は一国の王都に勝るとも劣らぬ程であった。

 それはトレダの民は忘れていなかったからである。街の隣にある森は強力な魔物と魔獣の巣である事を。


 魔境シャドーウッドの森への対策はまだあった。

 多くの冒険者を雇いシャドーウッドの森で狩をする様に依頼し、魔物の数を減らし森の開拓をし魔物や魔獣の領域を狭めようとした。

 その効果は期待した程の物は無かった。開拓の件ははっきり言えば失敗の部類に入るもだった。

 だがこれは失敗して良かったのである。なぜなら下手に森を開発し魔物・魔獣の勢力が減ればイラハジャンナ帝国が攻め込ん来るかもしれない。

 イラハジャンナ帝国はトレダをまだ諦めていない。今は傷を癒し戦力を整えているだけなのは誰もが知っていた。


 失敗はしたがしかしそれには思わぬ副産物があった。

 シャドーウッドの森の魔物や魔獣は上質の素材になった。

 しかも狩って狩っても減る事が無かった。


 交易だけではなく素材の供給源としても有名になり、トレダは交易だけでは無く冒険者の街にもなり益々の発展を続けた。


 こうして自由交易都市トレダはその存在を磐石なものしていった。


お読み頂き有難うございました。本編の方も宜しくお願いします。

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