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4話 卵が孵化した件

 その光の塊であった物を少し離れた場所から改めて観察する。

 今の姿形は鳥の雛の様に見える。先程まで薄っすらと輝いていたのも治っている。

 身体全体に金色の羽毛を生やし、上手く動かす事が出来ない身体を小刻みに震えながら動かし、小さな円らな瞳でキョロキョロと何かを探す様に周りを見、誰かを呼ぶように「ぴいぴい」と可愛らしく綺麗な音で啼いている。


 少し近づき更に観察を続ける。

 頭から尻尾までの大きさは14cm位で横幅が9cm位の両掌に収まるようなサイズだ。

 卵の大きさからすると雛はかなり小さいような気がする。

 羽毛はちゃんと生え揃っていてる。

 記憶にある鳥の生まれたての雛の姿は羽毛も生え揃わず毛がまばらでちょっとグロテスクな宇宙人の様な覚えだが、この雛(孵化したてのワイバーンを雛と読んでいいのだろうか。まあこの際姿形が似てるからとりあえず雛ということで)はしっかりと金色に輝く羽が生え揃っているせいか神聖な感じがする。

 本当にワイバーンの雛なのだろうか?

 比較対象がうろ覚えの鳥の雛等でいいのだろうか?

 ワイバーンの卵は見た事があったが、生まれたての姿など見た事も無い。気にもしなかった。

 こんな事なら卵を見た時にしっかりと聴くなり、見に行くなりして置けばよかった。

 後の祭りだ。(ぴーひゃら、ぴーひゃら祭囃子は聴こえてこないが)

 しかし今回のケースはもっともワイバーンの生態を知っていても当てにならないような気がする。

 おそらくまともなワイバーンでは無いんじゃないか。

 頭を抱えて考え込みそうになると、「ピイピイ」とか細く鳴く声が段々大きくなってきて意識を現実に呼び戻される。

 たぶん親を鳴き声で呼んでいる。

 その鳴き声を聞くとむくむくと保護欲と同時に罪悪感が湧いてくる。

 ほおって置く訳にもいかず、鳴き声に釣られて雛に近づき手を差し伸べる。

 しかし、もう少しで手に触られる位置で躊躇し止まってしまう。

 先程の魔力吸収の事を考えると迂闊には手が出せない。

 そんな逡巡をしていると雛のほうから首を精一杯伸ばし手に「ぴいぴい」と鳴きながら頭を擦り付けて甘えてくる。

 その刹那自分の中で何かが爆発する音を確かに聞いた。


 《なに、なにこれ、これかわいいいいいいいい!》


 自分の中の知られざる乙女コスモが爆発し暴れる。先程躊躇した事をわすれ無心で奴雛を両手で抱き上げ頬に摺り寄せる。

 一通り雛の感触を堪能して少し冷静になり恥ずかしさで転げ回りたくなる。

(はっ俺は今何を思ったんだ。スリスリって、久ぶりにぼっちで行動したからだ。きっと・・・)

 そして今更な疑問が1つ湧く。

 たしかワイバーンは懐かい筈ではなかっただろうか。今の状況は懐いているとしか思えない。

 インプリンティングが完了し懐き、親に甘える様にすりよってくる様にしか見えない。

 養殖されているワイバーンも雛の時には甘えてくるのだろうか?

 だとすれば業の深い生き物だ。最弱の状態では甘え擦り寄ってきて、大きくなり強くなると用無しとなり途端に牙をむくなんて。

 いや人間もそうかな・・・・いやいやそんな事ないはずだ。


 ここでまた一つ思い出す。

 現時点で一番重要で気を付けて確かめなければ為らなかった事だ。

 結果的に言えばどうやら卵の時に起きた魔力の吸収は雛の状態だと直接触っても起きていないという事だ。今更ながら思い返し背中に嫌な汗が出る。魔力の急な欠乏は気力を根こそぎ奪い取り高い確率で気絶に継ながる。気絶した状態で魔物に襲われれば流石にまずい。最悪死亡してしまうだろう。自身は卵とのたった1回の瞬間の接触で魔力をもう半分奪われているのだ。この接触でもう半分を瞬時吸い取られる可能性もあったのだ。

 ふと冷静になって行動を色々思い返すと、周りには誰もいないので見られてはおらず、誰かに囃し立てられると言うイタイ最悪(精神的に)は展開は間逃れたが、可愛さに負け注意しなければ為らない事をやらず一人悦になって燥いだ事を思い出すと羞恥心で転げ回りたくなる。

(ここ暫くぼっちだったせいでやっぱり心が少し病んでいたのかな)

 また莫迦なことを考え込んでいると如何したのと謂わんごときに「ぴいぴい」と鳴き頭を摺り寄せてくる。

 頭を摺り寄せてくる奴をマジマジと見詰なおし、緊張しながら頭を指でおそろおそろ撫でる。

 奴もそれに応える様に指に頭を擦り付けてくる。

 やはり可愛い。どんどん保護欲が刺激される。


  どうやらもう諦めるしかない・・・・・(何でだよ)


  もうコイツからは逃れられない・・・・(悪い奴に出会ってしまったな)


  自分で育てるしかない・・・・(イヤ、他の人に任しても)


  イヤ俺が育てる。


  他の奴に等任せられない。

  (なんか変な感情が芽生えてないか不安だ)


 そう思い再び奴を見詰め直した。

お読み頂き有難うございました。読み難いかも知れませんがまだ続きますのでもう暫く御付合いの程宜しくお願いします。

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