1話 歩いていたら襲われた件
一人、人里離れた深い森を抜け開けた草原を歩き始めると突如羽の生えた大きなトカゲの様な蛇の様な物に襲われた。
前足の代わりに羽が生え首がちょっと長くなった大型のトカゲ、所謂竜種の最下級のワイヴァーンである。
(まあ、突如とは言ったが何かがこちらに向かってきていることは分っていたんだけど・・・)
その巨体で空から突進し、鋭い牙や爪、あと矢の様に尖った尻尾等全身を使って攻撃してくる。
最初の一撃を慌てる事無くかわし剣を抜き追い払う為に反撃に移る。
2回、3回と攻撃を加えダメージを与える。
これで逃げるだろうと思っているともう一匹(飛ぶものだから羽?大型の生き物だから頭?・・・まあどれでもいいか)乱入し攻撃に加わってくる。
竜種とは言え空飛ぶオオトカゲ、ワイヴァーンごとき何匹襲ってこようが問題ない、が鬱陶しいので今までダメージを与えた方に多少本気(本気と書いてマジとは読まない)を出し一刀両断する。
これだけ実力を見せ付ければ竜種なのにあまり頭の良くなくプライドも無いワイヴァーンは本能に従って逃げるはずなのにまだ必死に攻撃してくる。
仕方無しに(攻撃してこなければ見逃すのに・・・)追い払う為に反撃にする。
かなりダメージを与えたのだがまだ逃げ出す様子は無い。
(なんか弱い者イジメしている様でやだな・・・・)
仕方が無いのでもう少しダメージを与えて追い払おうとするがなかなか逃げない。
(もう1匹殺してるじゃないかって、あいつ等群れでいると絶対逃げないもん。そのくせ仲間が簡単に大ダメージを与えられて殺されると簡単に逃げ出すから・・・)
殺さないようにダメージを与えていると、ワイヴァーンが突如ふらつき体制が崩れ狙った位置とは違う場所に命中し致命傷になりそうな一撃が入ってしまった。
(あ~あ、やっちゃったよ・・・・いまさらだな・・・・)
ワイヴァーンを見ると矢張りさっきの一撃が効いたみたいで、息も絶え絶えで今にも死にそうな様子なっている。
だが今も鬼の形相(ワイヴァーンなのに)でこちらを睨んでいる。
おもわず身構えるが次の瞬間、大きな羽を羽ばたかせ浮かび上りよろよろと大空に羽ばたき元いた山に変えろとしていた。
その姿は襲って来た時の様な力強さは無く、必死に空に浮かび上がり飛ぼうとする姿だった。
なぜだろう?あの必死の鬼の形相なら自爆覚悟で襲ってくると思ったのだか。
気になるな・・・・・・気になるな・・・・・考えてみるが分らない。
空を見上げてみるとフラフラしながらワイヴァーンが森の奥にある山に向かってゆっくりと必死に飛行する。
気になるので追ってみる事にした。
なので一刀両断したワイヴァーンは魔法の袋に放り込み、まだ目視で確認できる場所を飛んでいるワイヴァーンに向かって走り出した。
(ん、なにか?お前さっきまで弱いもイジメだとか可哀そうだ見たいな事言ってたじゃないかって、そうですがなにか?それなのに亡骸まで利用するのか。いや~殺ちゃった以上最後まで利用してあげないといけないでしょ。ちゃんと全部美味しく頂きました、みたいな。ほら、あの~一応自分も冒険者なんで。)
瀕死なワイヴァーンは早く飛ぶことも出来ず、なんとか最後まで見失う事無はなかった。
どこに向かっているかはなんとなく予想はつたが、森の奥にある山に一直線にふらふらしながら向かっているようだ。
たまに力尽そうになり高度が保てなくなって来るが時があるが、それでも必死に頑張ってギリギリで持ち直す。
そんな様子を見ていると我が身の事のように必死に応援してしまう。
(自分でやっておいてどの面下げて応援しているだとも思わないでもないが)
着かず離れずの距離を保ちながら見失わずに付いて行く。
ワイヴァーンはなんとか山の中腹まで辿り着き山肌に大きく突き出したごつごつした岩場の隙間(ワイヴァーンが入れるので隙間といえないかもしれないが)に最後の力を振り絞り身を投げ出すように着地するのが見えた。
今いる自分の位置からだとそう遠くもないが近くも無い距離だと確認して歩を早める。
途中魔物に襲われるかと思ったが襲われる事も無く、無事に山の中腹まで辿り着く。
すぐに岩場を見つけ不測の事態に備えて気を引き締め近寄るが見つからない。
そういえばあの大きく突き出した岩がないじゃないか。どうやら場所が違うようだ。
遠くから見たら猫額の様に見えた場所も近くに寄ればやはり広かったのだ。
そんなことを数度繰り返して少し嫌気が差し帰ろうかなと思っていた時についにあの山肌に突き出した岩場をみつけた。
今度こそはと再び気を引き締め近寄る。
いた。そこに奴はいた。そこに巨体を横たわらせピクリとも動かずに。
ゆっくりと慎重に近づく。だかピクリとも反応しない。(死んだ真似か、死んだ振りか?)
ワイヴァーンなど怖くは無いが突然動かれてビックとなるのも嫌だ。
しばらく立ち止まり様子を見る。妙な沈黙が纏わりつく。
え~~~いっ!ここで固まっていても仕方が無い。
意を決してワイヴァーンに近づき調査する。どうやらこの場所まできて力尽きたようだ。
やはり最後に与えたダメージは致命傷だったようだ。だが感触ではとてもこんな場所まで飛んで来れないほどの手応えだったはず。
疑問だけが残ったのでもう少し調べてみる。賭ける名もないが謎は解きたいものだ。
・・・・・・・・謎は少し調べただけで予想できた。
なぜなら・・・・・・・・・・
ワイヴァーンの体の下には巣らしきものがあったのだ。
ついでに先程から他の魔物がいない理由が分る。簡単である。雑魚扱いしてたとはいえワイヴァーンである。一応竜種である。その根城の付近に住み着ける魔物はそうはいないのだ。
巣に戻りたくてあんなに必死だったんだろうか・・・・其れだけの筈 無いよな・・・・・
気が重くなってくるがこれも起きてしまった事は仕方がないと横たわっているワイヴァーンも魔法の袋に入れる。
するとやはり巣らしき物が出てきた。
いや巣だ。
なぜならそこには卵らしきものが1つあるからだ。
お読み頂き有難うございました。拙い文章で読み難いかも知れませんが宜しくお願いします。