NEW QUEST Ⅱ
相変わらず不定期投稿になっておりますーw
よろしかったらおよみくださいましー、 桜庭より
【グラッシー】
ガン・レール・オンライン第1ステージである草原。フィールドでは比較的穏やかなMobしか湧出しないため、銃器の調整に当てられることが多い。しかし、迷宮区ではMobが素早くなるため、それなりの腕がないと倒すことは不可能である。
碧屋を出ると、街内のスピーカーから広場で行われている会議の様子が聞こえてきた。スピーカーはいたるところに設置されているため、NPCの武具屋などがセールの度に甲高い声をあげていた。プレイヤーも使うことは可能だが行使は100G~となっているため最初から使うのは結構の勇気がいる。ちなみに初期所持金は1000Gだ。
そんなに重要なことなのだろうか。そう思って耳を傾けると、
"_______まだ、戸惑っている人も多いと思う。だが、あいつのいっていたことは事実だろう。現に俺たちはまだ閉じ込められたままだ"
おそらくはβプレイヤーの誰かであろう声が現状を語っている。
まだ、死ぬかもしれないという状況がわかっていないプレイヤーは大勢いる。俺もそうだ。ここで死んだら現実に戻れるかもしれない、誰だって考えることだ。
"確かに、死ねば帰れるかもしれない。だが、もし戻れなかったら?ウェーブシフターに飲み込まれてしまったら?最悪の状況を考えて行動をしたいと俺は考える、みんなもそうだろ?"
理路整然と身の上を語る彼の言葉は全て正しく、まるで催眠術にかけられたように聞こえた。
グラッシーに入ると、久しぶりに見た光景が最初にここを訪れた時の様子を鮮明に思い出させた。最初のステージは景色重視で現実の四季に準じている。現実世界は春ということで、ここグラッシーもポカポカ陽気満点である。
しかし、そんな呑気なことは言っていられず、Mobにやられると死ぬかもしれない、という淡い緊張感から眼光がキツくなるのを感じ取った。
「まだ、誰も・・・・いないか。少しは気楽にできるかな」
初期武器であるAR-10のマガジンを確認しているとアクティブMobであるLv1ライナサロスがこちらに近づいてきた。
ライナサロスは現実でいうサイのようなMobだが、攻撃ものろい突進(突進と言えるのか?)のみで非常に見切りやすい。
肩に背負ったAR-10の安全装置を外し、それなりのポーズ(アニメ構えのような見よう見まね)で構える。
クリティカルポイントである角に照準器をあわせ、トリガーを引いた。クリティカルポイントを狙うことによって特殊素材がごく稀に手に入ることがある。もちろん、ダメージも通常より高い。
ダダダッダダダッとリズミカルにARの薬莢が排出された。薬莢が地面に落ち、足元に転がり出す。しかしもちろんこの薬莢は5分もたてば、跡形もなくなる。
ガクンッガクンとライナサロスのHPが削れ、0になった。
ポリゴンが消滅すると、経験値と少量のG、ライナサロスの肉が手にはいった。残念ながら、レアアイテムである『サロスの角』は手に入らなかったようだ。
ライナサロスを何頭か倒したとき、レベルアップのファンファーレが鳴り響いた。
「レベルアップか、ボーナスを何に使うかなー」
レベルアップ時にはステータスアップポイントが3手にはいる。アサルター、スナイパーなどに必要なステータスは各々違ってくる。とりあえずSTRに2、AGIに1いれた。
「スキルセレクトも考えないといけないのか」
スキルセレクトはやっぱり・・・
「スキルセレクト、一定のレベルに到達したら現れるパッシブスキルで、最初に現れるのはLv2だな」
誰だッ、と反射的に銃を向けそうになり、あわてて銃口を下げる。男性アバターのようだ。
「もうLv2になったのか、早いな。俺はベッカムって名前だ。どうだ?俺達とパーティーを組まないか?」
身長が180だろうか、いやもっと高いかもしれない。見上げるようにして顔をのぞきこむと、先に演説ぶっていたアバターだと分かった。
「遠慮しとくよ、生憎フレンドもいないし今はソロの方が効率が良いからな」
彼の後ろにいる先程の大勢のプレイヤー達を見ながら答えた。
よくみるとみんな怯えたような浮かない顔をしている。
「最初こそあの男は皆を鼓舞してクリアを掲げてたんだけど、結局はあーなっちゃうんだよ」
隣から急に声がした。見るとそこにはなんとサイファーがいた。
「なんだよ、お前か。さっきはすまなかったな。なんでここに?」
「君に断られてから、あの男についていけばいいと思ってね。でも全くあてがはずれたよ」
聞けばこの男、最終的には手にははいったレアアイテムなどの独り占めを考えているらしい。やっぱり催眠術(詐欺まがい)だったのか、かかった人はいないようだが・・・・
改めてサイファーを含め彼の後ろにいるアバター達を見回した。
「じゃあなんでこんなやつについて来たんだよ。」
一番の疑問だった。皆も気になっただろ?
「今はレアアイテムより生き残ることだからね。僕はまだポジティブだけど・・・」
と、サイファーは一度彼らを見てまた語り出す。
「彼らなんか宿屋に残って街から出ない気でいたんだから。でもまだ、ましかな。街からでないひとは最低でも1000人はいるんじゃないかな」
1000人!?数字を聞いてビックリした。1000人も・・・・
「じゃあ彼らは待つよりは自分が強くなった方が良いと?」
「うん、だからベッカムについてきた。少なくとも彼に従っていれば安全のようだし」
確かに、右も左もわからない初心者たちがβテスターの格好の餌食となるのは聞いたことはあったが・・・、ジャイ○ンかお前は・・・・
「お前もβテスターだろ?初めてのプレイヤーを見て何とも思わないのか」
白々しくまるで自分が人助けをやっているような顔で俺に問いかけてくる。
「おい、サイファー。さっきのは撤回だ。やっぱり俺についてこい」
小声で話しかけ、サイファーの返事を待たずに俺はベッカムとの会話に戻る。
「じゃあ、ひとつだけ。隊を組むなら3~4人の小隊がお薦めだ。50人も連れて1匹のMobを倒すには経験値が少なすぎるからな」
後ろのアバター達はどうすることもできない。だが、これで少なくとも、個々にやられる心配はなくなった。
「そうか、いや邪魔をして済まなかった。おっと、君の名前を聞いていなかったな。教えてくれるか?」
「アインだ。これからラビネンスに用があるんだ、もういいかな」
と簡潔に答えその場を立ち去ろうとAR-10を肩に背負った。
「サイファー、俺が戻るまで街に戻った方がいい」
サイファーからはなんのつもりかウインクがイエスということらしい。
「Lv2・・・たったLv2で一体どこに行こうと言うのだ?ここの適性レベルは1からだが、ラビネンスは10からだぞ」
眉を吊り上げ、嘲笑するかのようにベッカムは言い放った。
「早々に武器を仕入れたいんでね、それに策もある。ご忠告どうもありがとう」
半ば強引に会話を断ち切り、一人でラビネンスに向かった。
★
〈KBR〉
ラビネンスに向かう小道を歩きながら、パッシブスキルの選択について考えた。ベッカムという男が言ったとおり、スキルセレクトが最初に現れるのはLv2だ。
βテスト時には『支援』というパッシブスキルを選択していたのだが、これはパーティーを組んで初めて効力が発揮されるものだ。絶対必須なのだが、これは次のスキルセレクトで選ぶ予定だった。
代わりに俺が選んだパッシブスキルは『索敵』だ。パーティーを組むものには必ずしもいるものではないが、ソロにとっては必要なものだ。
「こうやってスキルセレクトを悩むのもゲームの醍醐味なんだったんだけどな・・・」
βテスト時には悩みまくったスキルを今俺は一瞬で決めた。さだめなのかもしれない。
「でも、やっぱり正しかったみたいだな」
索敵スキルのおかげで、右上に表示されるレーダーに敵カーソルの数が増えたのが確認できた。
レーダーにうつるカーソルタイプが全く同じ状態を表している。これはつまり皆同型のMobである可能性が高い。ここらではまだ新しいMobは出てこないことから、ライナサロスであると想像をつける。
「今はお前たちの相手をしている暇はないんだ、またあとでな」
アイテムストレージを開き残弾を確認、残弾はマガジン5丁分つまり100発である。
初期携帯容量はマガジン7丁であり、それ以上はストレージに収納することができない。別にストレージだけでなく持つ、というか身につけることも可能で、腰にマガジンをつけて歩くテスターもいる。が、行動規制が大きすぎる・・・・とよくファッションで身につけていた某アバターさんに言うと、
『これからはこのファッションがこのゲームで流行になるよぃ!行動規制がなんじゃーぃ、この良さがわからん奴はアイちんみたいなどーてーのふのーヤローだけよぃ』
と、意味不明な下ネタをおっしゃっていた。・・・・大きなお世話だ。
とりあえず、残弾が心もとないことは確かだ。
索敵スキルで広がったレーダーに目を向け、辺りにプレイヤーやMobがいないことを確認する。
「ここら辺なら・・・・・」
俺はとある行為を施して、ラビネンスとは逆の、今来た道を戻った。
迷宮区はフィールドと違い、マップ(レーダー)がきかない。効かないというと語弊があるのだが、いわゆる未踏破マップには効かないということになる。したがって、今マップには俺の半径3メートルの敵しか表示されていない。
クエストである『アシャントルフの実』は、この静寂した森の奥にいるアシャントルフというMobを倒すともらえる。現時点で最も厄介なのはアシャントルフに遠距離からの攻撃が通じにくいことだ。だが、意外なことにアシャントルフは近距離からの攻撃には絶大な威力が発生する。
このガン・レール・オンラインはガンゲーのMMORPGでありながら、銃がつうじにくいというふざけた設定のMobが多くいると公式では言っていた。
「全く・・・・こんなんで突破できんのかよ」
ラビネンスでは突発的にMobに襲われる可能性があるため、常に神経に気を配る必要もあった。
「いた・・・・アシャントルフだ」
森を70m進んだ辺りで最初のアシャントルフにでくわした。
毒々しい赤い身体、手からは蔦のようなものが生えている。
「βテスト時にはこれを倒すのに3回死に戻りしたからなー」
あのとき、俺はLv5でパーティーも組んでいた。フィールドMobとは違いラビネンスは少々高めに攻略難易度が設定されているらしい。先程ベッカムが言ったとおりだ。(ベッカムのは高過ぎだが・・・・)
当然アシャントルフも例外ではなく、手(?)から出される恐ろしく早いツル攻撃には為す術もなかった。
「だいたい、MMORPGってのはボス攻略やレベル上げの過程で数えきれないほど死ぬってのに・・・死ぬなってどういうことだよ」
辺りを見回しつつ愚痴がこぼれる。
そろそろプレイヤーでHPが0になった人がいるかもしれない。いや、グラッシーのフィールドで簡単にはなくならないが・・・
この先、死人無しでクリアできるのだろうか、そんな不安が頭をよぎった。
その時、アシャントルフがいた地点で爆発が起きた。
そう、それは正に俺が用意した策が成功した証にほかならなかった。
どうも皆さん、桜庭です。
今回も拙いですねw
私は勉強頑張ってますよー、応援もしてね♪( ´▽`)
もちろん作品はより良い方向にもっていきますよーっ
レビューかいて下さりありがとーございます。・゜゜(ノД`)
すごいうれしーです。
これからも頑張って書いていきます。(改稿もいっぱいします!笑)
応援よろしくお願いしますー、ぺこっ