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断罪の最中に、「異議のある者は挙手」と言われたので手をあげた伯爵子息の話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/03/01

「エレクシアとは婚約破棄だ!!真実の愛の相手に嫉妬して虐めた!これは、王妃に相応しくない!」



 何だ。王太子殿下が婚約破棄をしている。

 まあ、どうでもよいや。俺には関係ない。


「・・・・でだ!諸君!決を採る!イジメをするエレクシアは将来の王妃に相応しくない。伯爵令嬢だが、ハンナこそ将来の王妃に相応しい。異議のある者は挙手!」


 エレクシア様は膝をついて、顔を覆って泣いておられるのか・・・


 だから、俺は手をあげた。



「はい!」


 シーンである。

 俺1人だ。


「何奴?」


 なにやつって、お前が聞いたのだろう。


「はい、私はヨルグ・テイラーです。テイラー伯爵家第3子です」

「分かった!」




 ☆☆☆二年後



 てなわけで、俺は東の戦いの最前線に配置命令が下った。味方はボロ負けだ。

 騎士団長は、意気揚々と出陣したが、敵は待ち伏せていた。


「ヨルグよ、ワシは報告に行かなければならない。この街の最高防衛責任者に任じる!」


「ヨルグ卿、街の最高行政官に委任する!」


 騎士団長と街の責任者は逃げ出した。

 自力で逃げられる者は逃げた。


 この街にいるのは、貧乏人と数百に満たない兵だ。


「ヨルグ様!如何しますか?」


 と言われても俺は軍学校にいたわけではない。ただの官吏だが・・・・


「まず。門を開けろ」


「はあ?!」

「どうせ勝てないよ」


「それとな。余裕の表情でいろ・・って難しいな」


 城壁の塔の一角に見張りにわざとらしく望遠鏡を持たせ。西北を見させ。なんなら、凧をあげた。



 敵は小隊規模の偵察隊が出てきた。不思議そうな顔をしている。


 そして、兵士は城壁の上や。城門の前にスコップを持たせてワザとらしくいさせた。


「〇×△~!」


 敵の怒号が聞こえてくる。

 敵の本隊は数万、敵の大将はデルタ王国の鼻曲がりのレオン、最近、連勝中の将軍だ。



 ☆☆☆デルタ王国軍


「敵は城門をあけ。凧をあけ合図を送っています。見張所は、我らの反対、西北を見ております!」

「城門の中にはおそらく落とし穴の恐れあり」


 斥候の報告にレオンは迷わず後退を指示した。


「戦争目的は西北の敵、ダール王国軍の粉砕だ。この都市は一応、叩いた方が良いに過ぎない。城門を開けたのは、誘い込んでワナにかける可能性大、それに攻城兵器は持っていない・・・故に、殿しんがりを残し速やかに転進である!」





 ・・・・・・・・・



 レオンの軍は後退した。

 策にもならない策だった。まぐれた。


「やったー、敵は去った」

「ヒィ、良かった・・・」


「お前ら、まだ、あるぞ」

「ヨルグさん・・・もう、戦えないよ」


「でも、戦う。敵は後方ってね」


 俺は委任状があることを良いことに、税金を安くした。

 残って戦った兵にご褒美をあげるべきだ。

 貧民にも財産をわけた。


 これは、逃げ出した上官に対する嫌がらせなのかもしれない。


「ヨルグ・テイラー。予備部隊長に任じる!」

「了解です」


 段々と階級が上がってきた。予備部隊3千の長になった。

 予備部隊とは配置が決まっておらず。本部の後方に位置し。命令によって動く部隊だ。

 だが、老人、新兵、負傷兵が多いな。



「負けた!」

「撤退・・・転進!予備部隊は殿しんがりをせよ!」


 また、我が軍は負けたか・・・どうせよというのか。



「よおし。プランDだ。陣地に籠もって戦え!」

「「「了解!」」」


 ひたすら、陣地に籠もって戦った。陣地は土塁だ。

 戦いの最中に作らせていた。


「隊長!敵は陣地を素通りする部隊があります」

「あ、ほっとけ。それよりも眼前の敵!」


 何とか、全滅をしないで済んだ。



 我が軍は負け続け。

 それにともない俺は出世した。

 ついに、少将になり、レオンと直接対決だ。


 これは負けだな。如何に損害を少なくして負けるか。そればかり考えて布陣した。



 ☆☆☆デルタ王国軍



「レオン閣下!敵は河を背に布陣しております!」


「愚かななり!しかし、敵は決死の覚悟だ。兵を無駄にしてもつまらない。故に、鶴翼の陣で半包囲して士気をくじけ!!」



 ・・・・・・・・・・




 ・・・敵に半包囲された。


 でも、まあいいや。こちらは1万、敵は3万、かないっこない。

 だから、河漁師に聞いておいた。この季節、朝霧が出る。


 夜のうちに、船で橋をつくり。部隊を撤退させた。


 一応、陣地には案山子をつくって兵に見せかけた。



 敵は焦ったらしい。


「な、何だと!馬鹿な!」


 それからは逃げて逃げて逃げまくった。

 都市は固めさせ。敵が攻略を始めたら、背後に現れる。


 村には先回して都市や山に避難させる。


 敵をつきまとう。攻めて来たら逃げる。

 これを数ヶ月続けたら。


 王太子殿下の軍がやってきた。

 あの伯爵令嬢と一緒だ。


「ヨルグ、貴様の兵法は全く臆病だ!我がレオンを討ち取ってやる!」

「私は殿下の隣でお助けしますわ」

「うむ。ハンナの美貌で士気を上げてくれ」


「ヨルグでさえ戦えたのだからレオンは噂ほどではないのだろう。ヨルグの軍は手出し無用。黙ってみておれ」


「もちろんです。我が王太子殿下」


 うわ。総勢、数万と貴公子を中心にした青年将校たちか・・・・



 王太子の軍勢は惨敗した。

 俺は命令通り見ているだけに徹した。

丘の上から観戦した。レオンの軍はまるで生き物だ。何個かの集団に別れ、それが生き物のように連動して動く。


 記録する。しかし、真似出来る気がしない。かなう気がしない。


 翌日、敵軍は去った。

 これで、数年かけた連合軍対デルタ王国軍の戦いは終わった。

 王太子殿下とその妃は捕虜になった。これが最大の戦果らしい。



「さて、帰ろうか。エレクシア様」

「はい・・・」


 エレクシア様はあの後、失権されて修道院におられた。事務員が足りないから徴用という形で側にいてもらった。

 これでうやむやになるであろう。


 だが、帰ったら、叱責された。



「何故、王太子を捕らわれた。助けなかった。全くもって任務懈怠である!」


 陛下直々だ。王妃殿下は・・・呆れているように思える。どうだろうか?


「階級剥奪!平民降下!ヨルグを連れ去れ!」


 近衛兵は動かない。近衛兵にエレクシア様の父上、公爵閣下の息のかかっている者がいた・・・


「どうした!この者を連れ去れ!」


 俺は立ち上がり陛下に近づく。


「陛下、声が小さく何も聞こえません。第二王子殿下に譲位されては如何でしょうか?」

「何だと・・・」


「陛下は療養される。離宮にご案内せよ」

「「「畏まりました」」」


「妃よ。妃は来ないのか?」


 もう、王妃殿下とは取引は終わった。改めて王妃殿下に膝を折り礼する。



「ヨルグ卿よ。王女と婚姻を考えてみてはいかがかえ・・・」

「それは・・・お断りします」


「我が娘と結婚をしたのなら、位も財も欲しいがままぞ」

「いえ、そういうわけでわなく、苦労を共にした女性との婚姻を考えております」


「エレクシア嬢か・・・既に24ぞ」

「アハハハ、私は25です」


 これも戦いか。花束を持ってエレクシア様の元に向かう。

 だが、勝てる気がしない。


 散々、俺の性格の悪い戦いをエレクシア様は見ていた。


 駐屯地につくと、

 やっぱり、男がいた。金髪で年下だ。


「まあ、ヨルグ様、その花束は・・・」

「いえ、これは・・・そうだ。エレクシア様は免責になりました。実家に帰れますよ」


 戦いは負けた。


 男は俺に挨拶する。


「ヨルグ様、当家のパーティーに招待させて頂きます。姉上をエスコートして下さい。これが招待状です」


 はあ?


 戦いは勢いだ。


「好きです。エレクシア様、結婚して下さい」

「はい・・」


 こっくり頷いてくれた。これが俺の最大の戦果かもしれない。



最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
最後は勝ち戦おめでとうございます。 断罪で唯一庇ってくれたことで好意を抱くのは不思議ではないし、戦い方で幻滅したなら最後(王太子軍が負けるまで)いてくれなかっただろうから、ほぼほぼ勝ち戦で決定でした…
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