断罪の最中に、「異議のある者は挙手」と言われたので手をあげた伯爵子息の話
「エレクシアとは婚約破棄だ!!真実の愛の相手に嫉妬して虐めた!これは、王妃に相応しくない!」
何だ。王太子殿下が婚約破棄をしている。
まあ、どうでもよいや。俺には関係ない。
「・・・・でだ!諸君!決を採る!イジメをするエレクシアは将来の王妃に相応しくない。伯爵令嬢だが、ハンナこそ将来の王妃に相応しい。異議のある者は挙手!」
エレクシア様は膝をついて、顔を覆って泣いておられるのか・・・
だから、俺は手をあげた。
「はい!」
シーンである。
俺1人だ。
「何奴?」
なにやつって、お前が聞いたのだろう。
「はい、私はヨルグ・テイラーです。テイラー伯爵家第3子です」
「分かった!」
☆☆☆二年後
てなわけで、俺は東の戦いの最前線に配置命令が下った。味方はボロ負けだ。
騎士団長は、意気揚々と出陣したが、敵は待ち伏せていた。
「ヨルグよ、ワシは報告に行かなければならない。この街の最高防衛責任者に任じる!」
「ヨルグ卿、街の最高行政官に委任する!」
騎士団長と街の責任者は逃げ出した。
自力で逃げられる者は逃げた。
この街にいるのは、貧乏人と数百に満たない兵だ。
「ヨルグ様!如何しますか?」
と言われても俺は軍学校にいたわけではない。ただの官吏だが・・・・
「まず。門を開けろ」
「はあ?!」
「どうせ勝てないよ」
「それとな。余裕の表情でいろ・・って難しいな」
城壁の塔の一角に見張りにわざとらしく望遠鏡を持たせ。西北を見させ。なんなら、凧をあげた。
敵は小隊規模の偵察隊が出てきた。不思議そうな顔をしている。
そして、兵士は城壁の上や。城門の前にスコップを持たせてワザとらしくいさせた。
「〇×△~!」
敵の怒号が聞こえてくる。
敵の本隊は数万、敵の大将はデルタ王国の鼻曲がりのレオン、最近、連勝中の将軍だ。
☆☆☆デルタ王国軍
「敵は城門をあけ。凧をあけ合図を送っています。見張所は、我らの反対、西北を見ております!」
「城門の中にはおそらく落とし穴の恐れあり」
斥候の報告にレオンは迷わず後退を指示した。
「戦争目的は西北の敵、ダール王国軍の粉砕だ。この都市は一応、叩いた方が良いに過ぎない。城門を開けたのは、誘い込んでワナにかける可能性大、それに攻城兵器は持っていない・・・故に、殿を残し速やかに転進である!」
・・・・・・・・・
レオンの軍は後退した。
策にもならない策だった。まぐれた。
「やったー、敵は去った」
「ヒィ、良かった・・・」
「お前ら、まだ、あるぞ」
「ヨルグさん・・・もう、戦えないよ」
「でも、戦う。敵は後方ってね」
俺は委任状があることを良いことに、税金を安くした。
残って戦った兵にご褒美をあげるべきだ。
貧民にも財産をわけた。
これは、逃げ出した上官に対する嫌がらせなのかもしれない。
「ヨルグ・テイラー。予備部隊長に任じる!」
「了解です」
段々と階級が上がってきた。予備部隊3千の長になった。
予備部隊とは配置が決まっておらず。本部の後方に位置し。命令によって動く部隊だ。
だが、老人、新兵、負傷兵が多いな。
「負けた!」
「撤退・・・転進!予備部隊は殿をせよ!」
また、我が軍は負けたか・・・どうせよというのか。
「よおし。プランDだ。陣地に籠もって戦え!」
「「「了解!」」」
ひたすら、陣地に籠もって戦った。陣地は土塁だ。
戦いの最中に作らせていた。
「隊長!敵は陣地を素通りする部隊があります」
「あ、ほっとけ。それよりも眼前の敵!」
何とか、全滅をしないで済んだ。
我が軍は負け続け。
それにともない俺は出世した。
ついに、少将になり、レオンと直接対決だ。
これは負けだな。如何に損害を少なくして負けるか。そればかり考えて布陣した。
☆☆☆デルタ王国軍
「レオン閣下!敵は河を背に布陣しております!」
「愚かななり!しかし、敵は決死の覚悟だ。兵を無駄にしてもつまらない。故に、鶴翼の陣で半包囲して士気をくじけ!!」
・・・・・・・・・・
・・・敵に半包囲された。
でも、まあいいや。こちらは1万、敵は3万、かないっこない。
だから、河漁師に聞いておいた。この季節、朝霧が出る。
夜のうちに、船で橋をつくり。部隊を撤退させた。
一応、陣地には案山子をつくって兵に見せかけた。
敵は焦ったらしい。
「な、何だと!馬鹿な!」
それからは逃げて逃げて逃げまくった。
都市は固めさせ。敵が攻略を始めたら、背後に現れる。
村には先回して都市や山に避難させる。
敵をつきまとう。攻めて来たら逃げる。
これを数ヶ月続けたら。
王太子殿下の軍がやってきた。
あの伯爵令嬢と一緒だ。
「ヨルグ、貴様の兵法は全く臆病だ!我がレオンを討ち取ってやる!」
「私は殿下の隣でお助けしますわ」
「うむ。ハンナの美貌で士気を上げてくれ」
「ヨルグでさえ戦えたのだからレオンは噂ほどではないのだろう。ヨルグの軍は手出し無用。黙ってみておれ」
「もちろんです。我が王太子殿下」
うわ。総勢、数万と貴公子を中心にした青年将校たちか・・・・
王太子の軍勢は惨敗した。
俺は命令通り見ているだけに徹した。
丘の上から観戦した。レオンの軍はまるで生き物だ。何個かの集団に別れ、それが生き物のように連動して動く。
記録する。しかし、真似出来る気がしない。かなう気がしない。
翌日、敵軍は去った。
これで、数年かけた連合軍対デルタ王国軍の戦いは終わった。
王太子殿下とその妃は捕虜になった。これが最大の戦果らしい。
「さて、帰ろうか。エレクシア様」
「はい・・・」
エレクシア様はあの後、失権されて修道院におられた。事務員が足りないから徴用という形で側にいてもらった。
これでうやむやになるであろう。
だが、帰ったら、叱責された。
「何故、王太子を捕らわれた。助けなかった。全くもって任務懈怠である!」
陛下直々だ。王妃殿下は・・・呆れているように思える。どうだろうか?
「階級剥奪!平民降下!ヨルグを連れ去れ!」
近衛兵は動かない。近衛兵にエレクシア様の父上、公爵閣下の息のかかっている者がいた・・・
「どうした!この者を連れ去れ!」
俺は立ち上がり陛下に近づく。
「陛下、声が小さく何も聞こえません。第二王子殿下に譲位されては如何でしょうか?」
「何だと・・・」
「陛下は療養される。離宮にご案内せよ」
「「「畏まりました」」」
「妃よ。妃は来ないのか?」
もう、王妃殿下とは取引は終わった。改めて王妃殿下に膝を折り礼する。
「ヨルグ卿よ。王女と婚姻を考えてみてはいかがかえ・・・」
「それは・・・お断りします」
「我が娘と結婚をしたのなら、位も財も欲しいがままぞ」
「いえ、そういうわけでわなく、苦労を共にした女性との婚姻を考えております」
「エレクシア嬢か・・・既に24ぞ」
「アハハハ、私は25です」
これも戦いか。花束を持ってエレクシア様の元に向かう。
だが、勝てる気がしない。
散々、俺の性格の悪い戦いをエレクシア様は見ていた。
駐屯地につくと、
やっぱり、男がいた。金髪で年下だ。
「まあ、ヨルグ様、その花束は・・・」
「いえ、これは・・・そうだ。エレクシア様は免責になりました。実家に帰れますよ」
戦いは負けた。
男は俺に挨拶する。
「ヨルグ様、当家のパーティーに招待させて頂きます。姉上をエスコートして下さい。これが招待状です」
はあ?
戦いは勢いだ。
「好きです。エレクシア様、結婚して下さい」
「はい・・」
こっくり頷いてくれた。これが俺の最大の戦果かもしれない。
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