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第一章

ご覧いただきありがとうございます。

初めてのSFものに取り組んでみたいと思います。

この話は私が夢で見た内容を参考にしています。

是非あなたも夢のせかいへご一緒しませんか?

火星の宇宙ステーション、大きなガラス張りの建物の一角。

ウィンドウの中にはコールドスリープされた男が飾りつけのように立ったまま眠らされていた。

金糸の髪に、青い瞳。長身の立ち姿からは生気が感じられない。

いつからそこに居るのか、誰がコールドスリープさせたのか、誰も知らない。

唯一言えるのは火星宇宙ステーションが建設されて間もなくして彼はずっと眠っているらしいという事だけだった。


「エミリー、メンテの時間よ」

「はぁい」

地球滅亡から人間達が火星に助けを求めてから約百数十年が経過していた。

火星に水が有ると言う事が研究の結果分かり、水と人工的に作られる空気を持った人間達は火星に住み付き、エミリーのように10代の若者が「火星産まれ」として出て来るのが当たり前になった時代である。

エミリーは19歳の火星宇宙ステーションメンテナンス部の社員。

毎日水道設備や空気設備に異常が無いか確認、メンテナンスする事を仕事としている。

火星の約半分を開拓し、水を得るようになってから人間達はメンテナンスを欠かさず行っている。

この仕事に携わるのは人口の約一割にも至った。

「先輩、ここ緩みがあるわ」

「大変。本部に報告しなきゃ」

一部の水道管にゆがみを見つけたエミリーはスパナできつく緩みを閉めた。

「こちらY-1760、こちらY-1760」

『Y-1760、こちら本部、どうぞ』

「水道管に緩み発見、ただちに対応しました」

『了解しました。ポイント情報を送信してください』

「了解」

通信機器で、地図を表示させ、現在地の情報を本部に送る。

こうするとエンジニア達が暫く近隣の場所や同じ年代に建設された施設を中心にメンテナンスを行う事になる。

効率化を図るための対策である。

数時間後、仕事を終えたエミリーはリラックスルームに居た。

「お疲れ様」

「先輩もお疲れ様です」

「エミリー今日はお手柄だったわね。ショコラでも奢ろうか?」

「本当ですか?!わーい、奢り~」

暫くして暖かいショコラが小さなテーブルに運ばれた。

「仕事終わりの甘いもの、サイコー!」

「元気ねぇ」

「私のモットーはいつも明るく元気に!ですから!」

「はいはい知ってますよ」

先輩はコーヒーを飲みながらため息を吐いた。

エミリーは誰にでも好かれるタイプというか、誰に対しても明るく接しているので恨みを買う事が無い。

そんな性格を羨ましいとも思うし、自分には追い付かない境地だとも思う先輩であった。

「そういえばショーウィンドウの、ミスターアースの噂、聞きました?」

「ミスターアース?あぁ、コールドスリープされた金髪のお兄さんね」

「はい!彼がちょっとだけ動いたっていう話なんですよ!」

「はぁ?」

「ミスターアースの目線が、まっすぐだったのに少しずつ右に向いてるとか……コールドスリープされてるのに怖くないですかー?!キャーーーー」

「あのねぇ、根も葉もない噂話なんかしてたらどこで誰が聞いてるか分からない世の中、会社の査定に響いても知らないわよ」

「げ、それは勘弁です!」

「だったら噂話なんてしないことね」

「はーい」

「何その不満そうな顔は」

「いえね……私、彼の事他人だと思えないんですよねー」

「他人事……じゃない?」

「コールドスリープされて、百何十年も生かされて、目が覚めた時にはまるで違う世界に一人飛び出すんですよ?可哀相じゃないですか。それに私彼をずっと前から知っているような……」

「知ってるってそりゃそうでしょうよ私達が生まれた時には既に彼はコールドスリープさせられていたんですから」

「そう言うんじゃないんだよなぁ」

「どういう意味よ」

「ま、自分で考えてみます。ご馳走様でした!おやすみなさい!」

「おやすみ、また明日ね」

「はーい」

謎の言葉を残し、エミリーは自宅へ戻っていった。

遺された先輩は冷めたコーヒーを飲み干しながら、変わった子だと思いその時は彼女の言葉に耳を傾ける事はなかった。

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