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殿下と愉快な仲間たち  作者: 悠月 蒼祈


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3

 特に何事もなく柘榴石の間にたどり着く。

 いつの間にやらご令嬢の御付きの侍女?とも合流した。

 卒業式典は次世代の若者達のお披露目だから、王城で行われていたので道中は何も起こるはずもなく。

 おかしいな。式典では大事件起こってるんだけどな。


 兵に止められない所を見ると、完全に周知されているようだ。

 あの魔術以外興味がないリフィ殿下の意外な手際の良さに若干引く。

 アロー侯爵令嬢に開かせるわけにもいかないので、俺は柘榴石の間の扉を開く。

 よっこいせ。重厚な扉は適度に重いのだ。


 柘榴石の間には例の俺の女で、第一王子の恋人の男爵令嬢と……

 見たことのないおじさん……親しくしている様子から父親の男爵だろうか。

 それを睨みつけるアロー侯爵。そして侯爵を宥めているリフィ殿下の側近アル。

 アルは俺より一つ上で侯爵家嫡男で次期当主。それなのにリフィ殿下に着いていくヤバイ奴だ。

 リフィ殿下を崇拝している頭のイカれた奴だ。アルの正式な名前なんだっけ。まあいいや。


「お父様」


 アロー侯爵令嬢が慌てて近づく。

 親子で話した方が良いだろう、俺はアルに状況を尋ねる。


「……陛下待ちですね」


 アルが声を潜めて言う。


「陛下は殿下の後に挨拶。なら陛下待ちです」


 な、なるほど?

 って事は陛下待機してたよなぁ……挨拶どころじゃないのでは?

 大事無いという雰囲気で挨拶しないと。俺は無理だわ。


「思ったより大事になってないか……?」


「大事ですよ。あまり興味がなかったので報告を怠った、私達の失態です。貴方も反省するよう」


「殿下を見て十分反省している」


「それは結構。まぁ貴方はすぐに開放されるでしょうし、明日に備えておきなさい」


 まぁ王族のお家騒動の詳細なんて、俺が知らない方が良いことだしな。

 口酸っぱく明日の準備について注意される。

 流石にリフィ殿下の領地へ向かう準備出来てますよ?置いてけぼりとか洒落にならんし。

 どこ行くかは知らないけど、リフィ殿下を始め他の皆に必要な物を聞いたから大丈夫でしょ。

 世の中知らない方が良いこともあるんだよ。

 リフィ殿下の領地とか、正式発表まだないし知らんわ。

 目立ちたくないから大々的に発表止めてくれ。

 とか何とか。

 ゴネにゴネたらしいし。良いのかそれで。陛下もそれで許すなよ。

 暫くしてアルが明日の準備について、ようやく話を切り上げる。


「それより殿下のご様子は?」


「最後に見た時はにこやかに演説してた」


 不機嫌力、全開のやつな。


「そうですか」


 アルは男爵令嬢の方を一瞬だけ見る。こわっ。


「アロー侯爵」


 アルがアロー侯爵に声をかけた。


「ああ、すまない」


「落ち着かれましたか?」


「ああ」


「今回の件、お覚悟を。貴方が考えているような甘い話ではありませんよ。若輩者で生意気と思うでしょうが、私からの忠告です」


 お怒りのアル君がそう伝えた時、扉が激しく開く。


「待たせたな!」


 第一王子だ。あーあー、すっかりお綺麗なお召し物になられて。

 別にお前待ってねーよ。


「殿下!」


 男爵令嬢の方へ向かって抱擁を交わす。

 はぁ、よくもまあ、男爵と男爵令嬢以外(護衛の近衛も含む)から物凄い睨まれているのに、気が付かないもんだ。

 極寒の冷気が吹き荒れる中、灼熱の抱擁だね。


「兄上」


 うぉあ!で、出た!!!!

 音もなく部屋に入ってきていたリフィ殿下。

 第一王子が派手に音を立てて入ってきて、騒いでいるから気が付かなかった。


「な、なんだリフィ!さっきはよくも!」


 小さい拳大の火の玉が、第一王子の横を掠める。

 第一王子の顔の横で火の玉が消える。我が国ご自慢の魔術妨害の結界だろう。

 結界あるのに何で発動できてるんです?

 熱波が俺達の所まで届いている。怖い。

 リフィ殿下は短杖をいつの間にか手にしていた。短杖をブンブン振る。

 あーリオが渡したんだな……魔術士に杖とか渡しちゃ駄目だろ。

 衛兵、火を放っているあいつ、捕まえた方が良くない?


「少々お話があります。来ていただけますか?こちらです」


 第一王子は物凄い勢いで首を上下に振る。

 いつもなら第一王子に手を出すなやら、うるさい男爵令嬢も怯えて何も出来ないようだ。

 第二王子は何するかわかんないからね。実際、今、杖が火を吹いたし。

 置いていかれた俺達は牽制するわけでもなく、どう出ればいいかわからず。どうすっか。

 アルも俺も小粋な話術技能を持っていれば、この場を温めておくんだけどな。

 困惑しながら状況が動くのを待つ。

 リフィ殿下の圧がないだけマシだが、地獄の時間だぁ……


 暫くして陛下と宰相に、なんか偉い役職の文官っぽい数名が、入ってきた。

 第一王子の側近ならあの文官の人が誰か知っておかないといけないんだろうけど。

 俺はリフィ殿下の側近だしなぁ……と余計な事を考えるのを止めて背筋を伸ばす。

 全員で礼を執る。

 ちらっとアロー侯爵令嬢を見ると見事な礼だ。陛下がそれを見てちょっと引いてる。

 見事な礼儀作法ですわね。彼女も、もしかして結構ヤバい人?

 陛下へ圧を掛けてて笑うんですけど。笑えんわ。

 

 遅れて、第一王子を連れたリフィ殿下が帰ってきた。

 あの恋人が絡まなければ、頼れる……頼れるかな?頼りたくないなぁ。

 とにかく僕らの第一王子がこの世の終わりの表情だ。

 リフィ殿下は一体何をしたんだ……


「クローご苦労だったな。帰って良いぞ。明日からよろしく頼む」


 俺はこの面倒な状況から逃げれないのに、お前は先に帰れるんだ感謝しろ。

 という様子のリフィ殿下が俺に言う。こ、怖い。

 よろしく頼むっていうのは明日からの所属の通達ですかね。

 大事な事なので正式な手順で告知してほしいが、これ以上ここで時間を使って注目を浴びてもな。

 陛下待たせるとか俺が死ぬ。


「は、それでは失礼します」


 そういう事ならという雰囲気で、サニア神教式敬礼をして退場する。

 顛末は気になるが、詳しく知ったら駄目な奴だ。逃げるに限る。

 寮の自室に帰って、一人寂しく明日の準備をしながら、学生最後の夜を堪能した。

 元々、どこぞの王族とつるんでるせいで、普段からあまり皆が話しかけてこない。

 普段絡んでくる連中も卒業式典の様子から誰も近づいてこない。

 荷造りはもうほぼ終わっているので、とりあえず軽く挨拶周りを改めてしておく。

 何で学生生活と年末の最終日にこんな事に……

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