カードゲーム
薄暗い部屋の中、俺は古い木のテーブルの前に座っていた。窓の外から漏れる街灯の光が、埃っぽい床に細い筋を描いている。空気は重く、湿った匂いが鼻をついた。
テーブルの上には擦り切れたトランプが一組。俺はそれを手に取って、指先でシャッフルした。カード一枚一枚が、俺の手の中で何か大きなものを握っているように思えた。
向かいの影が動いた。顔も服も見えない。ただ、テーブルに伸びる白い手だけがぼんやりと浮かんでいた。手がカードを手に取る。指が細かく震えながら、チップを中央に滑らせた。俺も黙ってチップを重ねた。賭けが始まった瞬間、胸の奥がざわついた。
最初のカードが配られる。スペードのジャックとクラブの3。弱い手だったが、影の手がチップを減らしたのを見て、俺は少し息をついた。次の一手でハートのジャックが加わり、小さな勝ちを拾った。影の手が一瞬止まり、俺はグラスに注がれた赤ワインを一口含んだ。芳醇な果実味を湛えた液体が喉を滑り、気持ちが少し落ち着いた。
何度か手が続くうちに、ツーペアが揃った。影の手が震えながらチップを減らすのを見ながら、俺はワインをグラスに注いだ。勝ちが少しずつ積み重なるたび、手元が重くなっていく。影の手がカードをめくる音が小さくなり、俺の気分が軽くなった。
次の手が来た。影の手がゆっくりと動いて、チップを山のように中央に押し出した。俺は手元のキングとクイーンの5枚を見つめ、迷わず全てを賭けた。カードがめくられる瞬間、息が止まった。
フォーカード。テーブルに広がった影の手札は、俺の全てを粉々に砕く圧倒的な並びだった。影の手がチップを静かにかき集める。俺の積み上げたものが一瞬で消えた。
俺はグラスの中のワインを一口飲み込むと、渋みが口の中に深く染み込んだ。
俺はグラスをテーブルに戻し、目を閉じた。ワインの残り香がほのかに漂い、手元のカードが急に重く感じられた。影の手が再びトランプに伸びた時、俺は目をそらした。暗闇の中で、負けが確定した。
俺はこの日、大きな損失を出した。トランプのせいで。
まぁ下がれば買い増せばいいんですよ。