鳥取県人と島根県人
むかしむかしから鳥取県人と島根県人は仲が悪かったのでした。
どちらも同じぐらい田舎なのに、『どちらがより都会か』を張り合い、『どちらがより都会人か』と火花を散らしていたのです。同じぐらい田舎者なのに。
島根県人のほうが有利に見えました。
何しろ島根県には由緒ある歴史的建造物が多いのです。出雲大社があり、松江城があり、石見銀山があり──そして国引き神話や八岐の大蛇等の神話も多く、島根県人は『我々は神の子孫だ』みたいに威張っていました。
対して鳥取県はというと、米子城には石垣しかなく、長いあいだスターバックスもなく、神話も因幡の白うさぎぐらいしかなく──代わりにあるものといえば高い山、広大な砂丘、美味しい梨、そして水木しげると少年探偵コナンぐらいでした。
また、島根県は誰でもが『島根県』と漢字で書けるのに、鳥取県は『取鳥県』と書いてしまう人が多いのもウィークポイントでした。
とはいえそれらは都会であることとは何の関係もありません。
どちらもズーズー弁を喋る田舎者でした。
どっちも都会人ではありません。
いつまで経っても引き分けなので──
現在でも鳥取県人と島根県人は仲が悪いのです。
それは永遠に続く愚行といえましょう。