投入堂の謎
三朝の高い山の上に、崖の斜面に建てられたお寺があります。
三徳山三佛寺投入堂──
標高約900メートル。実際には道路も高いところを走っていますので、すぐそこにあるようには見えるものの──
誰がどうやってそんなところにお寺を建てたのか、とっても不思議な景色ではあります。ナスカの地上絵ぐらい不思議です。参拝は本格的な登山をするようにしなければなりません。
伝説では誰か知らんけど凄いひとがミニチュアのお寺をてのひらの中に作り、それを「えいっ!」と投げて、くっつけるようにそこに設置したことになっているようです。だから『投入堂』っていうんですね。いかにも伝説。こんなこと本当なわけがありません。
しいなは蒜山高原センターへ遊びに行く時だったか、いつもそれを車の窓から眺めていました。
そしてそれを眺めながら、なぜか懐かしい気分に浸っていました。
『あれは宇宙人が作ったお寺なんだよ』
みんなにその事実を知らせたくて仕方がありませんでした。
自分がそれを作った宇宙人の末裔だということも──
しかしそんなことを口にしては、学校でいじめられてしまう。差別されて、NASAに連行されて、実験台に乗せられてしまう。
だから誰にも言いませんでした。