大山長者
むかしむかし、伯耆の国はとても広い平野が広がっていました。
農業をするにも余るほどの土地があったので、その頃の鳥取県は花のお江戸よりも栄えていたといわれています。
『なわ』という町に、大山長者と呼ばれる大金持ちが住んでおりました。
長者は毎年、秋になると、綺麗なレディーをたくさん集め、いっせいに田植えから収穫までを一日ですべてやらせていました。
長者は超能力者だったので、そんなことができたのです。
種籾を植えるとすぐに育ちはじめ、水田に青々とした美しい稲がまっすぐに立ち並びます。
そこに長者がハンドパワーを送ると、みるみるそれが稲穂を実らせ、あっという間に黄金色の景色に変わるのでした。
レディーたちもこき使われるわけでもなくみんな笑顔で、この『一日田植えから収穫』は毎年、この地方での一大イベントとなっていました。
さてその年も百万人のレディーを集め、盛大にイベントが行われておりました。
そんなところに一匹の白いイタチがやって来て、何やら面白いダンスを見せはじめました。
レディーたちはみんなかわいいものが大好きでした。
「わっ!」
「あれ見て!」
「かわいい!」
みんなが手を止めて、イタチのダンスに夢中になりました。
それを壽城の天守閣から見ていた長者が慌てます。
「コラーッ! 手を止めちょったら一日で終わらんだらがやーッ!」
弓ヶ浜まで届かんというほどの長者の怒声に、レディーたちははっと我に返り、田植えを続けましたが、このタイムロスは痛かった。
とても一日でイベントが終わりそうにありません。
仕方がなく、長者がハンドパワーを強めます。
いまだかつてないほどのハンドパワーを送りました。
送りすぎました。
長者のハンドパワーを受けて大地がモリモリと盛り上がり、あっという間にそれは高くそびえる山となりました。
そういうわけで今、鳥取県はその面積のほとんどを大山という高い山が占めてしまうようになり、スターバックスが長らくなかったほどの田舎になってしまいました。
むかしむかしは大都会だったんですけどねぇ……。




