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追放処分

「さあ、誰のことでしょう。それよりも、ジェフさん、あなたには退店を願います」

「そ、そんな……マッド様! 俺は、ただ……!」


「もう何もかもが遅い。あなたはフェリシアを捨て、別の女性と付き合っているようですね。もう調査済みなんですよ。それなのに、なぜ今になって彼女に近寄ってくるんです。あまりに都合が良すぎませんか」


 その通り。ジェフは、わたしを捨てた。

 味噌汁だってまずいって言って捨てた。


 それが事実。


 わたしは深く傷付いて悲しみにくれた。


 でも、せめてこの味噌汁で彼にギャフフンと言わせたかった。


 それが今はもう叶った。

 これで十分、ジェフに味噌汁が庶民の心を掴むものだと理解させることができた。わたしは美味しい味噌汁が作れると証明できた。


 だから。



「ジェフ、さようなら。わたしはマッドと共に生きます。もう、わたしに関わらないでください」


「そんな、そんな! フェリシア、そんなことを言わずにやり直そう! 君が正しかった。味噌汁は美味しいし、これを二人で売れば大金持ちだ!!」



 ……ホント、最低。

 周囲の人たちも明らかにジェフに対して嫌悪していた。このままでは暴動騒ぎに発展しかねないほどに。


 そんな中、マッドが動いた。



「もう頃合いです。マッド、あなたを追放します。テレポート……!」



 マッドは手をジェフに向けた。

 直後、ジェフの姿は消えてしまった。


 テレポートでどこかへ飛ばされてしまったようだ。その場所はマッドにしか分からない。


 これでもう、ジェフと会うこともないかもしれない。



「ありがとうございました、マッド」

「いえ、このままではお店の雰囲気も悪くなってしまうところでしたから」


「おかげでみなさん、穏やかになりました。それに、わたしもようやく心が晴れた気分です。本当に本当にありがとう」


「これでもうお店に害はないはずです。あったとしても、この私が必ずやお守りしましょう」



 その言葉通り、マッドはお店を守り続けてくれた。おかげで商売は繁盛。お味噌汁の在庫がなくなるほど売れて、今日一日を終えた。


 今日はなんて良い日なのだろう。


 商売がこんなにも楽しいとは思わなかった。なによりも、お客様の笑顔が嬉しい。



 その日から、味噌汁の知名度はどんどん上がり、噂も広まっていった。帝国中を駆け巡り、連日飛ぶように売れた。


 あまりの殺到ぶりに、わたしは倒れそうになった。


 でも、楽しい。


 がんばらなきゃ……もっとお店を大きくするために。

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