第24話 日々是精進
二期作の一期目の米の収穫をする頃、主な建物の普請が終わった。結局、家臣の長屋は1棟に付き8部屋とした。それを4棟普請する予定の内3棟が完成するところだ。家臣達は新しい長屋に移り住み、どいつもこいつも嬉しそうだった。部屋は竈と囲炉裏を含めて6畳ほどだが、4畳半程度の小さな庭が付く。洗濯物を干したり、野菜などを植えている者もいた。
最近は家臣も小綺麗な小袖を着るようになり、自分達で褌と一緒に良く洗濯している所を見かける。
女子衆が小袖を縫っている様だが、こいつらのか。俺が着ている小袖は何となく草臥れて来ているが、誰も俺の新しい小袖を作ってくれない。
食堂は机と椅子を用意した。食堂に小川から水を引くので、ついでに手洗い場所も作り、水はかけ流しとした。箸で食べるとは言え、手洗いの奨励と習慣づけを行う為だ。
清潔や健康と言うものを口で説明するより、実際にさせて、折を見て説明した方が理解が早いだろう。
鍛冶小屋と木工小屋も出来た。これで、多少は武器のメンテナンスや開発の見通しが少しだけ立った。まだまだ、貧弱だ。これからの目標を考えると、ため息が出る。
後は上谷村から集める家臣の家が完成すれば普請も終わりだ。
「竹太郎様!こちらでしたか?」
「佐吉に四助か?どうした??」
「どうしたではありませんよ。弓が出来たんです!」
「本当か!では早速、見に行くか。その前に威力はどうだ?武士が使っている従来の弓と比べて劣っている部分があるか??」
「あの・・・比べる弓がありません」
あっ?!忘れていた。和弓を手に入れるんだった。うーん、困った時は彦左衛門殿に相談しよう。
「そうだよ。弓だよな。よし!彦左衛門殿の所へ行こう。ついてこい」
彦左衛門殿の家に近づくと珍しく彦左衛門殿が玄関周りを掃いていた。こちらに気が付いたらしい。
「これは竹太郎様。今日は何か御用で」
「いや、用と言おうか、実は弓を探しているんだが、当てがないか?」
「弓なら当家にあります」
「おお、そうか。それでは借りる事は出来ぬか?」
「構いませんが、誰か弓を引ける者がおりますかな?」
「・・・考えてみれば誰も引けぬな」
「それでは私が行きましょう」
彦左衛門殿には崖下の工房は秘密だったが、この際、今までの事を全て話し、協力して貰うことにした。
「・・・こんな崖下に・・・これは?!変わった弓?ですな」
「それは、弩だ。それでこの前の戦で手柄を立てる事が出来た」
「これですか・・・なるほど。大きく作れば威力も期待出来ますが、矢継に苦労しそうですな」
彦左衛門殿が手に取り、多少弄っただけで連射が出来ない事に気が付いた。この時点で弩には興味を失ったようだ。
「佐吉。新しい弓を見せてみよ」
おお、やっぱり餅は餅屋か。俺の手製の物とは根本的に違う気がする。大きさは現代のアーチェリー位か?あれ??弓の真ん中の穴が無い???俺のアイデアが・・・。
「あの・・・ひょっとして弓の真ん中に穴を開けるという構造でしょうか?・・・試しましたが無理でした。弓の中心に矢を通す穴を開けると、その部分が弱くなり折れてしまいました。折れない様にする為には手では持てないほど太くなり、最早、弓ではございません。鉄や銅ですと多少は増しになると思いますが、弓の重量が増加してしまい、弓を持つこと自体負担になると考えます」
おや?弓を持つと弓の中心部の左に棚の様なものがある。なるほど、ここに矢を置き保持する事により同様の効果が得られるのか。佐吉の奴、よく考えたな。
「ほう?なるほどな。弓の中心に穴を開けるのでなく棚の様なものを付けて、そこに矢を保持する作りとはやるではないか」
「いや、そこは四助が考えたものでございます」
四助が考えたか。ふーん、人は見かけに寄らないな。好きこそ物の上手あれとはよく言ったものだ。
「四助よ。この棚は弓を持つと左に付いている。なぜだ?」
「弓を持ち実際に放つと、左に棚を付けた方が引っかかりも無く真っ直ぐに飛びましたゆえ」
「実際に作り試したか。良くやった四助。褒めて取らす。彦左衛門殿。穴倉の俵が見えると思うが、あそこに彦三郎殿の弓で矢を放ち、その後、この短弓で同じように矢を放って貰えないか」
「御意」
彦左衛門殿が弓を引くと、様になる。これぞ弓道と言う感じだ。しーんとした間の後、びゅんと矢が放たれ、米俵の真ん中へ刺さった。
俺が褒めると、首を横に振り本人は全く納得していない。身長が160cm位の彦左衛門殿が身長より大きな弓を持つと非常に違和感がある。
次に短弓の番だ。佐吉が彦左衛門殿に弓の使い方を教えている。彦左衛門殿が弦を引いたり矢を窪みに置いたりして、ほうとか言っている。どうやら、矢を放つようだ。
これまた、中心部に矢が刺さった。佐吉と四助が堪らず俵に近付き矢を抜き、矢の刺さり具合を比較している。
「竹太郎様。この短弓は素晴らしい。私が使っている弓は熟練を必要としますが、この弓には鍛錬が余り必要ないと思いますな。この窪みに矢を置く事で矢が安定し、ほぼ狙い通りに放てます。また、この標的を捉える目印を的の中心に持って行くだけで、容易に矢が中心に命中する。これで、私の弓程の威力があれば申し分がありません」
短弓の矢の刺さり具合が和弓の半分程度の刺さり具合らしい。四助が別の矢をもう一度、彦左衛門殿に短弓で放つように頼んでいる。どうした?
彦左衛門殿が矢を再び放つと、今度は劣るものの可成りの威力が出たらしい。
「佐吉、一体どうした?」
「これは、矢の重さを変えた物です。部分的に矢先を重くしたものや軽くしたものなど矢を何種類か作りました。先程、彦左衛門様が放った矢を見ました所、矢先が重い事に気が付きました。また、矢自身の重さも重い。そこで、矢の長さは違いますが、矢先が重く全体の重さも同じような矢を短弓で試して貰った結果、劣るとは言え可成りの刺さり具合を得ました。材料が竹と木材を使用している短弓ではこれが限界かと思われます。後は、短弓の末端の曲部を金属で作る事が出来れば、従来の弓と同じ威力が期待出来ます」
「であるか。良くやった。佐吉と四助!この短弓を30張作れ。二人では大変だろう?材料集めなどの雑事は竹次郎と相談し、手伝いを増やせ。だが、実際の加工や作り方は誰にも見せるな。お前達、二人で作るが良い。鉄や銅に関しては鍛冶が旨く行った後、考えよう」
「「分かりました」」
短弓はまだ威力が足りない。金属が使えるように成れば重量は増えるが、もっとコンパクトに和弓程度の威力が望めるかも知れない。弓に対する訓練時間を省けるのは可成りのアドバンテージだ。
矢を弓の棚に保持して弦を引き、照準器で狙い放てば、ほぼ目標に当たる。
後は、放射線状に矢を放ちどの程度の距離の目標に当たるのか、照準器の位置調整をすれば良いか。
「彦左衛門殿には、弓が出来次第、家臣どもに弓の手ほどきをお願いしたい」
「御意」
佐吉と四助は、その後、崖下の小屋から新しく建った工作小屋へ引っ越しするようだ。帰り道に彦左衛門殿と一緒になったので、この前から疑問だった事を聞いてみた。
「彦左衛門殿に聞きたい事があったんだ。今、良いかな?」
「何ですか?また、何か悪だくみを考えましたかな??」
何だよ!悪だくみって?確かに鎧は黒一色で悪の軍団に見えるかも知れないが、俺的には正義の軍団だ。
「ごほん・・・いや、そうじゃなくてだな。最近ほら、次から次へと向こうから俺の傘下に成りたいと言う村が多いだろう。何か、可笑しいだろう?」
「はあ?何処が可笑しいか、さっぱり分かりませんな。そもそも、この辺の村は月に1回は、村役が村同士の様子を見に来ます。村人同士の交流は殆どありませんが、村役は交流があります。そうしないと、村境の件で喧嘩が殺し合いになったり、盗賊や野武士から村を守れませんからな」
「なるほど。道理で彦左衛門殿が他の村役の名前を知っている訳だ。それと村が俺の傘下になるのと、どういう関係があるんだ?」
「フフフフフッ。全く。お惚けになるのが上手いですな。竹太郎様が村を統合して郷として、年貢を五公五民としたのではないですか。その話は、この辺の村役は皆、知っていますよ。誰だって、腹一杯、飯を食べたい。誰だって、戦に行って死にたくない。竹太郎様が三男以降を集めて兵としたり、年貢を五公五民としているのですから、誰でもあやかりたい。当たり前です」
えっ?!そうなの?俺はただ。戦で手柄を立てる為に兵を集めて訓練し、兵を集めるのは人口を増やさないといけないから、年貢を緩くしているだけだ。
百姓からすると、俺は仏に見えるのか?自分の為に行っていた事が人の為になっていたのか。これからはもう少し考えて行動しないと危ないな。
「であるか。人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なりだ。彦左衛門殿には俺と同じ考えでないと困るからな」
「御意」
短弓は、和弓に比べてまだ少し威力が足りないが、金属を使えるように成れば改善の余地がある。それに目標を正確に捉えやすいのは大きなアドバンテージだ。弓なりに斉射する場合は余り意味が無いが、指揮する武将を狙うには都合が良い。
そうだ。佐吉に手を保護する保護具も作るように後で命じよう。弓を連射すると指の皮が剝ける。
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彦左衛門殿と別れた後、鎧下が気になって関次郎の所へ寄った。鍛冶小屋に近付くと何やら騒々しい。
「関次・・・関次郎、これはどうなっている?」
「あっ?!竹太郎様。桶にこの濁った水を入れると、泡が立ちます。そこで、この様に火を近づけると、(ボッ!)と燃えるのは良いのですが、これでは鍛冶は出来ませぬ」
「なるほどな。関次郎、この泡がこの部屋に充満すると、爆発してお前、死ぬぞ」
「えっ?!・・・」
「紙と筆があるか?」
井戸水を溜める桶と桶を覆うような蓋に貫通した竹を配管とした。配管の先には鉄で出来た火口を炉の中に配置し、小規模な水車とスクリュー式のエア供給機と配管を図示した。
「これは?!・・・なるほど。この大きな桶に燃える水を入れて、泡を取り出し炉で燃やす訳ですか。それと水車か。この水車に取り付ける子供が持つような風車ですか?これは一体何でしょう?」
「それは風車で合っている。箱の中に風車を水車の力で回すし、風を起こし炉の火を強くする。風車が風を受けて回るという事は、風車を回せば風が起きるという事だ」
「・・・あっ?!そういう事か。この大きな桶に燃える水を入れるのは分かるのですが、その先にあるもう一つの桶は必要なのですか?」
「ああ、これは燃える水から出る燃える泡を安定させる為だ。初めの桶から出る泡の数は安定しないだろう?そこで、もう一つ桶を付ける事で桶の中の泡の数をある程度、一定数にするものだ。これらの物は部屋の外に工作しないと危ないからな。後は、出来るだけ泡が繋ぎから漏れないようにしろ」
関次郎にはガスの量を調整する弁や逆止弁について説明した。桶は味噌作りに以前購入した桶を利用するように命じた。肝心な部分は自分達で工作し、手が足りないのは竹次郎に相談し、材料集めや人の手を借りるように話した。
直ぐに取り掛かるつもりらしい。待て待て。
「ところで、鎧下はどうした?完成したか??」
「・・・それが・・・実は・・・申し訳ありません・・・」
関次郎の話を聞くと、先に鍛冶を行う為の炉を作ったり、燃える水を色々試していて、殆ど手付かずだった。また、炉と言っても製鉄の為でなく、精々武器の補修を行える程度の炉だ。
「お前に依然を頼んだ鎧下は、秋の正木氏訪問の時に使いたい。今回は戦にはならないと思うが、武具は実戦で磨かれる物だ。今回の遠征のように試作品を着て行き、良い所、悪い所を見つける機会は早々ないぞ。関次郎、俺を失望させるなよ」
「ははっ。期日までには必ず、間に合うように致します。どうか、お許しを」
「であるか。二度は無いぞ」
全く。興味がある事だと寝食を忘れて取り組むのは良いが、自分勝手に動かれては困る。今回の事で釘を差すには丁度良かった。
関次郎よ。あの程度の桶に入れる井戸水の量から発生する天然ガスでは、本格的な鍛冶は無理だ。今回は原理とシステムが分かればよい。城持ちに成れば、鍛冶が出来る程度の設備を作る予定だ。その時の予習だ。
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落合村から先に帰って来て1カ月経ち、落合村の用水路の工事が終わり家臣が戻って来た。秋になり雨が降り水量が回復したが、今後、川の水量が減っても水不足になる事はないだろう。
短弓の数はまだまだ揃わないが、それでも短弓での訓練も少しずつ行った。秋が深まる頃、4つの村から胴丸一式が2両ずつ、計8両が手に入った。これで俺の胴丸を除いて十兵衛からお祝いに貰った2両と合わせて10両だ。
よし、弥次郎の所へ行くか。メンバーは俺と彦左衛門殿、年長組7人プラス吉三の10人だ。
彦左衛門殿に相談し準備を進めて、途中、下川耳村と落合村に立ち寄る。俺と、彦左衛門殿は着物に袴と烏帽子だ。家臣どもは胴丸に旗指しだ。恰好だけは凄い。吉三も初めての胴丸で緊張しているようだった。
「それでは竹次郎、弥次郎の所へ行って来る。留守を頼んだぞ!」
「兄上、気を付けて下さい。何か嫌な予感が致します」
おい!出発時に縁起が悪い事を言うんじゃない。これで帰って来たら結婚するんだとか言ったら完全にフラグだろう。
「虹が見えますな。南無釈迦牟尼仏」
彦左衛門殿も何言い出すんだ?三途の川を虹色の橋で渡れるのは善人だけだ。彦左衛門殿は渡し賃が必要だと思うぞ。まあ、彦左衛門殿は銭に困る事は無いと思うけど。全く、虫の知らせだの迷信に過ぎない。俺は昔からこの手の話は全く信じない。科学的に証明出来るものだけが、この世の理だ。
それだと俺の存在は何だ?前世の科学では証明出来なくとも、未来の科学で証明される。そう思いたい。
俺は、Over the rainbowの歌詞を所々歌い、分からない所はふんふんと鼻歌で歌いながら出発した。
途中、頭が空っぽな案山子や心が空っぽなブリキマン、勇気がないライオンには会わなかった。
家臣からは、そんな呪いを唱えなくとも大丈夫ですよとか慰められたが、呪いじゃない。歌だ、歌!
下川耳村と落合村にそれぞれ一泊し、問題も無く勝浦近くまで来ると海の匂いがして来た。勝浦周辺の地形は急峻な坂の部分もあり、平地が少ない。つまり、港があるとすれば海底まで深く、吃水が深い大型の船でも問題が無く寄港出来るはずだ。
この地での米作は期待出来ないが、ここを中心とした商業地を発展させれば問題は無い。
人口を増やし、村をもっと発展させなければならないが、人間は直ぐには増えない。
来た道を振り返ると、これが未来の国道297になるのか分からないが、人が歩いて土が固まったような道で広くなったり狭くなったり、道の端には大きな石がゴロゴロ転がっていたり、雨が降るとドロドロになるような道だった。帰りが憂鬱になるような谷があったり、木を渡したような橋があったりと、前世がかなり恵まれていた事を痛感した。
人が村にしか見当たらない。これは当たり前なんだろうが、こんなに開墾可能な土地が沢山あるのに、なぜ殺し合いまでして領地を奪い合うか理解出来ない。
武士というのはやはり百姓を取り合っているのであって、土地等どうでも良いのかもしれないな。そう考えると、武士は消費するだけで、生産はしない。困った連中だ。
海に近くになるにつれて、磯の匂いが強くなる。時々家もポツンポツンと建っているが、百姓の住む家というのは何処も同じで代わり映えがしない。何かの規格があってそれを基に建てているんかと思うほどだ。映画の時代劇だと、村と言うと家がある程度固まってるようなイメージがあるが、ここでは田畑に合わせて家がポツンポツンだ。
俺のいる村も同じだ。村長や村役の家は直ぐに分かる。周りが大きな田畑に囲まれて、比較的大きな家と矢倉があり、簡単な塀で囲まれている。その近くに見すぼらしい小作人の小屋がある。
海の近くまで来て、更にどんどん歩いて行くと岬の先端に砦が見えて来た。とてもじゃないが俺が知っている城ではない。海に出入りするには丁度いいんだろうが、どう見ても大きさは砦だ。しかも、海の傍過ぎる。塩害で砦の痛みも早いだろう。海からの高さがあるから津波の心配はないか。
門の近くまで行くと、いきなり矢を射かけて来た。手前に刺さったので脅しだと思うが、これが挨拶だと思うと本当に物騒な奴らだ。
「いきなり無礼であろう!こちらは小山田竹太郎様だ。弥次郎殿に用があって参った。取次ぎを頼もう!!」
「小山田?知らんのう。お前達には用は無い。直ぐに立ち去れ!」
「竹太郎様。やはり、先触れを出すべきでした」
「構わん!おい、お前!!弥次郎を出せ!!!それとも臆病風に吹かれたか?」
「何!今すぐその首(門を開けよ!)」
金属で補強された木の扉が開き、子供と数人の武士が出て来た。
「ほう?そなたが弥次郎殿か??俺は小山田竹太郎だ。暫く、厄介になる」
「そうだ。俺様が三浦弥次郎である。地侍風情が小山田氏を名乗るとは、その首、今直ぐに貰い受けようか」
「元気があるな。まあ、そう入切るなよ。今日は誼を通じたくてな、話に来たんだ。こうして土産もある」
持って来た米俵四俵を置いた。ほら、海の近くじゃあ、満足に米も採れんだろう。視線が米俵に釘付けだ。目は正直だ。
「・・・ふん。貢物を持って来た者をそのまま返しては武士の名折れだ。付いて来るが良い」
付いて来るが良いって、砦とは反対方向の街と言うか、何軒か家が集まっている方に護衛二人と歩いて行く。
「弥次郎殿。砦に入るんじゃないのか?」
「はあ?何を言っているのか分からないが、砦には何もないぞ。今から家に行くんだ」
そうか。砦は戦以外、使い道が無いものな。普段はこちらの家にいるのか。そりゃあ、そうだ。家の方が暮らしやすいもの。
時々、人を見かける。弥次郎を見ると、どいつもこいつも頭を下げる。暫くすると、少し、大きな家が見える。中古の木材も使ったようだが新しい部分もあり、普請が終わってから数年と言う所だな。
弥次郎を見ると、名門という事で大事にされているらしいな。そんな事では里見に良いように使われ、殺されるぞ。
武士は騙し騙され、死んだ奴が負けなんだ。
北条も平氏、三浦も平氏。弥次郎よ、北条を恨むのはお門違いだ。一族で争い、隙を見せたお前の一族が悪い。それにな。直接、手を掛けたのは源氏だぜ。恨むのなら源氏を恨め。
北条とは同じ平氏。将来の同盟相手だ。弥次郎も洗脳しよう。あいつは放置していたら里見に取り込まれるからな。




