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脱出

「マジでクソすぎる! じっちゃん外のアローの用意は!?」


「出来とる!」


「メイリ! 連絡は!」


「出来てます、御命令を艦長。」


「よし作業開始、慌てず急いで! 艦外ブザーならせ! ただ艦内に関しては鳴らさなくていい!」


つい1時間前まではブツクサ言いながらもある程度は平和だったのだが、恒星爆発警報により鳴り響く非常ブザーと対隕石及び対宙賊対策の為に設置された分厚い港湾区画の隔壁が閉じられた事で、もはやそこは戦場と化していた

元々解体予定があったという事もあり管理がおざなりだった事に加え不正や汚職により更に管理能力が悪化していた事

この地域は反機械知性思考が根強かった事により本来なら機械知性に調べて貰えば簡単に済むはずのシステム管理を行っておらず、膨大なシステム管理を非効率的な人力でやっていた事

機械知性による監視が無いのを良い事に管理部の中に潜り込んでいたスパイが密かにシステムに入れていたハッキングプログラムが作動してしまった事等悪い事が重なり、港湾区画に停泊していた艦船の脱出が出来なくなってしまっていた

幸いな事に外周部に緊急で増設されていた臨時港湾区画は問題となっている中央システムからは切り離されていた為、乗船していなかった人々は急いで臨時港湾区画から脱出する事となった

既に乗船が完了している人々は、混乱を避ける為ある程度臨時港湾区画に移動したら降りる手筈になっていた

そして中央指令室では大急ぎで隔壁をこじ開ける為に職員達が奮闘していた


「それだと時間がかかりすぎる、どうせ廃棄するんだったらぶっ壊しても構わないだろ?」


もっともどこぞの採掘艦隊の旗艦艦長の発案により、同時進行で隔壁の破壊作戦が展開されようとしていた

コロニー外では離れていく多数の避難船が事故が起こらないようにゆっくりとコロニー港湾部の隔壁に近づいていく1隻の軽巡航艦に進路を譲りながら大急ぎで避難していった


「コチラ『アロー』準備良シ!」

「よしやっちまえ!」


隔壁外に到着した軽巡航艦...アローヘッド型軽巡航艦1番艦『アローヘッド』の運用担当の『アロー』からの通信に速攻で祐一は警報ブザーを叩きながら許可を出した

種類問わず艦船には艦体部に汎用アームを装備している事が多い、主に艦船やコンテナを牽引したり追加装備を持つ為の使用されるのだが...軍用艦船ではもう1つ重要な用途があった


「対艦刀起動! 溶断開始!」


外部兵装を運用する為のである

対艦突撃を行う小型艦船にはめったに無いものの超至近距離での戦闘用に、エネルギーを伝達する事で膨大な熱量を発生させその熱量と質量により敵艦を攻撃する対艦刀が装備されている事が多い...もっともそこまで近づかずに魚雷やミサイルを叩き込んだ方が早いという考えや只の剣のような物ならともかく通常の物でも高価である為近年民間の戦闘艦船からは無くなりつつあるが...

くず鉄の艦隊では主に解体作業用として使われる事が多く、今回はその要領で隔壁が解体する手筈だった

膨大な熱量で隔壁を溶かしながら穴を開け、刀身を突き入れ開いたところから少しづつ解体していった


「解体中だが小型艇から離脱開始! ゆっくりな!」


いきなり全部解体する訳では無く小さい丸型に穴を開けそこから少しづつ広げていっている為、作業をみていた港湾管理担当の職員の指示で小回りは効くが足が遅い小型艦艇から離脱が始まった

そんなこんなで作業は進み、残すは港湾区画に入れる艦船では最大級の大きさである『アカシマル』『ピアー』『コキュー』の3隻のみだった


「すみません、御迷惑をお掛けしただけに留まらず御世話になります...」


「大丈夫ですその分の代金は自治政府に請求しますので、悪いのは自治政府でしょう。」


最後まで残っていた職員達をのせ3隻は出航し、コロニー外で待機していた他のくず鉄の艦隊とその他の護衛艦隊と合流し跳躍航行で離脱した


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