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新型機

ワルキューレの2人がブチギレてから4日後、相変わらずくず鉄の艦隊はステーション近くに陣取り補給や物資生産や保養に整備にと様々な方法で稼いでいた

ただ変わった事がある


『行ってくる!』


『行ってきます。』


『無事の帰還を祈る。』


アカシマルの艦橋付近の小型格納庫から2機の機動兵器が発艦し飛び出していった

その機動兵器は最初にアカシマルに入った時よりだいぶ様変わりしており量産機を改造したような雰囲気は消え全体的に装甲とスラスターを増やし専用機と化していた

赤い機体は右肩に1基の20連装小型ミサイル発射機を乗せ左肩には大型レーザーバズーカを乗せ、腰には近距離戦用の対艦刀を2振り装備しレーザー砲とレールガンを組み合わせた複合兵装である21式複合機関砲を抱えていた

青い機体はミサイルの代わりに榴散弾を使用する散弾砲を装備しているが、後は同じだった

元々ドラレーン社経営者一族のコネを使い次期主力量産機の試作機を買い取り使っていたのだが、拡張性こそあったが性能自体が低かった(ドラレーン社基準)事に心配した開発チームと2人の父親が、2人がアカシマルに滞在している事を聞きつけ最新鋭機動兵器である対艦隊試作型33式汎用機動兵器『ワルキューレ・ラーズグリーズ1型』の設計図を送り付けてきてそれにアカシマル乗員の機械知性達が大興奮し独自改良を更に行った上で生産し実地試験と称して2人に新型の輸送艇とセットでプレゼントしたのである

尚2人に新型機と輸送艇を生産してくれた事に対するお礼として次世代型の対艦対地強襲可変機動兵器である『45式ケーニクス・パンツァー』の設計図が送られており、機械知性達が同じように大興奮しアグニの重レーザー砲を撤去しその跡地に機動兵器である『ケーニクス・パンツァー』を設置し緊急用脱出機兼主砲兼副砲として使えと機械知性達が言った際の祐一の目は死んでいた

そんな事があったが祐一は持ち直し仕事に戻った


その2機の機動兵器を見た者は重武装でありながら凄まじい機動力と制宙戦闘機にも劣らない加速力に驚愕した


「これやっぱ良い! すんごい素直!」


「ここまで重武装化してもこの機動力ですか...」


赤と青の機体はスラスターの緑色の光を放ち高速で宙を跳ね回っていた

セレナ機は小刻みに動きながら武装の動きを見て歓喜の声を上げ、サミエラ機はスラスターの感触を確かめながら出力を上げていた


「あいつらはしゃいでんな、まあわからくも無いけど。」


そんな2機を見ながら、改修されたアグニ...『ケーニクス・パンツァー搭載火力支援型アグニ改』に積み荷を乗せ運ぶ祐一は溜息を吐いた


『ナニカフマンデモ?』


「ああ、何で俺のアグニがアラクネかケンタウロスモドキになったのかについて悩んでる。」


本来なら船体側面に小型コンテナ2つを搭載し小型コンテナ1つを後方に牽引して運んでいたのだが、今ではケーニクス・パンツァーの腕部に1つづつに両肩部や廃部の多用途アームを使い1つづつの計9つの小型コンテナを運搬していた

大型戦闘艇の背中に重量級の人型機動兵器が乗っかって荷物を運搬しているという絵面は目立ちまくっていた


「今日の晩飯麺類で。」


『あっさり系のラーメン用意しておきます。』


「とろとろのチャーシューもお願い。」


もう半ば自棄で晩飯のオーダーを出した後、配達を済ませてアカシマルに戻る


「後1日か、傭兵共の様子は?」


「本艦に搭載されてきた船艇の所有者達は全員行きと同じようにアルテラ宙域へ帰還、それ以外には3個ほどの傭兵部隊とワルキューレの2人が一緒に帰還したいとの事です。」


食堂の端で端末を見ながらラーメンを啜る祐一の問いに、空いたコップに水を注ぎながらメイリが答えた


「艦内工事の進捗は?」


「現在71パーセントまで完了、問題ありません。」


「全員格納できるようにだけは気を付ける感じで、まあ内部というかモジュールは艦体部にコンテナに入れてくっつけてるだけだから問題無しと。」


手早く食事を済ませた祐一は即座に食堂から出ようとした、この食堂は本来なら祐一しか使用していないのだがワルキューレの2人がトラブル防止の為、艦橋の角に体の都合上大量のクッションを持ち込みベット変わりして寝泊りしている為2人の分の食事が必要なのに加え、マナーが良い傭兵達用の料理も作っている関係上、自動調理器に加え調理ドロイド達によって凄まじい量の食事が作られ山の様になっており絶えず運搬用ドロイドが出入りし料理を運び出しており邪魔にならないようにしなければならなかった


「「クルル...」」


「離せ2人とも、俺はもう飯は済ませたんだ。」


「「クオ!(やだ!)」」


食堂から出ようとした祐一は扉を開いた所、目の前に獲物を前にした肉食獣を思わせるような表情を浮かべたセレナとサミエラがおり甘えるような声を出しながらセレナとサミエラは、出ようとした祐一を捕まえてグラド語で返事をしながら席に着いた


「クルクル…」


「クオロ?」


「クルアル。」


2人は捕まえた祐一の匂いを嗅いだり頬を刷り寄せたりして求愛しながらのんびりし始めた

祐一は初めは抵抗したが抜け出せないので、2人の食事に付き合う事になった

そして食事が運ばれてくると2人は交代で祐一を確保しながら食事を済ませ艦橋に向かい、艦橋の角に作り上げたクッションの山に祐一ごと体を横たえ昼寝をし始めた


「まったく、無防備過ぎないかな...」


祐一のボヤキは2人の寝息と艦橋内の音に消えた

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