表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/15

輸送のお仕事

甘く香ばしい匂いを嗅いだ祐一が目を覚ます


「おはようございます祐一。」


そこには艦橋にいる際の副艦長では無く、ただ1人の男を愛する女としてのメイリが一糸纏わぬ姿で祐一が良く飲むミルクと砂糖をたっぷりと入れた湯気が立ち上っているカフェラテを持って祐一の私室のベットの脇にあるテーブルに置いた、アカシマルの艦内には高性能の重力制御装置が搭載されている為に無重力である筈の宇宙において贅沢な事が出来ていた


「おはようメイリ。」


祐一の返事に彼女は穏やかな笑みで返すと起きようとした祐一を優しくベットに押し倒した


「まだ熱いので、冷めるまで...」


「いつも言ってるけど性処理は仕事内容に含んでないよ?」


いつも通りの苦笑いを浮かべる祐一にメイリは軽くキスをして


「たとえ体が鉄で出来ていようとも、それが人を愛してはダメなどという事は絶対にありえませんので。」


自身の心の底から愛する男に奉仕を始めた


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「おう、起きたか。」


「おはようじっちゃん。」


朝の奉仕を受け、身支度を済ませ程よく温くなったカフェラテを飲んで洗面を済ました祐一とメイリは艦橋に入った、艦橋にはセング―の他に5人の機械知性がいた


「さてと今日も変わらず移動か。」


「予定じゃと後2日はこのままじゃな。」


艦橋の外は真っ暗闇であり、宇宙であるにしても真っ暗すぎた


「ほんとに次元跳躍航行は怖いね、飲み込まれそうだよ。」


「艦長そんなに見ないほうがよろしいかと。」


「ナマモノハミスギタラノミコマレルヨー。」


祐一の呟きにメイリと通信席に座っている機械知性が答えた

何故普段必要ないからメイリかセング―か祐一の3人しか居ない筈の艦橋に追加で5人もいるのかいうと


「第一居住区の他宙域の傭兵達から入電『腹減った、アカシマルの調理器具使わせろ』」


「水か私物の調理器具使いやがれと言っておいて、アルテラの連中は?」


「既に第2居住区内食堂に移動し食事中、後で使用料払うじゃと。」


「要らねえから、その分工事と整備手伝えと言っておいて。」


アルテラ宙域から一緒に乗ってきた傭兵組合のアルテラ宙域支部所属の傭兵達と、目的の宙域までの道中で乗ってきた他の宙域の傭兵達が格納庫を一時的に改修して作った居住区に滞在していたからだ

事の発端は10日前だった


「指名依頼? 傭兵達をくず鉄の艦隊で輸送しろと?」


「そうだ、近々対連邦対策の為に緊急で連邦と接する宙域の指導者達や貴族を集めて大規模な会議が1ヵ月位開かれる予定なんだが少しでも警備戦力が欲しい、その為に傭兵も掻き集められることになったんだが足が足りない、確か100機は詰め込めば運べるだろ?」


アルテラに帰ってくるなり組合に呼び出され、カウンターで祐一はヘッグから話を聞いていた


「3日待ってくれれば小型艇だけに限ってだけなら600機は何とか運べるけど。」


「...は?」


「いや帰ってくる間に部品生産してアカシマルを全長2キロから全長5キロに改修してる、まだ広げた所と元々の部分に設備入れてないからそこの部分に格納庫と仮設居住区立てて護衛戦力を随伴のペンタルフ型の搭載機に任せれば良い。」


「そこらの民間軍事企業ですらないのにお前達はどこまで行くんだ...わかった、護衛戦力はこっち(傭兵組合)も出すように上に交渉してみる、搭載機は輸送艇やらドローンだろ? こっち(傭兵組合)の無人戦闘機や戦闘艇を乗っけろ。」


あまりの事態に頭を抱えながらヘッグはそう返しながら祐一に顔を近づけた


「すまねぇな今回の依頼の発端は新しく着任した支部長だ、あのババアどうやら中央のお偉いさんのなんからしくて無茶苦茶なんだ、功績稼ぎに『我が支部には大型艦を保有している傭兵がいます! そいつに傭兵共を運ばせれば経費を削減できます!』とかほざいてこの指名依頼だ。」


「まあ企業に頼むより安いからね、手数料無いし。」


小さい声でネタ晴らししたヘッグに祐一は少し眉を顰めながら小さく返した

実際依頼料は少なく、受けなければ除名すらあり得る指名依頼でなければ受けないような金額だった


「まあアカシマルはモジュール式で改修が簡単だとはいえ試験運用したかった所だから良いよ、じゃあ諸々の手配よろしく。」


「仮設居住区はプレハブ式のなら直ぐに搬入できる、後の物も3日後までには手配できる...任せたぞ。」


こうしてアカシマルは急ピッチで改修が行われ、3日後には傭兵達を乗せアルテラ宙域を出発、道中の宙域の警備依頼を受けた傭兵達を乗せ目的地のディルゴ宙域に飛んだ

その際にくず鉄の艦隊を良く知るアルテラ宙域の傭兵達はマナーが良かったのだが、それ以外の傭兵達はマナーが悪く

傭兵同士の喧嘩ならまだマシだが無断で設備を使う、許可無く工事中で立ち入り禁止区域に入ろうとする、置いてある備品をを勝手に自分の物だとするわで祐一がガチギレした結果、アルテラ宙域やマナーが良い傭兵達は居住区を移すなどの対応をする事になった


『組合からの依頼で俺達を運ぶと聞いた、だったら俺達お客様じゃねぇか!』


『使ってないんだからちょっと借りても良いじゃねぇか。』


『まだたくさんあるんだろ、だったら少し位俺達が貰っても良いじゃねぇか!』


ニヤニヤ笑いながらそういった傭兵達の言葉は、祐一やくず鉄の艦隊の乗組員どころかまともな傭兵達からしても意味不明でありこういった対応には異論はでなかった、祐一を始めとするくず鉄の艦隊一同さっさとこいつらを宇宙に放り出してやりたかったが依頼内容としては無事に送り届ける事が条件だった為怒りを押し殺しながら絶えず監視体制を取ることになったのである


そんなこんなでアカシマルは航行しディルゴ宙域に到着した、既にディルゴ宙域には多数の艦船が到着し、会議の出席者の艦船は大型宇宙ステーションに入りそれ以外の艦船はステーション外で警戒態勢に入っていた

アカシマル艦内でも絶えず格納庫では発艦作業が行われ、格納されていた傭兵達の戦闘艇や小型コルベットが宇宙に解き放たれそれぞれ編隊を組むと警戒配置に移った

くず鉄の艦隊はステーション近くで正規軍や民間軍事企業に加え各勢力の私設部隊から派遣されてきた大型艦に混じり展開し、希望する傭兵達に対する支援作業についた


「傭兵団『パルエッティ』ヨリ支援要請、小型艇6艇ノ点検及ビ休養設備使用許可。」


「第2整備格納庫開け、各員作業用意、休養設備の使用許可。」


「ジェラン騎士爵領第3巡回戦隊より整備部品の売却要請。」


「定価で構わない、輸送艇1艇で巡回戦隊旗艦へ配達。」


艦橋では引っ切り無しに通信が入り、それに祐一から指示が飛び、少しだけ乗せておいた生産設備で作られた物資を使って傭兵達の艦船が整備され物資を積んだ輸送艇が発進し配達に動き回っていた、艦内の居住区では傭兵達が整備中に食事や打ち合わせを済ませ残った時間を艦内設備を使って休息を取っていた


『帝国協定中央軍第11艦隊到着、第4エリア警備に展開、展開中の部隊は第11艦隊所属部隊に引き継ぎ完了次第次のエリアに移動されたし。』


2日間程すると増援の主力艦隊が到着し、大規模な配置転換が行われ忙しさが増した

しかしそれは同時に他の地域にいた傭兵や民間軍事企業の部隊も到着し稼ぎ時となる


『ワルキューレが来たぞ!』


『マジかよ! サイン貰えねえかな!』


その際に2足歩行型機動兵器2機を牽引した輸送艇を確認した傭兵の叫び声の様な通信に宙域全体で大騒ぎになった


「2人、来ましたね。」


「あの2人中央の会議に出てると思っていたんだがの、格納庫開けておけどうせこっちに来るじゃろ。」


「滞在場所はアカシマルの主要部分にしておきましょう、恐らく記者共が騒ぎ立てるでしょうし。」


メイリとセング―はそう呟くと祐一に指示を仰ぐ事なくさっさと準備しだした、既に外堀はとっくの昔に埋め立てられ最後に祐一自身の許可という名の天守閣を制圧するだけの状態だったから問題など無かった


「...『アロー』『スピア』の両名は指揮下にあるカットラス級2隻と戦闘機と戦闘艇を待機状態にしいつでも出られるように準備、尚カットラス級は物資の輸送でも使うのでそのつもりで。」


祐一自身も既にメイリとセレナとサミーを娶ることが決定事項である事は自覚している事から、2人がアカシマルに来る際には即座に記者やその他大勢から護衛する為の戦力の準備をした


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ