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二日酔い

どこからか時計の音が聞こえてくる、そして緑茶と優しい御粥の匂いが漂ってくる

祐一は二日酔いによる胸焼けと頭痛に顔を顰めながら起き上がった

宴会の後ドローンが片付けたようで周囲は綺麗になっていた、そしてテーブルの周囲の床にはドラクト達4人がそれぞれの体を枕代わりに角が刺さらないようにではあるが仰向け眠っており、祐一とメイリの2人は柔らかい鱗で構成されている腹周りの辺りで彼等を敷布団代わりにして眠らされていたらしい...グラド人自体群れで生活してきたという事もありこういった様式で眠る事も割とあった、流石に酔っぱらってグラド人の王族を布団代わりに眠る地球人は祐一が最初ではあったが


「おはようございます、食べれますか?」


「何とか...」


祐一が起きる前に動き出し、6トン近い御粥と付け合わせの漬物類を用意していたらしいメイリが小さな台と椀に盛られた御粥と漬物に温かい緑茶を差し出してきた

御粥は味噌仕立てで米の他に具材として卵とワカメと巨大な貝の切り身が入っており、優しい味わいの浅漬けと緑茶と合わさり何とも胃腸に優しい朝食となっていた

そんな祐一が起きて自身から離れたのを確認すると、既に起きていたドラクト達がゆっくりと起き上がり空気を震わせるような咆哮を挙げた...もっともただ単に欠伸しただけである


「良い匂いであるな、朝餉に丁度良いである。」


グラド人にとってアルコールは毒ではなく只の燃料である、その巨体の内部には一種の内熱機関のような内臓が存在しており接種したり体内にある物質で生成したアルコールを燃料に凄まじい程のエネルギーを生成し蓄える事が出来た、その為グラド人にとって酒は文字通り水と変わらなかった

その為昨晩凄まじい程の酒を飲んだのに二日酔いにはなっておらず、美味そうに御粥を啜り浅漬けを食べ緑茶を啜っていた


そんなこんなで手早く朝食と洗面等を済ませると、祐一とメイリを肩に乗せ一同は『ドラレーン』各所や居住区巡りを始めた

ドラクト達が基本的な業務に連れまわしたいのもそうだが、祐一が婿入りする際に混乱が生じないように顔を見せておくというのが最大の理由だった

現場からしてもこういった状況には歓喜の声が上がっていた


「バルディア、後で何か届けてやってくれ。」


「わかった。」


祐一が居る事で機嫌が良いドラクトが何とも豪快に褒美を振舞うのでウハウハであるのが理由だった

そんなこんなで時間がたち昼になると居住区の食事処に入り昼食を済ませ、再び巡回や相談事の相手を行い私室に戻った

既に『アカシマル』を含むくず鉄の艦隊全艦が港湾施設に移され、艦艇や機動兵器群の運用データ回収も兼ねて点検が行われており数日帰る事が出来ないという事もあり、祐一達はそのままドラクト達の部屋で止まる事となり暫くの間連れまわされる事となっていた

そして点検が終わりアルテラ宙域に帰る日がきた


「早かったなぁ、また来るんだぞ。」


「メイリちゃん娘達の事お願いね。」


「もっと長く過ごしたいが、お前のような気高き翼を持つ者にとっては一か所で留まるのは我慢出来る事ではなかろう。」


「もしもの時は直ぐに呼ぶのよ、あの子達の事で何かあっても直ぐに呼びなさいね。」


見送りに来たドラクト達やまだ避難先に旅立っていなかった避難民達に見送られ、くず鉄の艦隊はアルテラ宙域への帰路についた

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