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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

月を撃ち落とす魔銃使い。~適性武器がないことを理由にクビにされたけど、偶然に転移してきた現代兵器を拾ったことで、少年は剣も魔法も凌駕する力を得る~

作者: あざね

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 ――時々、夢を見るんだ。


 ボクはどこか別の世界にいて、そこで見たこともない武器で戦っている。

 ただ、それはあくまで夢の中の物語で。目が覚めると、また詰まらない毎日が始まったとウンザリするのだった。

 それでも、夢の中の光景は記憶に強く焼き付いて。

 いつかあんな風に戦ってみたいって、そう思うんだ。







「え、クビ……?」

「そうだよ。この唐変木」



 ボク――アルフレッド・ガンナーは、ただただ呆然とした。

 とあるクエストを終えて、帰路についていた時のこと。パーティーのリーダーは唐突にボクを呼びだして、そう告げてきたのだった。

 こちらの意見など聞く耳を持たず。

 これといった感情も、興味もないといった様子で。



「あの、でもそんな突然……!」

「突然じゃねぇよ。お前の役立たずぶりには、みんな苛立ってたんだ。適性武器が存在せず、前衛でも後衛でも中途半端。生きてる価値、ないんじゃねぇの?」

「そんな! たしかに、適性武器はなかったけど――」



 ――それでも、器用貧乏なりに頑張ってきたのに。



「うるせぇな。頑張ったとか、努力したかじゃねぇんだよ。冒険者稼業は結果重視の能力重視。努力点なんて存在しない、魔法学園じゃねぇんだぞ」

「…………それは……」



 それ以上は、言い返せなかった。

 たしかにリーダーの言う通り。ボクは誰もが持ってる【適性】というものがなく、どれも不器用にしか扱えない、中途半端な冒険者だった。

 それでも魔法の基礎、錬金術の基礎、鍛冶職の基礎――その他にも色々なことの基礎は、一通り修めてきたはず。でも、どうしても凡人の域を出ない。



「分かった。ボクは、出て行くよ」

「あぁ、そうだな。清々するぜ。分かったら、さっさと失せな」

「………………」



 こうして、ボクは幾度目か分からない追放処分を受けたのだった。









 一人で活動しようにも、冒険者稼業はエキスパート前提だ。

 そして、そうなるとボクのような【適性なし】は無用な存在。貧困層出身だから、まともに雇ってもらえないし。冒険者が最後の望みだったのだけど……。



「どうしようかなぁ……」



 途方に暮れていた。

 曇天模様な今の夜空のように、ボクの未来は真っ暗だ。

 せめて、なにかに適性があれば違うのに。そう思い、ボクは自身の生まれながらの不遇さを呪っていた。その時である。



「ん、いまなにか……光った?」



 王都の中でも貧困層が住まう地域。

 その剥き出しの地面が目立つ道の端に、なにかが輝いて――。



「これは……?」



 駆け寄って、そこにあった鉄の塊を拾い上げた。

 見たことのない形状。しかし、どこか手に馴染むような不思議な感覚。

 ボクはそれを握りしめて、ほとんど無意識のうちに一部に指をかけていた。そして、誰もいない壁に向かって――――――バァン!!



「うわ!?」



 その瞬間、なにかが鉄の塊――筒状になった箇所から放たれた。

 なにが起きたのか分からずに、飛び出した物体が飛んでいった方向を見る。すると、木の板が張られた壁には、小さな穴が開いていた。

 よく分からない。

 それでも、妙に手に馴染む鉄に視線を落としたら――。



「ん、これって……?」



 脳裏に、これの使い方が浮かんできた。

 名称は『銃』であり、敵に向かって弾を射出する武器だ、と。

 どこかで見て、経験したような光景が浮かぶ。しかし、それがどこでなのか、いつなのかも分からない。ただ、確信としてあったのは一つ。


 この銃は、間違いなく。



「ボクの、適性武器……?」



 聞いたことも、見たこともなかった武器。

 銃という名のそれが、自分にしか扱えないという事実。

 どうして今ここに、これが落ちていたのか。分からないことばかりだが、ボクはそれ以上に歓喜に包まれた。だって、これでようやく……!



「ボクも、一人前の冒険者として戦える……!」



 そう考えて、もう一発。

 今度は何にも当たらないように、天に向けて銃弾を放って――カチンッ!



「……って、あれ?」



 軽い音がした。

 そして、その理由はすぐに分かる。



「え、うそ。もしかして、弾切れ!?」



 中に込める鉄塊が、不足したということだった。



「えっと……」



 どうすればいいのだろうか。

 銃弾が必要ということは、分かった。

 でも、肝心の銃弾の生成方法が思い浮かばない。



「どうしよう、これ……」



 そこで、ボクの冒険者としての道は暗礁に乗り上げ――。



「い、いや! まだだ! ないなら、他のことを試せばいいじゃないか!」




 気持ちを切り替える。

 ボクだって、決して無能ではなかった。

 今まで魔法や鍛冶、さらには錬金術や他にもたくさんの知識をつけてきたのだ。これを今、この時に使わなくていつ使うのか!



「よし、今日からしばらく引きこもって研究だ!」



 ボクは自分の頬を叩いて気合を入れる。

 そして、自宅に向かって真っすぐに駆け出すのだった。











 ――そして、数か月後。



「くそ、どうしてダンジョン上層にこんなドラゴンが!?」



 一人の冒険者が、ダンジョンの攻略に挑んでいた。

 しかし、その日は何もかもが異常。本来ならばいるはずのない魔物が、ダンジョンの上層に出現していた。駆け出しである彼にとっては、完全な不意打ち。

 勝てるはずがない。

 そう思って、その冒険者が目を瞑った瞬間だった。



 ――――ズガァン!!



「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」

「え……!?」




 何かが射出され、弾けるような音。

 その直後に、ドラゴンの断末魔が響き渡った。



「大丈夫ですか?」

「え、アンタは……?」



 冒険者が驚き目を開けると、そこに立っていたのは一人の少年。

 手には、見たことのない武器があった。


 そして彼は、思い出してドラゴンを見る。

 だが、すぐに息を呑むことになった。何故なら――。




「う、そだろ……!?」




 そこには上半身が消し飛び、魔素へと還るドラゴンの姿があったから。

 冒険者は改めて、少年を見た。すると、



「えっと、ボクは――」



 その少年は名乗ったのだ。

 自分の名は、アルフレッド・ガンナーだ、と。





 これは、いずれ『月を撃ち落とす魔銃使い』と呼ばれる少年の物語。

 その序章だった。



 


 


面白かった

続きが気になる



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<(_ _)>

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― 新着の感想 ―
[良い点] どうして、こうなったの!? これ、めちゃくちゃ気になりますね(笑)
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