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61:全部ぜんぶ、私の…

60話の最後を調整のため修正しました。

修正前:子供の頃から外見も中身も成長していない女こそが

修正後:魔女の本質を拗らせている女こそが


 



 ゲームのときは老婆みたいな容姿のはずが、この世界では子供になっていたって?

 じゃあゲームで対峙したあの老婆はいったい何だったのよ。


「あんた達は、どうして奴を西の魔女だと思ったんだい」


「えと、私達が知っているのはしわくちゃのお婆さんで、先にセリアが話していたらしく西の魔女だと」


 私が行くまでにどんなやり取りがあったかは知らない。

 けど、セリアが西の魔女と言い、私もそうだと思った。

 流されたわけじゃなく、その見た目と、レリーナを思う発言――。


「あ! じゃあなんであの人はレリーナのことと役目のことを知っていたんですか? まさかレリーナも――」


「落ち着くんだよ。奴が知っていたとしても彼女を呼べばわかることさ。

 緊急事態だ、店は閉めるよ」


 今日はいつも以上に繁盛しているが、ここは『魔女の家』だ。

 日頃の出来事で訓練された常連たちは文句も言わずに出てってくれた。

 それでも、注文済みの食事が終わるまで半刻ほどかかったけど。






 誰も居なくなった店内で、私達は一つのテーブルにつく。

 ここ……ヴィル様たちがいつも座ってた場所よね。


 緊急事態というので店を閉めたけど、クロとレリーナの二人は事情を知らない。

 ソワソワとして落ち着かない様子からも、これから何を話されるのだろうと困惑しているようだ。


「さて、今からここは貸し切りだよ。

 そろそろ本業のほうを始めようじゃないか」


「え? 師匠、こっちが本業じゃなかったんですか?」


「あんたは黙っときな」


 そうして語られる、学園の事情。

 学園で目撃されていた黒猫は南の魔女の手先だったこと。

 私に関わってきたことから、既に最終段階へ入っているとのこと。

 セリアが今日、西の魔女と信じるソイツ(・・・)と、情報共有へ向かったこと。


「もう学園も終わっている頃だ。さっきコイツに偵察へ行かせたが、既に奴の手の中とみていいだろうね」


 偵察にいったのはもちろん私。

 生徒会室にもいないし、寮にもまだ戻っていないらしい。

 ただ、ルファスに『少し散歩にいってきますね』と伝言だけ残していた。


「つまり、こちらの情報は筒抜けになったということか?」


「最悪を考えて行動するに、そのほうがいいだろうよ」


 クロはテーブルの上に置かれた拳を、ぎゅっと握りしめる。

 彼は南の魔女に呪いをかけられたというので、ようやく見えた手がかりにはやる気持ちを抑えているようだ。


「で、問題はここからだよ、レリーナと言ったかい?」


「……はい」


「あんたは何者だ?」


 師匠は鋭い眼光を真っ直ぐにレリーナへ向けていた。

 対する彼女は、その視線を受け止めて堂々としている。


「私は、西の魔女様の後継者。そして、クレアお嬢様の従者です」


「ほう。じゃあその西の奴がどうなったか知ってるって?」


「それは……」


 レリーナが閉口するのも無理はない。

 きちんとした継承が行われていなくても、魔女というのは弟子に引き継がれる場合がある。

 師弟関係にある師が、死んでしまった場合に。


 だけどそれならレリーナにもわかるはずだし、どこかで西の魔女様は生きているはず。

 そう、どこかで・・・・


「まあお前さんがわからなくても無理はない。

 ったく、あの馬鹿が。まんまと吸収されちまったか」


「きゅ、吸収?」


「あたしたちにそれぞれ特化した役割があるってのは知ってるだろう?

 東は光・回復。西は闇・隠形」


「師匠は料理と調合ですか?」


「うるさい。あたしはまあ……それでいい」


 本当は知っている。

 北の魔女様というのは、能力の分散と変質。

 ゲームではヴィル様を助けるために行動してくれたり、最後の最後でヒロインをただの人間として生活できるようにしてくれる存在。

 だから私も、魔女の中では北の魔女である師匠が大好き。


「ならもちろん、南のやつも知ってるだろ?」


「敵の無力化……つまり黒猫にする以外にありますか?」


「ああ。自分の領域にいる奴らの力を自らの糧にする、力の吸収さ。

 例え猫にされたって、支配下に置いても使えなかったら意味がないさね。あいつは囲った人物でお気に入りは、どこかに閉じ込めて可愛がるんだよ」


 黒猫にされたのは、お眼鏡に適わなかった者。

 そして見事気に入れたら監禁。

 どちらにせよバッドエンドまっしぐらだけど、そんな設定なかったはずでは?

 だってあの老婆だよ?

 もしそんなことができたなら、あんなしわくちゃの姿で出てくるはずがない。


「そうか……つまり俺はどちらでもないのか。

 喜んでいいのか、嘆くべきか判断に困るところだ」


「では……西の魔女様は監禁されて、その南の魔女様の糧に……」


「どうしてそうなったのかはあたしにもわからないよ。

 ただ、セリアもそうなってたとしたら厄介だね。あの娘なら大丈夫だと思うが――」


 三人が話す声が、どこか遠くに聞こえる。


 一つだけ、気づいたことがある。

 南の魔女が若返った原因、それは西の魔女様を吸収したからで良さそう。

 じゃあ、どうして西の魔女様は捕まってしまったの?

 師匠いわく、そんなヘマをする御方ではない。


 ただ、もし弟子だというレリーナを引き合いに出されていたら。

 そしてレリーナが弟子入りする原因となった、私が関係していたら。

 いくら西の魔女様とはいえ、罠にはめられてもおかしくない。

 つまり。

 全ての事柄は、私が生きていることで狂い始めたのかも知れない。


 ……どうしよう、私がヴィル様ともっと触れ合いたいと思ったから。

 あの時、生きたいと願ってしまったから。

 すべては私のせいで、今まで回避しようとしたあの戦争が――。


「先輩? さっきから静かだがどうかしたか」


「クロ。私……わたしっ!」


 そんなとき、誰かに肩を揺さぶられた。

 隣を見るとレリーナが。

 私が、この世界ではじめて出会った人。


「お嬢様。何をお悩みかわかりませんが、私のお師匠様も北の魔女様に負けずと凄いのですよ?」


「はっ、癪だけどあの馬鹿は南よりも敵に回したくないね。

 だから認めてやるよ。あんたは勘違いしているだろうから、クロ。

 この半人前になった弟子に教えてやんな」


 いつのまにか私は泣いてしまっていたらしい。

 ようやく頬を溢れる涙に気づき、慌てて涙を拭う。

 しかしその手は、見慣れた男性の腕に……日頃の料理によって逞しくなった、クロの腕によって止められる。


「先輩が気に病む必要はない。

 なぜ泣くのかは理解できないが、大方自分のせいだとでも思っているんだろ。とんだ思い上がりだな」


「―っ! だって、私がっ!」


「最初から南の魔女という存在は狂っていたんだ。

 誰がどうしていようと関係ない。それとも、俺達の目的を忘れたか?」


 北の魔女である師匠。

 東の魔女であるセリア。

 そして、西の魔女の弟子みたいなレリーナ。


 みんな、南の魔女が引き起こすであろう惨劇を回避するために動いている。

 だから私も、学園に潜入したり、セリアと一緒に今後の展開を確認したりしていた。

 だからもちろん、メンバーの一員である私が忘れるはずがない。


「そんなわけ――」


「だから気にするな。

 先輩とセリアがどう行動しようとも、成るようにしてなったことだ。

 誰も先輩のせいだないんて言わないさ」


 その、クロの言葉を肯定するように。

 師匠もレリーナも静かに頷く。

 みんな――。


「だから、あいつをどうするかを考えよう。

 あの場所にいったのは先輩だけだ、頼りにしてるぞ」


「……うんっ! そうね。

 じゃあ今から、みんなであのロリっ娘を殴りにいきましょう!」


「全く、落ち着きのない子だね。

 だが、あんたはそれくらいがちょうどいいよ」


 師匠の発言に、いくらか深刻になっていた空気も和らいだ気がする。

 ……きめた!

 あっちがその気なら、こっちもなりふり構わずやっちゃうんだから!





どこかの映画と似ているって?

二回目を見に行きます! ……ではなく。

似たような終わりにしようとは元々決めていました。

ただ、影響されて流れを変更したことは確かです。

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