58:潜入! はちょっと待って
前回までのあらすじ!
情報収集のため、魔法学園に潜入することになった私。
けど生徒になる条件を満たしていない? なんで!
しょうがないのでセリアの使用人として潜入したけど、メイド業務ってハードなのね。
そのうち生徒会の雑用係としても扱われ、学園にあらわれた黒猫の噂を聞きつけ調査するけど……。
目の前にいるの、噂の黒猫ちゃん?
かわいい。
いや、そうじゃないけど、あれ黒猫よね。
でもクーちゃんのほうがちょっとスリムだから、あれは別猫。
じゃあなんでこんなところに?
クーちゃんの存在を知らなかったら警戒しなかったけど、誰かが代わりになっているのは間違いない。
つまり、魔女の関係者……。
「にゃーにゃー、こわくないよ? こっちにおいでー」
「………………」
そういって猫ちゃんを呼ぶ私の声は震えていたし、黒猫が警戒するのも無理ないかも。
こっちが何者か疑っているようなら、もう一歩踏み込んじゃう?
「あなたが最近目撃されているという黒猫?」
「にゃ」
「やっぱり言葉が通じるのね。大人しくついてきてくれる気はある?」
そう問うと、黒猫ちゃんは小さく首を振ってどこかに歩いていく。
しばらくして立ち止まったと思うとこっちを見てきた。
ついてこいってこと?
「あなたのご主人様に案内してくれるのかしら?」
黒猫ちゃんは反応しない。
いきなり行方不明っていうのはアレだから、書置きでも残しておきましょうかね。
内容は「ちょっと黒猫の国にいってきます」でいいかしら。
セリア相手ならこれで伝わるでしょう。
そのまま案内されたのは、どこかの廃屋だった。
学園の敷地内で済んだのは安心したけど、なぜこんな場所が取り壊されずに残っているの?
黒猫ちゃんは隙間からヒョイヒョイと中に入っていくけど、扉は……開かないわね。
私黒猫になれないのだけど? どうやって入れって?
立ち尽くすこと数分。
中から黒猫ちゃんがでてきた。
なんだか怒っているような……?
「ニ゛ャア?」
「えと、変身はできないのですが」
黒猫ちゃんに対して、なぜか平身低頭な私。
これをセリアに見られていたら絶対馬鹿にされていたわ。
なんか師匠やクーちゃんに対して謝っていたからか、身体にしみついてしまっちゃってるのよね。
黒猫ちゃん……いいえ猫様ね。
「え、こっちから中に入れるって? いや壊さないと無理ですよ」
そういうと、一部を破壊してくれる猫様。
うん。
私のためってわかっているけど、なんか猫様が遊んでいるように見えてかわいい。
え? 早く入れって?
すみません……。
廃屋の中は外と変わらず。
むしろ今にも崩壊しそうなイメージだけど、猫様はひょいっと奥へいってしまう。
そして床下に広がった暗闇に吸い込まれるように。
地下階段?
どうみても罠よねこれ。
そういえばルファスが暴走した時、ヒロインを閉じ込めていた地下室に似ているような。
…………やめておこっかな。
猫様は出てこないので、そのままUターンして帰ることにした。
◇◇◇
「で、アンタは何もせずに帰ってきたというわけかい?」
「だってセリアならともかく、私何もできませんよ? せいぜい光魔法を大車輪させるくらいで」
その日は逃げるように食堂へ舞い戻り、師匠に相談。
やっと掴めた手がかりを逃すようになったけど、情報収集としては場所がわかっただけでもいいんじゃない?
「はぁ……そいつらが逃げたらどうすんだい。今から行っておいで」
「私一人じゃさすがに。しかも猫様の言葉がわからないので」
ちらっとクロを見たけど、彼は無視するように料理へ打ち込んでいた。
「クーちゃんが通訳してくれると助かるのになー?」
「アンタはクーの言葉もわからんだろうに。連れて行くならセリアかレリーナにしておきな」
たしかにクーちゃんを連れて行っても言葉はわからない。
わからないけど、モフりながら夜の探検ができるって良くない?
あ、ダメですか……。
「夜逃げされたら困るからね、今からいきな」
「じゃあレリーナを」
「なんで仕事のある連中ばかり連れて行こうとするんだい。
いくらあの子と仲が悪いからって、そこは我慢しな」
私、これでもさんじゅう――げふんげふん。
嫌な人間とは関わらないのが一番だけど、仕事なら仕方ないわね。
「もし死んじゃったら、骨は拾ってくださいね」
「アンタが死ぬときは世界が滅びるときだよ」
それ信頼してるって思っていいんですよね?
暗に食堂の悪魔、黒い物体みたいなしぶとさって言われてる気がするんですけど。
ようやく再開します。
他にも連載があるので、毎日更新は厳しいですが。
あと1話で最終章にはいります!




