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49:残念な立ち位置

 


 王都にあるアラバスター魔法学園。

 といっても、この国唯一の魔法学園なので、正式名称で呼ぶ人は少ない。

 確かゲームの説明書によると、外装が石膏のようなもので覆われているからこの名前になったんだっけ。


 イラストの背景としては美しかったんだけど……実際に目にしてみると、強度とか素材とか、実用性について気になるのよね。


「……で、こちらが私の教室です。聞いているのですか?」


「ええ。大体わかるので問題なくてよ?」


「やめてください。せめて普通に話すようにお願いします。

 主人に案内させている時点で奇怪ですが、それ以上目立つのはやめてくださいな」


 レリーナを送り返した後、夜の学園探検と洒落込んだけど。

 ……隣にいるのがセリアじゃなく、ヴィル様となら楽しいのに。


「私は何をしたらいいの?」


「寮のメイド長にでも従っていれば良いのでは?

 まさか条件すらも満たしていないとは予想外でしたので」


 私はいまメイド服だ。

 セリアはもちろん学園服。

 私の制服が届いていない、というわけではない。


「しかし、そちら側の視点というのも確かに必要です。

 もしや、魔女様はそれも見越していたのでしょうか……?」


「それただの嫌味に聞こえるからやめて」




 昨日、セリア達がレオン先生と帰る際、大問題が発覚した。

 先生によってもたらされた情報は「フレアちゃんは条件を満たしているのか?」というものだ。

 いわく。



 ・貴族に連なる。そして魔法の素質がある者。

 ・将来に於いて師弟関係、また従師する偉人がいる者。

 ・その道のエキスパートである者。



 基本的にはこの三つ。

 しかし、何にでも例外はある。

 セリアみたいに稀有な魔法の使い手や、ルファスのような半魔女の力技で認められたり。


 ……ここで問題になったのは二つ。

 まず貴族であり、素質がある。

 その条件は満たしているけど、それは私がクレア・ラグドーレならばの話。

 ここにいるフレアという人物は、素質があるだけにとどまる。


 次に師弟関係、偉人。

 北の魔女。師匠の弟子みたいな扱いだけど、あの人が偉人?

 そもそも、師匠の名前知らないんだけど……。

 もし偉人の弟子となると、学園長に挨拶したり、国へ許可をもらったりと色々面倒なことになるらしい。

 学園長はまだしも、国とか無理。却下。


 そしてエキスパート? 論外ね。




 つまり私は、魔法学園に入る条件を満たしていないわけで。

 ちょうど良いからと、なぜか使用人扱いでこちらへ来ることになった。

 学園の敷地内にはレリーナがパパっと設置した魔法陣が配置されている故、敷地外に出ない限りは問題ない。

 寮にも全配置済みとか、さすが西の魔女は仕事が早い。

 ゲームでは別名、暗殺者と呼ばれた魔女なだけあるけど……昔のレリーナは死んでしまったのね。


 閑話休題。


 つまり……はい。セリアの使用人になりました。

 ここでは学生が一人、使用人をつけても良い。

 その制度はカトレアちゃんから聞いて知っていたけど、その制度を利用する生徒は一部だけだ。

 とりあえず、言いたいことはひとつ。


「以上ですね。基本的には他のメイドたちと仕事をしてもらいますけど、何かご不明な点はありませんか?」


「うん。セリアの使用人はやらないから」


 ここにメイド長がいたら、すぐにでもゲンコツが飛んできそうな発言だ。

 目的はあくまでも潜入。

 なので、ヒロインということでちやほやされつつ、ヴィル様を狙っている女に尽くすなんて冗談じゃない。


 セリアも同じなのか、バレなければいいと思っているようですぐ同意してくれた。


「そうですね。元から貴女に色々任せる気はありませんでした。

 わたしが信用しているのは魔女のお二人のみ。

 それでも構いませんが、くれぐれも大人の対応をお願いしますよ?」


 くれぐれも、ということを強調してお願いされる。

 これでも十年近く社会の荒波に揉まれてきたのよ。

 馬鹿にしないでくれる?






 そう思っていた時期が、私にもありました。


「そこの新人。早く洗濯物を取り込んでください。

 それが終わったら向こうの清掃ですよ。また、お嬢様方に会われた際はけして目線を合わせてはなりません。

 向こうに話しかけられるまで、頭を上げてはいけません」


「はーい……」


「シャキっとしなさい! 全く、最近の若い者は――」


 くどくどくどくど。

 この説教も聞き飽きてきたので、そろそろ解放を……え、ダメ?

 ごめんなさい……。


 あれから三日が経過したけど、この生活にはすでに嫌気がさしてくる。

 セリアの専属使用人という建前ではあるけど、実際はメイドっぽい仕事をこなしながら魔女に関する情報収集だ。

 それで他のメイドとの交流をメインに活動していたけど、教育係と称された厄介な人物に目をつけられた。


 魔法が使えるところはさっさと終わらせ、サボっていた私も悪いけど……どうみても綺麗になっているのに、かける時間がはやすぎるなど、手抜きできちんとやってないだとの決めつけてくる。

 こういう人いたなー……と軽く思えたのはそこまで。


 監視するからやってみろ、と言われては魔法も使えないので。

 魔法が使えるなら師弟関係か、誰かに従師するのが一般的だもの。

 ただの平民でも魔法が使えるなら、あらかじめ誰かに弟子入りして生徒として入っているはず。

 なんといっても国で唯一の花形学園だ。

 ある程度の魔法が使えるくせに、ここに来ない人物は滅多に居ない。


 うん、私みたいな例外を除けば。

 つまり、使用人の中でも魔法を使える人物が怪しいってことになる。


「聞いているのですかっ! だいたい貴女は、ある程度の自由が認められているのかもしれませんが――」


 平常心、平常心……。

 ここで我慢するのが大人の対応だけど、いつかこの人にぎゃふんと言わせてやるんだから。





メイドは学園での立ち位置なので、おまけ程度です。

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