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37:さすがに同情しちゃう

修正

アルフォンスの身長:ヴィル様と同じくらい → カミーユと同じくらい。

セリア:クーのことに気づいている。そのことをフレアと師匠は知らないことに。

 


 思わずニコー! としてしまったけど、今の私は不謹慎だったらしい。

 周囲から「こいつマジか……」みたいな雰囲気が醸し出されている。

 だって、あのヴィル様が私のために怒ってくれているんだよ?

 それだけでもう有頂天よ!


「それに、彼女は君みたいな男性が近づくことに免疫がないはずだ。

 もしかしたら、男性と手をつないだこともないのかもしれない。

 それなのに君は、なんてことを――」


 あ、いや。

 さすがに手を繋いだことくらいありますけど?

 だってクロとなんて、しょっちゅうですし。


「君が自然とセリアさんにやるような行為を、彼女にも行うのはやめてほしい。だいたい、君はどうしてこの場所に来た?

 まさかフレアさんを狙ってきたのかな? 

 それとも、僕がレリーナ……このメイドを連れてくると聞いた?

 どちらにせよ、ここに来るような理由が――」


 うん。

 これはちょっと、さすがにヴィル様でも引くかなー?

 お兄様って、こんなに過保護だっけ?

 屋敷にいたときはそうだったかもしれないけど、今の私は何の関係もない町娘よね?

 悲しいことだけど……。


 それに私のためというか、ルファスの手癖の悪さ? について怒っているみたい。

 気づいた瞬間に、何故か冷静になれたのよ。

 それにお二人とも、なぜ私が横にいるのに気づかないの?


「だいたい、君たちは噂に踊らされたとみられる。

 ここを突き止めたのか偶然なのかは知らないけど、邪魔をするなら――」


「おいヴィル。そのへんにしておきな。

 ほら、ルファスも横を見てみろ」


 永遠に続くと思われたマシンガントークを止めたのは先生だった。

 ……いやぁ、ヴィル様あんなに喋れたのですね。

 あんな長文なセリフはなかったので新鮮でした! ごちそうさまです!


「……お前はどうして、目を爛々と輝かせている?」


「ルファス。女性にお前というのは失礼ではないかい?

 レオン先生も、いくら担当ではないといえこのような風紀を乱す行為を――」


「やめっ……いえ、もっと言ってやってください!」


「おいおい、勘弁してくれ。嬢ちゃんはどっちの味方なんだよ……」


 レオン先生は憔悴した顔だけど、だってこんな機会ないんだよ?

 それにルファスにむかついていたのは事実だし、憧れのヴィル様に守られる気分は最高なのよ。

 あっ、また笑みが抑えきれなく――。


「アンタ、わかってんだろうね?」


 ぞわぞわぞわっ!

 と感じた寒気に、首が取れそうな勢いで振り向く。

 そこには誰もいなかった。

 師匠は厨房にいるので、耳元で囁くようなマネはできないはず。

 ……できないはずよね? 師匠の声だったけど。


 クロ! あっ……隣の師匠を怯えた顔で見ている。

 ということは、さっきのは聞き間違いじゃなく、師匠の忠告。

 つまり、うん。仕事しよっと。






 ヴィル様はすぐに落ち着いてくれた。

 手を握ったり、レリーナ……後ろのメイドさんに手伝ってもらったのが良かったのかな?

 こちらはヴィル様と合法的に手を繋げて役得です。

 レリーナも私がお願いしたらすぐに動いてくれたけど……もっと自発的に止めてもらってよかったのよ?

 ああでもっ! そうされたらヴィル様のあの姿を見られなかったかもしれないし、レリーナは今のままで……。


「フレアさん。そんなに変な顔をするくらい怖かったのかい?

 ごめんね。こいつにはよく言い聞かせたから」


「いや、俺よりも会長の勢いが……何でもない」


 ヴィル様は悪くないですからね?

 どこからか「百面フレアがでたぞ!」と聞こえてくるけど、それでも顔色を変えないヴィル様。まじヴィル様。

 ……言ったのはあの人ね。顔は覚えたわ。


 吹き出したレオン先生はともかく、問題はルファスね。

 昨日綺麗とか言ってくれちゃったのに、どうしてこちらを見ないの?

 下向いて笑っているのバレバレだからね?




「で、どうしてお二人はまだ帰っていないので?

 あ、いや。ヴィル様はいてもらえたほうが嬉しいですが、学園は大丈夫ですか?」


「僕は帰る前に、フレアさんの様子が気になってね。

 そうして寄ってみたら、何故か彼がいたんだ」


 ルファスが?

 彼に顔を向けたら、肯定するように頷かれた。


「ああ。昨日のことを謝りたかった。

 あのとき綺麗と言ったのは、外見ではなく魔力に惹か――」


「ストップ!!」


 それはここで言うべきではない。

 一番知られたくない、ヴィル様がいるのだから。

 それにレオン先生。彼も対魔女の最終兵器だった気がするし。

 ……うん? ちょっとまって。


「それ、外見は綺麗じゃないっていいたいわけっ!?」


「あ、いや。君は気絶するほど美しい」


「へえ。じゃあルファスには気絶してもらおうかな。

 先生、許可もらえますか?」


「いや無理だろ。ああもうっ! 

 お前ら、嬢ちゃんまでそろってなんなんだよ! 一回落ち着けよ!」


 どうやら私の乱入は、ただ勢力が増しただけだったみたい。

 もっとも、その乱入勢力は魔女の一声ですぐに黙ることになるのだけど。

 ……あ、すみません。真面目にやりますので。

 ……ヴィル様クラッシャーの悪夢は勘弁してください。






 ヴィル様は生徒会長なのに、明日の授業を捨てる勢いでルファスを問い詰めていたらしい。

 もう危ない時間だというのに、時間の事を隅に置いて、私を心配してくれる。

 嬉しい! けど、ヴィル様に迷惑をかけたくないの。


 おかげでレオン先生が頭を抱える理由がわかったわ。


「ヴィル。お前が熱心になるのはわかるが、ちょっと抑えろ。

 ルファスもこうして謝りに来たんだし、な?」


「それは……そうですが。

 第一、ここにきた理由をまだ聞いてません。

 ルファス、君はなぜここへ?」


「あ、それ私も気になります。

 偶然にしては、この町って何もないですもの」


 学園の噂関係?

 カップルで肝試しとか、そういう系かしら。


「…………セリアが、来たいって言ったからな」


 その言葉に、私たちは石造になったかのように固まる。

 ……そういう関係じゃないって言ってなかった?


「ん? ルファス。君はセリアと――」


「付き合っていない! 付き合って……いないんだ……」


 あっ……。

 生徒会でいくらイチャついても。

 二人がいくらカップルに見られようとも。

 その想いが、一方通行だとしたら報われない。


 東の魔女ヒロインさん、彼の心をコロコロしすぎでしょ。




 その後の雰囲気に何とも言えず、彼は先生とヴィル様に連れられて行った。

 ルファスの背中は哀愁が漂っていたけど、かける声が見つからない。


「では、あとは頼んだよ。またねフレアさん」


「ええ。また来てくださいね」


 レオン先生曰く、ヴィル様の来た馬車で夜通し走れば間に合うらしい。

 そのまま三人を見送って、店へと戻る。


 そこには、私じゃないウェイトレスが店内にいた。


「へ?」


 新しく雇ったの? 

 と師匠に問いかければ、静かに顔を横に振られる。

 というか、その見覚えのある顔。メイド……。


「どうか。どうかお願いします。

 お側にいさせてください……っ!」


 レリーナ。

 さっきまで空気だったのに、急に存在感出しすぎでしょ。



2章以降を改稿中です。

また設定と見比べて、大まかな流れはそのままに修正をいくつか。

大きな修正はありませんが、あと2話でようやく終わる……。


ルファスは某児童小説の創也をイメージしてますが、トムはでてきません。

トムに一番近いのはフレアですかね?

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