35:side セリア
辺境の町が怪しいという情報は手に入れましたが、具体的な場所まではわかりません。
ここは本人に直接聞くしかないでしょう。
生徒会の業務中に、それとなく尋ねます。
「会長。最近はどこかにお出かけになっているそうですが、
気になる人でも出来たのですか?」
「気になる人? そうだね。気になっているのは確かかな」
会長の目は恋に溺れる瞳ではなく、ただの好奇心という風でした。
しかし、滲み出る聖母のようなオーラは隠しきれていません。
見守りたいということでしょうか?
「その御方わたしも気になります。
今度ご一緒させてもらえませんか?」
「ダメだ、あの場所は危険だよ。
僕はカトレアさんやヘカテさんが行くのにも反対だからね」
ということは、三人は同じ場所へ向かっている……と。
すぐに話題を変えられたので、それ以上は話してくれそうもありません。
一人増えたところで変わらないと思いますが、仕方ありません。
会長からはあきらめますかね。
「辺境の町? ああ、それは『魔女の家』のことだろうな」
「っ! ま、じょの、家……ですか」
場所については、最近なにかと話すカミーユさんが知っていました。
魔女の単語に反応してしまったわたしですが、幸いこのカミーユさんは、表情の変化に気づかなかったようです。
……ふぅ。
生徒会メンバーのなかでも、副会長である彼は情報源として扱いやすいですね。
しかし魔女の家、ですか。
はて? そのような場所、出てこなかったはずでは?
しかし、実際に訪れたことがあるらしいので、その場所が存在するのは事実なのでしょう。
話によると、アルフォンス王子もその店に訪れて以降、怪しい行動が目立つとか。
……これは、ビンゴですかね。
「では、次の休みにわたしをその場所へ――」
「悪い。俺はもうあの場所へは近づかないって決めた。
悪いが他をあたってくれ」
例え殿下が行くことになってもだ、と話すカミーユさんに、いったいなにがあったのでしょう?
彼はアルフォンス王子の護衛的な立場だったはずでは?
情報は手に入れましたが、一人で行くのは心細いです。
ヴィル会長は警戒し、カミーユ副会長が拒絶する。
なら、ヘカテ様を除いた最後の生徒会メンバーの出番です。
「で、俺のところに来たのか。
ハッ、清々しいほどに都合の良い男ってか」
「まあまあ。
こちらは貴方の秘密をバラしても良いのですよ?」
この件では無関係仲間のルファス・カドベールさんです。
彼は母親が魔女だったらしく、人間の魔女のハーフだとか。
魔女は女性しかいないので、本来ならそんな言い方はおかしいのですが。
この男性に関しては、お互いに秘密を共有する仲でもあります。
時期的にはタイミングもあってますし、レオン先生共々ルート通りの対応をしているので、わたしの好感度は高いです。
でもそのせいで、わたしと彼が付き合っているという噂も流れるのですが。
お互いに利用する相互関係でもありますので、隠れ蓑としてはちょうど良い人です。
「ま、条件次第で付き合ってやる。
理由はデートでも良いか? そのほうが納得するだろ」
「好きにしてください。なんなら腕でも組んで移動します?」
「……俺以外に、そういうことは言うなよ。
本気になられても知らねーぞ」
あらら、純情なことで。
彼はツンデレさんでもあるので、これ以上からかうのはかわいそうですね。
しかし、これで外出の準備は整いました。
あとは『魔女の家』が本物かどうか、です。
◇◇◇
「ここが例の場所ですか。名前はともかく、心地の良い場所ですね」
名前はいつ潰されても良いかのように挑発してますが、魔女の住む家というのも間違いではなさそうです。
あの厨房にいる女性がそうみたいですね。
どうしてこの国に魔女がいるのでしょう?
「ああ。この安らぐ感覚は何だろうな。俺はお前の傍だけかと思ったが、こんな場所にもあったとは」
「ふふ。浮気はダメですよ、ルファスさん」
どうやらここは魔力の循環が良いみたいですね。
地脈の真上にでもあるのでしょうか?
しかし、ここの龍脈を入手済みである、わたしの格が上です。
よく見るとみなさんお揃いではないですか。
観察のためにも合流しましょう。
偶然? ええ、偶然ですよ。
情報収集は、主に何故ここに集まるかでした。
皆さん隠しているようですが、わたしにはバレバレです。
ヴィル会長は妹の面影をもとめて。
あのフレアという店員は、ヴィル会長の妹様に似ているそうです。
本来ならわたしが似ている……と言われるはずでしたが、この容姿とあの娘、似ているのでしょうか?
妹様のことはヴィル会長しかわかりません。
……見れば見るほど、わたしとは似ても似つかないですね。
ただ、あの娘の存在がヴィル会長を惑わせたのは間違いなさそうです。
そしてヘカテ様は、クロウド様に会うためでしょう。
わたしも驚きましたが、なぜクロウド様がこんな場所に?
しかもコック姿が様になっています。
学園にいつまで経っても黒猫が現れないと思えば、こんな場所で何をやっているのでしょう?
もしかして南の魔女にかけられた呪いが解かれたのでしょうか?
クロウド様の人間姿を、まさかこの段階で見ることになるとは驚きました。
しかし……本当、何を?
カトレア様はどうでもいいですね。
どうせアルフォンス王子から相手にされなくて暇なんでしょう。
そこまで結論が出た時、ルファスがやらかしました。
なんと彼、いきなりフレアさんの手を引っ張ったのです。
あまりにも突然の出来事でしたが、その後の出来事が信じられません。
魔力が……移動している?
ルファスが彼女、フレアさんから、その潜在魔力を吸い取ったように見えました。
本来なら、触れただけで起きる現象ではないはす。
もしかすると、あのフレアという女性も魔女なのですか?
……いえ、同族の魔女なら判別できますが、彼女からは感じません。
魔女はすぐ止め来た女性一人のはず。
では、彼女はいったい……?
詳しく聞きたかったのですが、その日はもう彼女は出てきませんでした。
あの様子から、ルファスがいる限りは会えそうにないですね。
仕方ありません。来週まで待ちますか。
ヴィル会長を利用して、何を企んでいるかわかりませんが。
その計画、わたしが潰してあげますよ。
作品を混合するほど寝ぼけてました。
ローレンス……誰?
構想の学園編をカットしないと完結できない予感が。




