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小さな心臓  作者: 雨世界
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 心は朝と同じように行動をして、真白も同じような行動をとった。

 お話をしながら食事をして、それが終わると心は薬を飲み、丁寧に歯を磨いた。そしてまた真白におやすみなさいを言って、心はベットの中で眠ってしまった。真白はまた、眠っている心の胸の上に座り込み、そこから死体のような心の顔と、窓の外に降る雪を交互に眺めた。

 それから時が経過して時計の針は十の数字を指したころ、とんとんと扉がノックされた。病室の中に入ってきたのは看護婦さんで、お昼のときと同様に、その人は無言のままだった。片付けられた食器をお盆にのせ、やはりお昼のときと同様に真白を見て、それから病室をあとにした。


 雪は心持ち弱くなっているような気がした。もしかしたら雪は、雨に変わるかもしれないと真白は思った。真白は雨降りの日が好きだった。別に雪も嫌いではないのだけど、真白は雪よりも雨のほうが好きだった。だから真白は窓の外に降る雪が雨に変わればいいな、と思った。

 真白は雨降りを思いながら、窓の外に降る雪をじっと見つめた。

 雪の勢いが弱くなったからなのか、窓の外には一本の木が見えた。それは枯れた柳の木だった。それなりに大きな木だ。その木はただの一本だけで、なんの脈絡も無しに、ぽつんと白い大地の上に立っていた。

 真白はなにか珍しいものでも見るように、その柳の木を見た。枯れた柳の木は、心の病室の窓からよく見える位置に立っていた。

 それから真白は柱時計に目を向けた。

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