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金髪赤眼の女騎士でハーフエルフな天然娘

 コロッセオみたいな闘技場の真ん中で兄さんは仁王立ち。布を腰に一枚巻いた格好で。

 そんな兄さんと向かい合っているのは女性かな。西洋の銀鎧に似たものを纏っているから顔はわからないけど、強調された胸の谷間、きゅっと締まったお腹がちらり、むちむちな白いふとももの刺激が強すぎるんだもん。


「おやおや、これはすごい色香だ。そんなに漏らして私を誘っているのか?」

「なんの冗談だ。ここで発情するのは勝手だが、欲情する相手を選ぶことだ。わたっしは負けない」


 凛とした声といい佇まいといい、あれは女騎士って感じだよ。


「威勢のいい奴だな。三次元だが異世界人。つまり私はウェルカム」

「きさっま。わたっしを舐めているのか」

「舐められるものなら舐めてみたいな」


 会話が噛み合っているようで噛み合っていないよ。兄さんはただの変態で馬鹿だからね。


「そうやって余裕を持っていられるのも今のうちだ。わたっしの剣で八つ裂きにしてやる」

「八つ裂きとはおっかない。体もさることながら言葉も刺激的じゃないか」


 兄さん、すっかり鼻の下を伸ばしちゃって! むぅ~! 女騎士さんを応援しちゃうよ!


「きさっまの舌はよく回るようだ。戦いにおいて言葉は不要。口は災いの元だ」


 すっごーい! 女騎士さんすっごーい!

 鎧を纏っているのに速い速い。兄さん全く動けないでやんの。鼻の下を伸ばした報いだよ。


「……ほう……すごい。私が全く動けないとは」

「終わりだ、降参しろ。相手を殺すか降参させなければ勝ちにはならないのだ」

「剣先を喉元に突きつけて選択肢を与えるとはな。もう自分が勝ったつもりでいるようだ」

「当たり前だ。勝敗は誰が見ても一目瞭然。観客席を見てみろ。大して盛り上がることなく終わることに落胆している」

「なるほど。君も観客も目が節穴ということか」

「節穴なのはきさっまの目だ。仕方がないが殺す。覚悟!」

「馬鹿め。なぜ私が布を腰に巻いているのか疑問に思わなかったようだな!」

「腰だと? 何かを隠していたか……きゃあああああっ!!」


 すっごーい! 女騎士さんの悲鳴がエッローい!

 鉄の仮面をしているのに手で顔を隠しちゃってるよ。兄さんに背を向けてしゃがんじゃった。動作が可愛い。


「君の剣よりも私の剣の方が切れ味抜群だったようだ。はっはっはっ!」


 兄さんは最低な勝ち方をしたよ。大衆の面前でまったく。少しは羞恥心を持ってよね。

 あたしは見ても平気だよ。だって兄妹だもん。えっへん。


「わたっしとしたことがっ。こんなことでは誰も相手にできないではないかっ!」

「何をぶつぶつ言っている。さっさと降参をするがいい。私は女性を殺したくないのでな」

「くっ……殺せ。勝利以外の生還は恥だ。生き恥を晒しながら生きていけるほど、わたっしの神経は図太くない」

「私を欲情させる格好ができる図太さを持っているのにか。ならばこうしよう。君の顔を私に見せろ。もし君の顔が残念ならば殺してやろう。だが、殺すには惜しい顔ならば生かす。どうだ」

「構わん。わたっしの素顔は残念だ。きさっまは、わたっしの素顔を見た瞬間に八つ裂きにするだろう」


 兄さんが女騎士さんの仮面を取った。兄さんが持てるくらい軽いんだね。動きが速かったのも納得だよ。

 それよりもちょっと何あれ!? いやいやそれは反則だよ。女騎士さんの仮面の下は、金髪赤眼で色白で唇は薄い美少女ってなにそれズルい!


「早く殺せ。こんな醜い顔を見て気分を害しただろう。汚物を見るように蔑みながら八つ裂け」

「はぁ?」

「さっさとしろ。もう耐えられん」

「ふっ、ふはははは。これだから異世界は面白い。いったい誰に醜いと言われたんだ」

「故郷でも、行く先々でも。わたっしを見た人は、必ず一瞬固まり目を逸らす。顔を赤らめ去っていく。わたっしにはわかる。あれはわたっしを蔑む目だ」

「なぁ、この世界に種族の差別はあるのか?」

「大昔はあったらしい。今、差別などする人はいない。それがどうかしたか?」

「仮面を取ったときに見えたんだ、尖った耳がな」

「エルフの耳がどうかしたか。純血のエルフは絶滅しており、エルフの血をひいてても滅多に尖らず珍しいと聞いたことはあるが」

「なんだそういうことか。神経は図太くないくせに鈍感とは面白い奴だな」

「いくらでも馬鹿にしろ。連れ去られてきたとはいえ、ここでの日々は悪くなかった。一度も負けたことがなかったのは、今日ここできさっまに殺されるためだったのだ。わたっしに勝った以上、きさっまには馬鹿にする資格がある」

「はっきり言ってやる。君は馬鹿ではない、天然だ。馬鹿は死ななきゃ直らないが、天然は死んでも直らない。悪いが君の願いは叶わない」

「どうして殺してくれないのだ!」

「決まっているだろう! 金髪赤眼の女騎士でハーフエルフな天然娘という盛り盛りな美少女を殺すなど万死に値するからだ!」


 兄さん、めっちゃ早口で理由を言ったよ。あの三次元嫌いな兄さんが美少女と言ってのけたよ。

 悔しいけどあたしも同感。女騎士さんは鈍感だよ。見る人が固まって赤らめて逸らして去ったのは、女騎士さんが可愛いからだよ。全く自分の魅力に気付いてないなんてすっごーい。

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