第一章
「ねぇねぇ、聞いた?」
「何を?」
「T山で人が殺されたって話!」
「あっ見た見た!今朝のニュースでやってたやつでしょ?」
「なんでも結構惨い殺され方だったらしいよ~」
ここはK大の食堂。午前の授業が終わって学生たちが各々テーブルで御飯を食べている。
薫と佳美も食堂で昼ご飯を食べようと思いやってきた。
薫と佳美はK大の3年生。来年就活だが、いろいろと煮詰まっている。
「はぁ・・食堂でなんであんな話するかなぁ」
「仕方ないんじゃない?世間はあのニュースで持ちきりだし、新聞にも大々的に取り上げられてたよ」
バサッと佳美がテーブルに置いた新聞を薫は見てみる。
(T山で惨殺死体!数年前にも同じような死体が・・同一犯か!?)
「数年前にも同じような死体?」
「そうなんだよ。しかも犯人つかまってないっていうね。」
「マジか・・・・」
「まぁ、ただの愉快犯じゃないの~?」
佳美と薫がニュースの話で盛り上がっていると、
「おーい、佳美と薫!」
二人を呼んだのは菊地涼介。二人と同じK大の3年生だ。涼介の後ろにもう一人、
「おい、涼介。大きな声出すなよ、恥ずかしいだろ」
橘浩二。同じくK大の3年生。4人とも大学で知り合って仲良くなった。涼介は佳美と浩二は薫と付き合っている。
「あっ、涼介と浩二だ」
「え~、、、今、浩二と会いたくないんだよなぁ・・」
「なんで?」
「あいつと別れようと思ってるから」
「えっ!?なんで!?」
「うーん、、あとで話よ。」
「わかった、絶対だよ~?」
「うん、、、」
人を掻き分けて涼介と浩二が二人の元へやってきた。
「うへぇ~すげぇ人だなぁ。やっぱ昼どきの食堂は人が多すぎる・・・っとこんな話をするためにここにきたんじゃなくて。。
なぁ、知ってるか?T山での・・」
と言いかけて涼介はテーブルに置いてある新聞を見た。
「なんだ、知ってるのかぁ、、さすがそういうのが好きな佳美だな。情報が早い」
「ふふ、でしょ?まぁニュースでも大々的にやってるしね」
「何?佳美さんそういうの好きなんですか?」
「そうなのよ~私こういう事件大好きなの!浩二くんは?」
「俺は・・・あんまり好きじゃないです。殺された人や遺族のことを考えると好きにはなれませんね。」
「そ、そうだよね。あはは、なんかごめんね」
「(コレなのよ別れたい原因。空気読まないし自分の意見はっきり言うし。ちょっとはオブラートに包みなさいよね~)」
「まぁまぁ二人とも落ち着いて☆」
「いや全然落ち着いてるし(笑)」
「浩二は来ないだろうけど佳美と薫に話があるんだよ。このT山行ってみない?」
「「えっ!?」」
「山登りがてらこの犯人探してみようぜ~」
「私はいいけど、薫どうする?」
薫は迷っていた。興味はあるが、もし遭遇したらと思うと一歩踏み出せない。
「薫、無理しなくていいよ?」
「えー、、行こうぜー。それにT山って景色が綺麗って話だしさ!」
「えっ!?景色綺麗なの?じゃぁ行こうかな」
「よし!じゃぁ三人で行こうぜ!」
「ちょっと待て。薫が行くなら俺も行く」
「お?浩二も行くか?やっぱ薫が関わると変わるな」
三人は談笑していたが、薫だけ気分が沈んでいた。
(なんで浩二まで来るのよー、、はぁ、、まぁいいや。綺麗な景色いっぱい見て癒されよう)
そして四人は山登り計画をたてて解散した。




