9話
先日、ブックマークが初めてつきました
つけてくださった方ありがとうございます
これからも精進していきたいです
「「いただきます」」
帰宅した後、俺たちは兄妹そろって晩ごはんを食べ始める。
俺はすぐさま学校の時から疑問に思っていたことを口にした。
「ところで綾女、俺に相談したいことって何なんだ?」
「っっ⁈」
「俺でその問題が解決できるかわからないけど。できることなら何でもするよ」
俺は綾女の兄だ。妹が困っているのなら助けになりたい―――
と、心の中で思っていると
「じゃあ、単刀直入に言うね。――――お兄ちゃん、私の彼氏になってよ―――――」
「はっ?」
久しぶりに俺の思考が完全に停止した。
しばらくしてようやく我に返った俺は綾女から今日の出来事を聞く。
「……なるほどな。それで、俺に彼氏のふり(・・)をしてもらいたいというわけか」
「うん……。さっきはごめん、説明不足だったね」
「最初聞いたときは心臓止まるかと思ったよ」
「なーにそれ、私がお兄ちゃんの彼女になるのが嫌ってこと?」
綾女が口をとがらせる。
「いやいや、そうじゃなくて……」
男子ならこんなかわいい子が俺の彼女にっ⁈ って驚くだろふつう
「私、今まで自分の夢しか追っかけてなくて、男の子を好きになったことがないの。しかも、これまで女子校だから男子とどう接したらいいかわからないし。正直言って、男の人はどの人も怖く見えるし。となると、それなりに話せて彼氏の役を頼めるのがお兄ちゃんしかいないってことになって……」
体を縮こまらせて俺の表情を窺う綾女。
ま、綾女が俺以外に彼氏の役を頼める人がいないというのも事実なのだろう。
誰でもいいっていうわけでもないしな……
だが、だからといってうん分かったと簡単に綾女の彼氏役をすることはできない。
普通に考えて、ド平凡な俺がこんな美少女の彼氏役なんか務まるはずがない。
綾女にはもっと相応しい人がいるはずだ。
しかし綾女は俺が心の中で葛藤するさなかに、
「お兄ちゃん、いいかな……」
懇願するように、上目で俺を見つめてきた。
うっ、そんな顔されたら……
この顔をされて、兄としては、いや男としては折れないわけにはいかない。
「わ、わかった。綾女の彼氏役をやるよ」
抵抗不可と判断した俺は綾女の彼氏役を引き受ける。
俺が引き受けるといった途端、
「ほんとっ⁈ ありがとっ」
綾女はぱっと笑顔になった。
はあ、俺、これから大変そう……
そう思いながら綾女の方を見やる。
すると綾女は依然としてとても嬉しそうな顔をしていた。その顔を見ると、
ま、綾女がこんなに喜んでいるならいいか……
と、ついつい思ってしまうのだった。