閑話1 義妹ちゃん登場?
説明会にする予定でしたが、そろそろタイトル通りの義妹ちゃんを先に出すことにしました。
説明会(棕櫚編)は次回に・・・・?
時間は戻ること12月29日、翌日来る予定の彼女(父親の)の為の準備に余念がない父。
「ふんふんふ~んふんふんふ~んふんふんふ~んふふ~ん」
時季外れのクリスマスソングを歌いながら準備をしてるところに
ピンポーン
「ん?宅急便かなんかかな?は~い」
小走りで向かう玄関には2つの人影が。
ガチャ
するとそこには見た目20代後半と言ってもいい艶のある女性とその横には10代前半といった感じの美少女がキャリーバックを片手に持ち立っていた。
「こんにちは、社さん、実は弥江ちゃんにばれちゃってちょっと早いけど来ちゃいました。」
「うん?ばれたってどういうこと?弥生さん?」
疑問に応えるように少女の方が一歩前に出る。
「はじめまして、鳥鐘弥江です。弥生お母さんがお世話になってます。」
「こりゃご丁寧に、私は内倉社と言います。写真で見たことあるけど写真よりかわいいね。君にとってはお母さんの恋人、になるかな。」
弥江と名乗った女の子は社をどんな男かと確かめるように見つめる。
「はい、そのように伺ってます。今日、早めに来たのは私の兄になるという人が私たちの為に山に登ってるとお聞きしたのでどういうことなのかと伺わせてもらいました。」
もしも変なことを口にしようものならこの縁談を壊すような思いでいることはすぐに想像がついた。
「あ~そのことか・・・まぁ入りなよ、弥生さんもどうぞ。そういえば引っ越しの準備とかは大丈夫なのかな?」
「こちらへ伺う前に終わらせてきましたので大丈夫です。無理を言ったので31日に荷物が届くと思います。」
と、すかさず弥江が答える。
「あ~そう・・・しっかりした娘さんだね、ほんとに中学3年生?」
「そうなのよ、ほんとしっかりした子で、ええ、来年高校生ね。」
そんな話はどうでもいいと先に敷居をまたぎ中へと入る弥江。
「お邪魔します。」
「これから自分の家になるんだからただいま、でいいんだよ。弥江ちゃん。」
「・・・はい」
「ただいま~」
のんきな母である・・・
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「と言うことは話の内容は本当で今も山に登ってるってことですか?」
「うん、ほら昨日今日と2つの山に登ったみたいで写真が送られてきてるでしょ?」
パソコンのモニターの中では普通の顔をした男の人がピースしながら朝日を背中に映っていた。
「・・・大丈夫そうですね・・・」
「うんうん、昔から色々したからね、野宿くらいは大丈夫なはずだよ。もう3つ目の山に行ってるんじゃないかな?」
「行動力あるのね~確か7つの山に登るんだったかしら?」
「そうだよ、まぁもし遭難しても大丈夫だよ、そう鍛えたからね」
「遭難とか縁起でもないこと言わないでください!」
勢いよく立ち上がり両手でテーブルを叩き社をにらみつける。
「ご、ごめんなさい・・・弥生さん。弥江ちゃんって怒ると怖いね」
「ふふっ弥江ったら棕櫚君の写真見た時から一目ぼれしちゃったみたいなのよ~」
「ちょっと!お母さん!?」
いきなりの爆弾投下である。
「写真を見せて1週間、毎日写真とにらめっこしてたわ。たまに顔を赤くしてたこともあったかしらね。」
「もう!知らない!」
「そっか~弥江ちゃんはうちの棕櫚の事気に入ってくれてたからあんなに怒ってたんだね~」
「ち、ちがっ・・・」
その後いじられたのは言うまでもないだろう。
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次の日、朝からメールのチェックをしている弥江。
IDとPASSは昨日のうちに聞いておいたしそうでなくても一回打ち込んで開いたら間を空けない限りそのまま見れるので苦も無く新着メールを見ることができた。
「へぇ~明日は富士山か~すごいな~・・・」
小さいころから母子家庭だったので旅行なんてほとんど行かず、一人旅なんてもっての他だった。
1度や2度誘われたことはあるけれど、家のことがあるからと断った。
最も、誘ってきたのはいかにも下心丸出しだったため行く気もなかったのだが。
「でもなんでだろ、この人にはそんな感じしなかったんだよね・・・」
写真でしか見たことがないもののお人よしな感じがにじみ出ていた。
(背はたぶん高いよね・・・頭はいいのかな?仲良くなれるかな?って違う違うっそうじゃなくてっ)
なんてぶんぶん頭を手で抱えて振っていると
「あら、おはよう、もう起きてたのね。たまには私が早く起きて朝食をって・・・弥江ちゃん?何してるの?」
「おっおはよう!お母さん!ううんっなんでも・・・」
「あら、棕櫚君からメールもう来てたのね。」
「ぁぅ・・・」
顔から湯気が立ち昇らんばかりである。
「ふふっもう少しみてなさいね。私はごはん作るからね」
「ぅん・・・」
「おはよ~・・・お、弥生さん朝ごはん作ってくれるんだ、ありがとう」
「ううん、このくらい大丈夫よ、すぐ作っちゃうからね。」
義父は寝ぼけているのか弥江には絡んでこなかった。
このとき、弥江は忘れていた。
母親が味覚音痴だということを・・・
地獄の?朝食を終え、昨日のパーティのごとく散らかしたものを片付けつつ掃除をする。
(ちゃんと掃除してあったのかな?2,3日前はキレイだったみたいにほこりとかあんまり積もってなかったしお部屋も昨日借りちゃったけど汚れてなかった。本はきちんと片付いてたし、机の上も綺麗だった。お義父さんの|部屋(書斎)の方が汚かったくらい・・・お布団は男の人のにおいもあったけど嫌いな感じじゃなかった、むしろ・・・ううんっそれはいいのっ!)
など、妄想、もとい想像を膨らませながら掃除を進めていった。
今日掃除を終わらせて明日来る引っ越しに備えなければいけないのだ。
母と義父はと言うと、始めの方こそ手伝おうとしたものの、片方は散らかす天災もう片方は片付けられない人。なので早々に家から追い出した。
幸い棕櫚の日頃の片付け方がいいせいかどこに何があるかすぐにわかった。
そうこうしながらも昼食を一人で済ませ、また掃除に。
義父が散らかした(歓迎用の)ゴミをなんとか片付け終え、夕食の準備をしていたところにメールが、
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差出人:お母さん
題名:今日の夕飯
本文:弥江ちゃん、今日はお母さん、社さんとお泊りしてくるので
夕ご飯はりません(はーと)
明日の朝には返ってくるから、よろしくね~
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「はぁ・・・」
ため息をついていても仕方がない。
すぐに返信をしておく。
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差出人:弥江ちゃん
題名:はいはい
本文:わかったから早めに帰ってきてよね、
明日引っ越し業者さん来るんだから
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「さ、今日は一人か・・・ごはんどうしよ・・・カップメンでいいかな・・・」
実はこの少女、人がいると頑張るが自分だけだと途端に手を抜いてしまう。
人の為なら頑張れるが自分の為だとなかなか頑張れなかったりするのだ。
ごはんも終え、戸締りをしてお風呂も入り、テレビを見ることなく就寝する為に棕櫚の部屋へ。
荷物が来ていないので自分のベッドやなんやかんやがないのだ。
唯一持ってきたのは母と共に持ってきた2つのキャリーバック、中身は数日分の着替えや小物がせいぜいだ。
本当は荷物が来るまでカプセルホテルなりに泊まろうと思っていたのだが、棕櫚がいないことや義父が泊まっていっていいと言ってくれたことに甘えて昨日今日と棕櫚の部屋を使わせてもらっていた。
「男の子の部屋で寝るのって変な感じ・・・でも2回目だからかな・・・この匂いにも慣れちゃった・・・」
頭を乗せた枕からは仄かに棕櫚のものと思しき匂いが漂い鼻孔をくすぐる。
「・・・ちゃん、おやすみなさい・・・」
まだ会ったことのない義兄に思いを馳せて眠りについた。
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31日、今日はお義兄ちゃんが富士山に登った写真を送ってきた。
元旦じゃないのに結構な人がいたみたいでお揃いてるみたいだった。
朝から荷物の搬入業者さんが来て部屋に置いて行った。
途中でやっとお母さんたちが帰ってきて手伝い始めてくれた。
その日のうちになんとか私の部屋とお母さんの部屋ができ、と、言ってもお母さんとお義父さんは一緒の部屋で寝るようでどっちかの部屋に行ったり来たりするようです。
問題は、翌日、元旦、1月1日に起きた。
その日、恒例の挨拶をすませ、メールを見ると来ていなかった。
テレビを見ると富士山周辺の山には雲がかかっていて朝日が見えないという話が上がっていた。
その為に写真が撮れないんだろうって話になり、心配しながらも日課となった掃除をしてお義兄さんの部屋から借りてた布団やらを干したりして、新しくできた自分の部屋で就寝。
「・・・今まで使ってたはずなのに、なんか落ち着かないかも・・・」
なかなか眠れぬ夜を過ごした。
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2日
天気は快晴。
今日はメールがきてるはず、と朝からパソコンをひらいてみるも新着メールはなし、これはおかしい、何かあったんじゃ・・・と朝食時義父に相談することに。
「大丈夫大丈夫、帰ってきたくなったら帰ってくるさ」
なんて言うものだから怒り爆発。
その後、なんて言ったかわからないけど要約すると
「私がお義兄ちゃんを迎えに行ってくるからどこに行ったか紙に書いておいて!」
と言い早々に準備を済ませ義兄の通った道をたどることに。
約束ごととして、お母さんたちは仕事で行けないけど、毎日メールは送ること、と言う条件の元、出発を許された。
お金ももったことないくらい持たされたしメモもある。
何故かまずは近くの山に手がかりがあるかもしれないとなんの証拠もなく登り始めた。
そして、弥江も消息を絶つ。
棕櫚と同じく4日目、洞窟に避難し雨宿りするというメールを残して。
何故か筆が乗る感じで書けました。
以前から書いてたように明日から時間が空く予定です。
日曜には・・・仕事がなければ書きたいなと思ってます。
ではまた次回ノシシ