EP:4 新年はやっぱり挨拶から?
眠い……
「起きろ薫ー!」
茜姉ちゃんが蹴っ飛ばしにくる。
今年初めての目覚めは最悪。
「薫ー、早く起きなよー!」
というか姉ちゃんたちはよく朝からハイテンションでいられるね……昨夜夜更かししてたのに。
夜更かししてると胸が大きくならないぞー。
「よけーなお世話だ」
「って、なんでわかったの!?」
「え?あたし軽くESPだからさ」
茜姉ちゃんにそんなスキルあったのか……
「と言うのは嘘。『夜更かしすると体に悪い』って思いそうだからな」
やっぱ少しは思考読スキルあるんじゃ……
「んなこたどうでもいいからさっさとこい。でないと栗きんとん全部食べるよ」
それは困る。大慌てで着替えだした。
「「「「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」」」」
四人で同時に言う。
「お雑煮のお餅、何個入れるの?」
「いらなーい」
「一個!」
「二個食べる」
お雑煮のお餅は食べにくいからいい。
茜姉ちゃんは大食娘だからなー、お餅二個余裕だろうな。
おせち食べるのはお雑煮のお餅が煮えてから。
おせちの品数は結構多い。量もそこそこ。
特に栗きんとんは毎年人気で、ラーメンどんぶり山盛りに作る。
そんなことを話してるうちにお雑煮できたみたい。
「いただきます!」
「ごちそうさま」
茜姉ちゃんはやっぱりよく食べる。
きっと新年会でもこの“異常食欲”を発揮するんだろう。
「美里ー、初詣行こう」
「お姉ちゃん、ちょっと待ってー!」
「先に外出てるよ」
姉ちゃんたち、僕は置いてくんだ……
先に外に出た茜姉ちゃんが騒いでる。
……お姉ちゃんたち、どこに行ったんだろう?
いい加減帰ってきてもいいのに。
今現在はお昼の一時。
いくら新年で混んでるとはいえ遅い。
まさかどっかの初売りに……そんなわけないか。
「ただいまー!」「帰ったよー!」
あ、帰ってきた。
「どこ行ってたの?」
「いやあ……ちょっとね」
数十分の問答の果てに僕が折れた。
要は聞き出せなかったんだ……
明日の新年会、大丈夫なんだろうか。
茜姉ちゃんは騒がしいの嫌いだから。
そんな心配があった、新年開始。