EP:3 新年まであとX時間。
今年も今日で終わり。
美里姉ちゃんと僕は大掃除に精を出していた。
茜姉ちゃんはママとおせち作り。
茜姉ちゃんの部屋はひどいもので、いろんな本が山積み。
たまにハサミとかペンが本の隙間から出てくる。危ないなあ。
ママの部屋はほとんどのものが埃をかぶっている(3ヶ月使ってないから当たり前か)。
ママの部屋の掃除は美里姉ちゃんが辛そう。
こんなんで新年に間に合うのかなぁ……
朝の11時。
「美里、やっぱ掃除あたしがやるわ」
珍しい。茜姉ちゃんは“掃除できない人間”なのに。
お昼ご飯の時に言い出した。
「お姉ちゃん、いいよわたしは……」
「美里あんたアレルギーひどいでしょ?また喘息起こして病院で新年は可哀想だろ」
アレルギーがひどいのは茜姉ちゃんも一緒だ。
いや、茜姉ちゃんのほうが大変だ。くしゃみで呼吸困難起こすから。
「お姉ちゃんのアレルギーもすごいと思うんだけど……」
美里姉ちゃんにも言われてる。
ママはなんとも言わない。
「これは姉としての命令だ!」
出たよ、“姉権限”。
本当に言うことを聞かせたい時に使うあれだ。
……なんで“掃除できない人間”の茜姉ちゃんがわざわざ美里姉ちゃんと変わろうと“姉権限”使うんだ?
少し気になった、残り11時間。
結局“姉権限”には勝てずに美里姉ちゃんは料理に回った。
茜姉ちゃんも頑張って掃除しようとしてる……つもりみたいだけどなんか余計に時間がかかっている気が……
無駄に細かいこと気にするからかな……
それでも確実に少しずつ片付いてる……気がしなくもない。
多分頑張れば夕飯までには終わるだろう。茜姉ちゃんがまたなにかしでかさなければ……!
特になにか起きることもなく、(棚の後ろからGが出たぐらい)終わったのは午後7時。
その頃にはママと美里姉ちゃんが作ってたおせちも完成し、今はうどんを茹でてる。
え?そこは普通蕎麦だろって?
……実はアレルギーのこともあって(姉ちゃんたちは食物アレルギーはないらしいけど)、毎年年越しはうどん。
「いやー、今年もいろいろあったねえ」
「お姉ちゃんが新しく部活入ったりフラれたりしたわねー」
「美里はなんかなかったの?」
「ないない。でも喘息で倒れたりはしなかった」
「薫は?」
ママが聞いてきた。
「薫はしょっちゅう学校さb……」
「姉ちゃんが言うなっ!」
殴って止めた。
確かにサボりは事実だけど!
遅刻魔の茜姉ちゃんに言われる筋合いはない!
そんなアホっぽい話で、夜は更けていく……
うどん食べながらお喋りし、気付けば10時前!
今年はどんな一年だっただろうか?
思い返す。
思い返してたら眠くなってきた。
「おやすみなさい、今年はありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします」